私は弁護士を雇い、離婚調停をして離婚をしました。
そして、調停の場では、離婚問題に慣れた調停委員や裁判官から、そして依頼をした弁護士からも、ものすごくひどいケースの話を聞かされました。暴力を受け大けがをし、さらにお金まで奪われてしまい、命からがら逃げだして、離婚を成立させたというケースはかなりの数あるようです。そういったケースで多いのが、財産分与もなし、慰謝料もなし、一刻も早く離婚したいと離婚だけ成立させ、その後、一切かかわりを持たないという離婚条件。
その話を聞いたとき、私は「どうしてそんな悪い条件で離婚してしまうのだろう?」と不思議に思っていました。(その時の私は、夫に対して怒り心頭で、なにがなんでも慰謝料をもらう!と思っていました。)
しかし、早く離婚したほうがいいと妻たちが考える、その理由が徐々にわかっていったのです。
慰謝料は払われないケースが非常に多い
もちろん、財産分与も慰謝料も、相手にお金がなければ請求できませんし、実際に払われることもありません。慰謝料ですら、払われないケースが8割もあるというのが現状で、形ばかりの判決が出たとしても、お金が入らないのであれば、訴え損になってしまいます。(弁護士費用や裁判費用を補填できないかもしれません)
相手が浪費癖や借金を抱えているようなケースでは、そもそもお金を持っていないために支払われないことが多く、お金を請求すること自体に意味がないのです。
「一刻も早く離婚したい!」と妻が言う理由
こういった配偶者が有責のオンパレードのようなケースでは、妻側は「離婚だけを望み、離婚条件は何も付けないので一刻も早く離婚をしたい」と言うそうです。
離婚条件で争うことになれば、離婚問題は長引き、裁判になれば数年ほどかかるのが一般的です。そして、その間もDVやモラハラの被害にさらされる可能性があります。
DVやモラハラでは、相手からしつこく付きまとわれることも多く、「縁を切ること自体がとても労力がかかる」ことが多いのです。
そして、なにがなんでもよりを戻そうとストーカー化した相手からDVやモラハラ被害を受けることに怯え、心が休まらない状態で離婚問題に取り組み続けなくてはいけません。中には引き続き、命の危険にさらされるケースさえもあります。
自分の人生から、早くDV・モラハラ夫とのかかわりをなくし、安心できる生活を送りたい、そう願って一刻も早い離婚を望むのだそうです。
ましてや子どもがいる場合は、子どもにいつ被害が及ぶか分かりません。
離婚をして被害を断つこと、それが一番DVやモラハラ被害者が望むことなのです。
一緒にいるだけで人生がマイナスになるDV・モラハラ夫
DV・モラハラ夫と一緒に過ごすこと、かかわりを持ち続けるということは、人生において大きなマイナスを背負うことを意味します。大きなけがを負ったり、命までも奪われるリスク。財産を失い、生活ができなくなるリスク。心が病み、長いこと回復できなくなるリスク。
離婚条件が悪く、お金が何ももらえなかったとしても、この大きな負債を捨てることができると言うだけで、人生のマイナス分が帳消しになることもあります。
株で例えるのであれば、損切りをすることで、これ以上の損失を出さないようにするという未来への投資でもあります。
離婚(損切り)をすれば、今まで損失を出していたとしても、被害はそれだけで済み、未来の損失や被害はなくなります。
DV・モラハラ夫と早く縁を切った人は「損を早めに処分する」未来を見据えれる人
不利な離婚条件で離婚をしてしまった人は、賢くない離婚をしたわけではありません。
むしろ、損を最小限にとどめることができた「将来を見据える力のある人」といえるでしょう。
離婚と言うのは線ではなく点です。離婚と言うのはスイッチのオフのようなもので、スイッチを押したら、そこから先、夫のいない人生が始まります。このスイッチが早く押せれば、人生を取り戻す機会を早く得ることができますし、そこから劇的に変わった人生を歩むこともできるのです。
過ぎ去った人生は取り戻すことはできません。スイッチを押すのが遅くなればなるほど、損失は大きくなります。
失っていけないものを守り、そのために切るものを切る それが「離婚」
損切りをするときに、絶対に切ってはいけないものもあります。人によって、何が切ってはいけないものになるかは違いますが、唯一無二のものは絶対に切ってはいけないものです。(私の場合は、子どもたちです)
今後の人生のために、何を捨てて、何を守るのか。
離婚において一番に考えなくてはいけないことは、「取捨選択」です。大切なものを守るために目先の利益を捨てる、それはいくら人から見て「不利な離婚条件」にみえたとしても、未来を見据えた賢い選択でもあります。
大事なものさえ守れていれば、今後の人生はいくらでもいい方向へ変わっていきます。
守るべきものを守るために、あとからでも手に入るようなものは捨ててしまってもいいでしょう。(もちろん、財産分与や慰謝料など正当な理由にもとづいてお金を請求するのは当然の権利です。)
私が離婚して手に入れた「平和な日々」
DV・モラハラ夫に人生を奪われてしまってはいけません。
モラハラ夫と離婚して、手に入れたもの。それはやはり平和な毎日です。
ビクビク怯えたり、顔色や機嫌をうかがったり、暴れている夫に抵抗できず、ただ「早く静まれ」と願いながら過ごすことはありません。
嫌なことを言われて、それを自分の両親の責任にされて悔しい思いをしたり、感情を押し殺して夫の命令を聞くだけのロボットのようにふるまう必要もありません。
いさかいのない毎日が、本当に幸せです。
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