モラハラ加害者はさぞかし人から嫌われて生きているのだろう、と思うかもしれません。
しかし、モラハラ加害者は人の心理を掴むのがうまく目上の立場の人にはうまく媚び入り、人気を得ることがあります。そうして社会的に見れば上の立場についている場合もあるのです。
社会的に成功を収め、周囲にはいい夫とみられていながら、家の中では非人道的なモラハラを行うという二面性を持ち合わせているのもモラハラ夫の大きな特徴です。
モラハラ夫は一体どういう人物なのか、その特徴を紹介します。
1.モラハラ加害者の特徴
(1)外ではいい人を演じる
外では、人当たりもよく子供の面倒もよく見る、働き者というイメージを抱かせます。家にいるときも、友人などがいある場合はテキパキと動くなど、いつもと違った振る舞いをします。
付き合いの浅い人からは、「いい夫」「いい人」「いい父親」だと思われていることが多くあります。
(2)二面性がある
外と内、目上の人、目下の人などに対する態度がガラリと変わり、ひどい二面性を持ち合わせます。付き合い始めは、人当たりもよく好印象を持たれますが、付き合いが続いていくうちに些細なことで怒鳴るなどの裏の面が見えてきます。日によって態度が変わったりするため、付き合いが長い友人などからは、扱いにくい人だと思われます。
(3)相手の同情を誘う
相手を惹きつけるためや自分が相手から非難されそうになると、自分がいかにつらい体験をしてきたかの過去の体験談や、いまがいかにつらい状況なのかを役者のように語り、同情を誘います。家の中では、「職場でひどい目に遭わされている」ように話し、そのせいで「モラハラをしてしまう」ように話すこともあります。
モラハラ被害者や友人が離れていこうとすると、相手の良心につけ込み、引き留めようとします。
(4)平気で嘘をつく
普通の人は嘘をつくことに、ためらいがあったり、ばれてしまったときのことを考えますが、モラハラ加害者は息を吐くように嘘をつきます。そして、嘘をつくことに罪悪感を感じないのもモラハラ加害者の特徴です。
自分がやったひどいことは妻がやったことにしたり、逆に人の手柄を自分のものにしたりします。
事実を捻じ曲げ、嘘のエピソードを作り上げ、それをさも本当のことかのように他人に言いふらします。
(5)共感する能力が低い
モラハラ加害者は自分の痛みや辛さを周りに過剰に訴える一方で、他人の痛みや辛さを理解することはできません。
例え、配偶者が体調が悪くて寝込んでいても平気で知らんぷりをします。良心がないため、そういった行動に罪悪感を抱くこともありません。
しかし、自分が逆の立場に置かれると、「看病されて当たり前」というようにふるまいます。
ひどい振る舞いに対して「傷ついた」と被害者が言ったところで「そんなことで傷つく方がおかしい」と批判します。
(6)自分のルールに異常にこだわる
結婚すれば、新しい家庭を持ち、夫婦や新しい家族で話し合いをして新しい価値観を築き上げていく必要があります。しかし、モラハラ加害者は自分が育ってきた環境やルールに異常にこだわり、それを変えようとすると激怒します。
まず、自分ルールが絶対なので、そもそも家族間のことも相談せずに決めてしまいます。そして、そのことで衝突をすると、「こんなことは常識だろ!」「お前は常識がない!」と言って、被害者を責めます。
(7)配偶者にお金を渡さない
配偶者に経済力があれば、いざというときに配偶者は加害者から逃げることが出来ます。配偶者に逃げられないようにするため、モラハラ加害者は自分でお金を管理したがります。給料や貯金額を教えないこともあります。
それだけでなく、モラハラ加害者は配偶者のことを便利な道具のように考えており、夫婦としての信頼関係は築くことはありません。配偶者のことを全く信用していないので、モラハラ加害者にとってはいわば他人です。他人にお金を管理してもらう人がいないように、通帳やカード、暗証番号なども教えることはありません。
また、必要な生活費についても、何かと理由をつけて断り、お金を渡すことをひどく嫌がります。
(8)自分に甘く他人に厳しい(ダブルスタンダード)
モラハラ加害者は基本的にダブルスタンダードな考え方を平気でします。例えば、自分は日がな一日、寝て休日を過ごすのを良し(もしくは当然の権利である)とする一方で、妻が家で少しでも休むと「いい身分だな」などと言って怒鳴ることもあります。
自分はしょっちゅう実家に帰るのに、妻には「実家に帰るな!」と自分のことを棚に上げて、平気で言います。
「夫(自分)は良くても妻はダメ」というったマイルールが存在します。
(9)自分と違う価値観を認めない
モラハラ加害者は、自身の考えがすべて正しく、自分の考えに反するものはすべて正しくないと思っています。そのため、いくら言葉を尽くして話し合っても決して考え方を変えることはありません。
