なぜ離婚率はあがっているのか?女性も生き方を選べる時代へ【データで見る離婚】

女性も生き方を選べる

今や3組に1組が離婚する時代と言われている、日本。

昔と比べて格段に離婚が増えている背景にはどういったことがあるのでしょうか?

目次

離婚率

離婚率は、年々上昇しており、今や3組に1組が離婚する時代だと言われています。

2016年に厚生労働省が発表した人口動態統計のグラフを見てみましょう。(参照:平成29年(2017年)人口動態統計の年間推計)

平成29年(2017年)の人口動態統計の年間推計

これを見ると、昭和48年ごろをピークに日本の婚姻件数は減少しています。昭和48年ごろには120万組ほどあった婚姻件数は、平成28年には約半分の62万組にまで激減。
しかし、その一方で離婚の件数は緩やかに上昇を続けており、昭和48年ごろには10万組ほどだったのが、平成28年には倍の21万組に。

婚姻件数は半分になっているのに、離婚件数は倍になっているのですね!

離婚件数の推移

こちらは、少しデータが古いですが、平成20年までの離婚件数の推移です。(参照:離婚の年次推移
離婚件数は平成24年(2012年)をピークにまた少しずつ減少はしているようです。

年代別の離婚率

「熟年離婚」と言う言葉がよく聞かれるようになったように、婚姻件数が多い時代の人が離婚しているから離婚率が上がっているというような話を聞きます。果たして本当にそうなのでしょうか?

では、年代別に離婚率を見てみましょう。

年代別の離婚率(男性)
年代別の離婚率(女性)

これを見ると、男性も女性も離婚率が最も高いのは「30~34歳」の層であることが分かります。ほとんどの年代で離婚率は上昇していますが、熟年離婚である50代の離婚率は実はそれほど高くはありません。

そして、「25~39歳」までの離婚率は平成2年ごろから大幅に上昇しており、約2倍~4倍も増加しているのです。

「25~39歳」の層が離婚率が高く、結婚の平均年齢が「29~30歳」であることから、離婚率が高いのは結婚5年以内のカップルであると考えられます。

離婚が上がっている原因は?

近年、離婚率が上昇している理由は何があるのでしょうか。

(1)世間の考えの変化

昔と比べると世間の風当たりも変わってきて、柔軟に離婚を捉えてくれる人も増えてきています。昔は、離婚をしたら村八分のひどい扱いを受けることもありましたが、いまは離婚も個人の考え方の1つであると、離婚をする選択肢を受け入れてもらうことができるようになりました。

昔は、離婚をしたくても離婚ができなかったのに対し、今は自ら離婚をするかどうかを選べる時代になってきたのです。我慢してまで、悪い結婚生活を続けなければいけない状況が改善されました。

(2)女性の役割の変化

以前は、男性は働きに出て、女性は家を守るという考えが一般的でした。女性は結婚して家庭に入れば、自分のことよりも家庭の利益を優先させ、多少の問題があっても、子や家族のために結婚生活を続けることを求められていました。

今は男女平等が叫ばれ、男性も女性も同じように働き、家事育児を分担するという考え方に変わりつつあります。

離婚となれば家庭を守る立場の女性が悪いように思われていましたが、今は夫婦のどちらも家庭に対して責任がある時代。女性ばかりが我慢を強いられることは無くなりました。

(3)女性の自立

離婚でネックになってくるのは経済面です。収入がなければ暮らしていくことはできません。昔は、結婚をすれば女性は家に入るものだと考えられていて、結婚後は女性は夫の収入に頼って生きていかざるを得ませんでした。

しかし、今や共働きは当たり前の時代。女性の働き方が変わったことで、女性自身が自立して離婚後の生活を営むことができるようになりました。

離婚後の生活不安が減ったことで、離婚を考えたときに実際に行動に移すことができる人が増えたと考えられます。

(4)結婚への考え方の変化

結婚が女性の幸せだ、と言う考え方が徐々になくなってきています。

「結婚=幸せ」という概念がなくなり、女性も結婚するかしないか、離婚するかしないかは、個人の価値観や考え方が尊重される時代になりました。

(5)個人主義の発達

多少の問題があっても結婚生活を続ける背景には、結婚をすれば個人ではなく家庭の利益を優先させるものだという考え方があるからです。

家庭と言うひとくくりで見れば結婚生活を続けたほうがいいことでも、個人に焦点を当てれば離婚を選択したほうがいい場合もあります。

「家庭のために結婚を続けたほうがいい」と言う考え方に加え、個人主義の概念も入ってきて、「夫にとって離婚をしたほうがいい」「妻にとって離婚をしたほうがいい」「子どもにとって離婚をしたほうがいい」と選択肢が増えたのも離婚を選ぶ人が増えた一因でしょう。

共働きの普及

夫婦のどちらもが仕事をし、家事をし、育児をするとなると、たとえどちらかがいなくても生活が送れるようになってきます。

夫婦がお互いに依存しなくても家庭が成り立つ、それが今のスタンダードになりつつあります。

そうなると離婚したところで、生活にほとんど変化がない場合もあります。結婚生活と離婚後の生活を比べたときに、マイナスどころかプラスになるのであれば離婚を選ぶ人も増えますよね。

世界の離婚率

では、世界の離婚率に目を向けてみます。

世界の離婚率ランキング

1位ベルギー(71%)
2位ポルトガル(68%)
3位ハンガリー(67%)
4位チェコ共和国(66%)
5位スペイン(61%)
6位ルクセンブルグ(60%)
7位エストニア(58%)
8位キューバ(56%)
9位フランス(55%)
10位米国(59%)

何と、1位のベルギーは離婚率が7割越え

1~10位までのすべての国で離婚率が半分を超えています。結婚しても半分以上の確率で離婚してしまうんですね。

日本は、このランキングでは、14位だそうです。

離婚率が上昇中の日本はいつか10位以内にランクインしそうですね。

シングルマザー、シングルファザーは増えている?

離婚率の増加に伴い、シングルマザー、シングルファザーの割合も増えています。(参照:ひとり親家庭の現状

ひとり親の割合

平成24年のデータを見てみると、母子世帯(シングルマザー)は約6.8%、父子世帯(シングルファザー)は、約0.8%。

合計すると約7.6%で、ひとり親世帯の割合が7%を超えました。(子どもの年齢が18歳未満の家庭)

離婚世帯の子の有無

離婚全体では、親権を決めなくてはならない子(20歳未満)がいる割合は約6割です。

離婚全体から見る割合はほぼ横ばいで変化はありませんが、離婚件数が増加しているため件数で見ると、

1950年:47984件 → 2016年:125946件

とおよそ3倍に増加しています。

まとめ

女性が自らの意思で人生を選択できるようになったことが、離婚率の上昇と言う形で表れているのかもしれません。

離婚率はこのまま上昇をし続け、2050年ごろには50%を超えるとも言われています。

そうなってくると、結婚とは何か、離婚とは何か、家庭とは何かもう一度考え直さなくてはなりませんね。

いずれ、結婚制度自体が見直されていく時代が来る気がします。

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