モラハラ環境が原因で我が子がモラハラをするようになってしまった場合、改善することはできるのでしょうか?モラハラは周りに被害者を生み出すだけでなく、モラハラ加害者自身も刹那的で破滅的な人生を送ることになります。我が子の人生がそんなことになってしまっては悲しいですよね。
モラハラの性質に着目し、モラハラを改善することができる年齢はいくつなのかをまとめました。
目次
生きる為に言葉を覚える必要がある子どもたち
言葉というのは後天的に身につけます。親や周りの大人たちが喋る言葉を聞き、真似することで自然と習得していきます。生まれながらにしてしゃべる赤ちゃんはいませんし、後天的に身につけることで、どの国に生まれてもどんな言語であってもしゃべることができるようになります。
言語というのは、その国や地域で生きていく上で欠かせないものです。人間として生まれてきたからには、生きる為に言葉を覚えてなくてはいけません。そのため、乳幼児期の子どもは言語を取得する能力が大人よりも非常に高いそうです。
このため「第一言語(一番初めに覚える言語、主に母国語)」とその後に学習によって身につける「第二言語」は習得の方法が異なります。「第一言語」は生きる為に必要であり、勉強や就職や趣味などのために習得する「第二言語」とは性質が異なるからです。
モラハラというのは言語である
さて、モラハラの場合もモラハラ家庭で生まれた子どもは生きる為にモラハラを身につけなくてはいけませんでした。
生きる為に身につけなくてはいけないという点で「第一言語」とよく似ています。モラハラ環境にいる子どもは、あえてモラハラを身につけようとしていなくとも生きる為に生まれ持った能力で自然とモラハラを取得してしまうのです。
また言語を取得する能力が高い乳幼児の時期にモラハラにさらされることによって、脳が積極的にモラハラを取り入れてしまいやすいと考えられます。
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言語は8歳以前に使わなくなると「第一言語」であっても忘れてしまう
「第一言語」は一生覚えているのかといえば実はそうではありません。言葉は8歳以前に使わない環境になると忘れてしまうことが分かっています。
たとえば、ある人は日本人の両親をもち、親の仕事の都合で幼少期はイタリアに住んでいました。8歳ごろに日本に来てそれから日本語しか話さない環境になったら、イタリア語は一切話せなくなってしまったそうです。日本にくるまではイタリア語をペラペラに話していたのにもかかわらずです。
このように、0~8歳の時期は「母国語選択」の時期と呼ばれ、この時期に母国語=第一言語が変わったとしても対応できるようになっているんですね。脳というのは実にさまざまな環境に適応する能力が高いと言えます。
8歳以前にモラハラ環境を抜け出すことができれば、モラハラの影響がなくなる
つまり「第一言語」としてモラハラを身につけてしまった子どもであっても8歳以前に全くモラハラがない環境に変わることができれば、本人が苦労することなくモラハラがなくなるということは十分に考えられます。
この時期にモラハラを忘れることができれば、モラハラによる生きづらさを感じずに生涯を過ごすことができるかもしれません。
もちろん8歳以降でもモラハラを改善することは可能
以前もお話した通り、私の友人にモラハラを治すことができた人がいます。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。↓
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8歳以降は本人の自覚と努力が必要である
第一言語がモラハラになってしまっているモラハラ加害者にとっては、普通のコミュニケーションはいわば「第二言語」です。大人になってからも「第二言語」が覚えられるように、モラハラ加害者も正しいコミュニケーションを学ぶことでモラハラを改善できると考えられます。
ただし、8歳以前と違うところは、本人の自覚と努力が必ず必要となります。
言語でも自然と覚える「第一言語」と学習によって覚える「第二言語」では習得の方法が違うように、普通のコミュニケーションを覚えるためには、自ら意欲的に学習することが求められるのです。
上で紹介した友人も、自らモラハラ行為に気づき、努力したことでモラハラを改善していくことができました。
また、8歳以降では「第二言語」を習得できたとしても、「第一言語」を忘れるわけではありません。たとえば英語が堪能な日本人でも、怒るときや慌てているとき、とっさの一言で日本語が飛び出すこともあります。モラハラを身につけてしまった場合も、とっさに「第一言語」であるモラハラが飛び出すこともあるのです。
モラハラは性質上、完治することはなく、常にモラハラを使わないよう気を付けていかなくてはならないと考えられます。
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虐待の連鎖が起こるのは約3分の1というアメリカの研究データあります。これがモラハラの場合にも当てはまると仮定すると、3分の2はモラハラが親子間で継承されないということです。
子どもも社会とのかかわりの中で生きづらさを感じたときに「何か他の人と違う」と自分の育った環境や自分の性格を省みる瞬間が必ずあるでしょう。その時に、自分の性格や行いを正そうとすることができれば、モラハラも改善することができます。
大切なのは、本人が生きづらさを抱えたときのサポートです。生きづらさを抱えたときがモラハラ改善のチャンスであり、寄り添うことが最も必要な時です。
もし、脳にまでダメージがあったとしたら?
モラハラをする原因には二種類あり、ひとつは上に挙げたようなコミュニケーション手段として誤ってモラハラを取得している場合、もう一つは幼少期の脳によるダメージにより脳が正常に機能していないために起こると考えています。(その他にも発達障害が原因のものもありますがここでは除外しています。)
身体的虐待、精神的虐待、トラウマ体験などで脳にまでダメージを負っている場合は何歳ごろまでなら治るのでしょうか?
脳は、6歳までに9割が完成するといわれています。つまり6歳までであれば、ダメージを修復し、人格を大きく変えることができると考えられます。
また25歳までに脳は完成します。25歳以降の大きな変化というのは恐らくあまり望めないでしょう。
まとめ
いくつになっても「モラハラを止めたい」「モラハラを治したい」と思うことができさえすれば、モラハラを治すことは可能です。
しかし、自己愛性パーソナリティ障害は年を取れば取るほど悪化し、治りにくくなることも知られていますので、早いうちに気づいて治すことができると良いですね。