また、自分の価値観を周りに押し付けて、同じようにふるまうように強要します。被害者がそれを拒否すると激怒します。
(10)0か100かという考え方をする
1つのことを批判されると、すべて否定されたように受け止めます。
たとえば、「帰るのが遅くなるなら連絡してほしい」と言うと「残業するな!ということか」「誰のために残業していると思っているんだ!」と支離滅裂なことを言ったりしますが、それは、連絡してほしい⇒連絡がないことを批判された⇒帰宅が遅いことを批判された⇒残業したことを批判された、と受け止めるためです。
(11)〇〇すべきという考え方をする
特に理由もなく、〇〇するのが当たり前だ、常識だという言い方をし、自身のふるまいだけでなくまわりにもルールを強要します。そしてそのルールは、自身の作り上げたものだけでなく、モラハラ親のルールが基本になっていることが多く見られます。
〇〇すべきという考え方が自身のストレスになっていたり、そのせいで苦しんでいても本人は気づいていません。それは、モラハラ加害者自身も幼少期にモラハラを受け、そのルールで生きることがストレスになっていますが、そのことを認めてしまうと自分の人生を否定することになるので気づいていないフリ(抑圧)をします。
(12)反省をしない(反省をしたふりをする)
モラハラ加害者は、決して反省をしません。反省したふりをすることもありますが、その場を収めるための演技であり、腹の底では「お前の方が悪い」と思っています。
また、いわゆるハネムーン期には、「もう絶対にモラハラをしない」などと約束をすることもありますが、必ずまたモラハラを繰り返し、しだいに悪化していきます。
(13)傷つきやすい
人から批判されることを嫌い、批判をしてくる相手とは距離を取ります。
たとえモラハラ夫自身の目に余る行いを叱るものであったとしても、受け入れることが出来ず、不当な中傷にあったと受け止めます。批判されたことにだけ焦点があたり、批判の内容を受け止めることはありません。
そのため、職場で上司に叱咤されたことを「どうして叱られたの?」と聞いても、「上司の機嫌が悪くて怒られた」などと捉えます。
傷つきやすいため、批判される空間から逃げようとし、人間関係がうまくいかないために絶縁や転職を繰り返すケースもあります。
(14)自分が被害者であると訴える
人から些細なことでも批判されると、「俺はこんなに傷ついた!」「そんなひどいことがよく言えるな!」と言って大げさに騒ぎます。
「お前のせいで俺は病気になった!」と、本当に精神病院に通うケースもあります。
どちらが悪いときでも、モラハラ加害者が悪いときでも自分は常に「被害者」だと思い込んでいます。
(15)なんでも人のせいにする
自身の失敗はすべて他人のせいにします。怒鳴ることをとっても、「お前が俺を怒らせるからだ!」と言って、すべての問題行動を責任転嫁してきます。
仕事で失敗をすれば「妻が支えてくれないから」「人の教え方が悪いから」と言います。
(16)人の悪口ばかり言う
テレビをつければ芸能人の悪口、友人に会えば友人の悪口、会社に行けば会社の人の悪口、お店に行けばお店の人の悪口というように、常に悪口を言うターゲットを探し、悪口や悪口を言う人を好みます。
(17)嫉妬深い
妻が飲み会や、友人と出かける際には、「こまめに連絡するように」などといい、妻の行動を異常に把握したがります。妻と親しい人に嫉妬することもあります。メールチェックやLINEチェックをすることもあります。
また、親しい人との連絡を断ち切らせることもあります。そのときには、「俺と○○のどちらが大事なんだ」と両者を天秤にかけ、二者択一で選ばせようとします。どちらも大切だという意見には耳を貸しません。
「俺のことを優先させて当然、なぜなら俺は夫だから(恋人だから)」と思い、妻がプライベートを持つことを許せません。
(18)他人の成功を妬む
人の成功を喜ぶことが出来ません。成功した人の悪口を言って妬みます。
今まではモラハラのターゲットになっていなかった相手でも、成功を機にターゲットにされることもあります。
(19)些細なことでキレる
「挨拶が聞こえなかった」など、怒ることでない些細なことで沸騰したかのように怒り、怒鳴ります。キレるポイントは人それぞれですが、主に幼少期のトラウマがきっかけとなっており、幼いころから溜まり溜まったうっぷんが、日常の些細な出来事がスイッチとなり爆発します。
配偶者は、突然怒られることに怯え、豹変する夫に怯えます。
(20)一貫性がない
その場、その場で言うことが変わるので一貫性がありません。昨日と今日とで言っていることが違ったとしても、それをおかしいと思うことはありません。
主義や信念というものを持たず、すべては、モラハラ加害者の機嫌次第です。
(21)相談できる友人がいない
友人は一見多そうに見えるも、何か問題を抱えたときに相談できる友人はいません。友人との関係をよく見てみると、非常に他人行儀であったり、一線を引いて付き合うなどしています。また、利害関係の一致する別のモラハラ加害者とつるんでいることもあります。
相談する相手は、基本的にモラハラ親や、兄弟で、自分と全く同じ価値観の相手にしか相談しません。批判や自分と異なる考え方を受け入れることができないためです。
(22)劣等感が強い
モラハラ加害者は一見、自尊心が高いように思えますが、実際は自分に自信がありません。幼少期から、自己否定を重ねてきた結果、自己肯定感が低いのが特徴です。
自身の抱える劣等感を隠すために、怒鳴ったりモラハラを行います。自身の劣等感をまわりに押し付け、自分の悪いところを他人に投影します。
(23)人の手柄を自分のものにする
人の手柄を横取りします。共同作業、もしくは他人の成果もすべて自分がやったことだと主張します。
自身の手柄のために、他人を利用します。
(24)人にやたらと贈り物をする
劣等感が強いモラハラ加害者は、自身の行いによって人が離れていってしまいますが、そのことをものすごく気にします。そこで、人に贈り物をすることで、関係をつなぎ留めたり、自身の評価を保とうとします。物を贈るのは、物品という分かりやすい形に置き換え、印象付ける一種のパフォーマンスでもあります。また、自信がなく、自分には人を引き留める魅力がないと考えているので、やたらと高価なものであったり、場にふさわしくないものを贈ったりします。
妻が離れていこうとすると、贈り物をする場合もあります。
(25)利害関係で人付き合いをする
自分にとって特になるか、損になるかと言ったことで付き合う人を選びます。自分にとって得になる人物とは近づこうとしますが、損になると判断した人物は切り捨てます。
友人関係においても上下関係や利害関係しか構築できないパターンがほとんどです。
(26)話し合いが出来ない
論点をずらされたり、話し合いをすること自体を拒絶されたりし、話し合いを行うことができません。話し合いが出来ない理由は、「お前の話し方がきついからだ!」とか、「俺は傷ついているのにさらに責めるのか!」などと言って、人のせいにします。モラハラ加害者にとっては、怒鳴ること自体が目的であり、解決は望んでいないため、モラハラ被害者と話し合いを行う必要はないのです。
(27)約束を破る
モラハラ加害者は周りを見下しており、平等であるという意識はありません。そのため、相手との約束を大事にしません。また、自分がいかに特別な立場かを知らしめるために、わざと約束を破ったりします。
(28)やさしいときもある(もしくはあった)
被害者をコントロールできると満足し、急に態度が変わり優しくなります。被害者は、やさしいときもある加害者を見て「本当はいい人」と思い込もうとします。
また、出会った当初は優しかった、付き合っているときは優しかったという、過去に優しい時期があったということも共通しています。
”モラハラをする姿”が真の彼らの姿です。
(29)過度なアピール
自分の能力や自分がいかに優れた人間であるかを周りにアピールします。
親である場合、親戚や友人の前では子どもを可愛がったり積極的に関わろうとします。子どものことも「いい父親」をアピールする道具として利用します。
ただし、真の愛情や真の優しさではないため、アピールする人のいない場所では真逆の人物に豹変します。
(30)世間体を気にする
モラハラ加害者は世間体をやたらと気にします。世間や周りからどう見られるかが行動の基準になり、外では「いい夫」「いい父親」を演じます。そのため、モラハラ行為も外から見えない「家の中」などの密室で行われます。
離婚のときには親権や子の引き渡しなどを要求してくるケースが多くありますが、子どもに対する愛情ではないので注意が必要です。
2.厄介なモラハラ男はそう簡単には変わらない
モラハラは治らないケースがほとんど それは本人に治す気がないから
無自覚なモラハラ加害者の中には、ある時自分がモラハラをしていることを自覚し、そのことで周囲の人間を傷つけていたことに気が付いて治そうとする場合もあります。
しかし、多くのモラハラ加害者は、「自分の方が被害者」だという意識が強く、「自分は悪くない、自分を傷つけてくる周囲が治す(変わる)べきだ」と本気で思っています。
多くのモラハラ加害者は、モラハラを治したり、自分の行動を改善させるために努力することはありません。
3.モラハラ被害者ができることは?
モラハラを治そうとしない!モラハラは対処法で悪化させないよう乗り切って!
モラハラは、本人がまず治す気がなかったり、相手が変わればいいと本気で思っているケースが多く、治療が困難な場合がほとんどです。そして、本人自身が治そうとする気がない場合は、治ることはありません。
彼を支えようと本人以上にあなたが治す努力をしたとしても、残念ながら実を結ぶことはありません。
モラハラ被害に遭っている場合は、モラハラがなんであるかをよく知り、適切な対処法を取ってモラハラが悪化することを防ぐことです。それが、モラハラ被害者がモラハラ被害を少なくする唯一の方法です。
モラハラ被害に遭っているときづいたら、できるだけ早い段階で周囲に相談し、モラハラ加害者と距離を取り、モラハラ被害を受けないように行動を起こしましょう。
モラハラは何もしなければ次第にエスカレートしますし、仲が深まれば深まるほど「共依存」という関係に陥りやすく、脱出することがどんどん難しくなってしまいます。
また下手にモラハラを治そうと努力すると、相手の問題を自分の問題のように受け止めてしまい、「共依存」に嵌ってしまう可能性が高くなってしまいます。
モラハラのエスカレートを防ぐ対処法
モラハラ対策で有効な手段は次のようなものがあります。
- モラハラ男(夫)と適度な距離を取る
- モラハラ男(夫)と話し合わない
- 1対1では会わない
- 自分のテリトリーを守る 侵略させない
- 周囲の力のある人に相談し、間に入ってもらう
その他の対策については、こちらにまとめています。(モラハラ夫以外にもあらゆるモラハラ加害者に使えます)
モラハラだと指摘されたら?モラハラセルフチェックをしよう
もし、配偶者や身の回りの人から「モラハラだ」と指摘されたら、一度冷静になって受け止め、自分の行動を振り返ってみてください。
しかし、必ずしもあなたがモラハラ加害者であるとは限りません。
モラハラ加害者が巧妙な心理テクニックを使うタイプであったり、モラハラに対して知識があるような場合、加害者の方が被害者に「お前はモラハラだ!」と指摘することもあります。モラハラ加害者は被害者意識が高いため、自分の方こそが被害者であると思っています。
どちらが加害者か被害者か分からない、自分がもしかしたら加害者かもしれない、加害者だと指摘されたといったことがあれば、まずはセルフチェックをすることをオススメしています。
まとめ
モラハラ加害者は、みなハンコを押したように同じような特徴を備えています。
結婚生活中、夫との話し合いが出来なかったため、もしかして何らかの発達障害を抱えているのかと疑い、ADHDやアスペルガーなど色々調べましたが、どれも当てはまるような当てはまらないような、といった具合で、これと言った原因は分かりませんでした。
しかし、モラハラの特徴をみたときは見事にすべての項目で当てはまっていて、「あぁ、夫はこれだったのか」と妙に納得したのを覚えています。
モラハラ被害に早めに気が付くことは、被害を無くすためにも重要なことです。
周囲にモラハラ被害に遭っている人がいれば、あなたの被害はこれではないかとモラハラについて教えてあげてください。
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