嘘?記憶を都合よく書き換える病気?モラハラ加害者の言うことはなぜ変わるのか

嘘?記憶を都合よく書き換える病気?モラハラ加害者の言うことはなぜ変わるのか

あなたは自分の記憶を疑ったことはありますか?

同じ経験をしたはずなのに、なぜかその場にいた別の人は、自分の記憶とは全く別のストーリを記憶している、なんてことを経験したことはありませんか?

モラハラ被害に遭ってしまった方は、自分の記憶とモラハラ加害者がその記憶をもとに話している内容が全く異なる内容になっていることを何度も経験したことがあると思います。

しかも、モラハラ加害者は厄介なことに「俺は絶対に間違っていない、俺の言っていることは正しいのだ」と自信を持って発言するので、私たちの記憶が間違っているかのような気分にさせられます。

中には、明らかな証拠があっても絶対に認めないケースもありますよね

これは記憶障害なのでしょうか?それとも嘘なのでしょうか?

目次

モラハラ加害者の言うことはコロコロ変わる

もし、複数人いるような状況で、あなたの言っていることが他の人からも正しいと認められるようであれば、大方その記憶の方が信憑性は高いことになります。しかし、家庭内で起こることは、自分と相手だけであったり、子どもがいても子どもが小さいうちなどは十分な証言を得ることができないので、客観的に見てどちらが正しいことを言っているかを判断できません。

大抵、加害者と被害者の言っていることは「正反対」になることが多いのです。

私は、モラハラ被害にあった時には「日記をつける」ことをオススメしています。モラハラ被害の証拠になるかもしれませんし、それ以外にも相手の発言を記録していくことで相手の話の内容が変わっていくさまが客観的事実として残るからです。

私自身、日ごろからつけてきた日記を別居後に読み返したことで、相手の言っている内容が私の記録してあった日常と全く違うことに気が付き、洗脳から抜け出せた経験があります。

モラハラ加害者の話は、過去の記憶に大幅な改ざんがあり、事実と異なる記憶として残っている可能性が高いと言えます。

①自分がやったことを人がやったことにする

これは私の体験談ですが、義姉夫婦の家にお邪魔をさせてもらったときに、自分の思い通りにならなかったことに腹を立てた夫(元夫)が、別れ際に怒り出し乱暴運転をしながら帰宅することになったことがあります。そのあと、心配をした義姉夫婦や義両親からメールが届き、そのメールの内容で夫の思い通りになったためそれで気が済んで、この件は解決に至りました。

義姉、義両親がいて夫が怒り出す場面を見ていたこと、そのあとのメールの内容から、怒っていたのが夫であるということは確実な事実です。

しかし夫はこの時の話を妻である私が怒りだしたために、急いで帰宅しなくてはならなくなったと記憶していました。

その他にも、私がまだ夫と結婚する前に夫が夫の家族と出かけた先で怒り出し、先に帰ってしまったことがあったようです。私にはそのことを「(夫の)父親が先に帰った」と話しましたが、あとで義母や義姉から聞いた話ではやはり夫が先に帰宅していました。

このように自分がやったことをその場にいた別の人がやったことにすり替えて記憶をしていました。

②自分がやらせたことを相手が自発的にやったことにする

私と子どもは夫と義両親から追い出される形で別居に至りました。しかし、このことについても、「別居日に仕事から帰宅したら、妻と子どもの姿がなかった。妻に子どもを連れ去られた」と言う文章が調停の場に出てきました。

夫は自分がやったことを無かったことにしたばっかりか、私たちが自発的に家を出たという主張をしてきたのです。

③人の発言を自分の知識や発言に変える

結婚前に料理をしたことがなかった夫に、一緒に暮らし始めてから料理を教えることが何度もありました。私が夫に教えたことは、数日経つと夫は私と出会う前からそのことを知っていた口ぶりで、数日前に私が教えたことを話すのです。そしていつの間にか、私が夫から料理を教えられている体に変わっていきました。

記憶の書き換えはなぜ起こるのか

ダイヤモンドオンラインに出ている記事を参考になぜこういった記憶の改ざんや書き換えが起こるのかを考察してみました。

参考記事はこちらです。(「自分は変わりたい」と言う人が、 実は「変わらない」と決心をしているのはなぜか-DIAMOND ONLINE

社会心理学には「認知的整合性理論」と呼ばれる理論系列があり、ハイダーの認知的バランス理論やフェスティンガーの認知的不協和理論が有名です。これは、人はなぜピアプレッシャー(仲間からの圧力)に負けるのかを説明する際にも使えますが、何を記憶として思い出せるのかというときにも使えます。

ここで、認知整合性理論とは何かについてちょっと補足をします。

コトバンクでは、認知整合性理論について以下のようにあります。(該当ページ:認知整合性理論

われわれの認知内容にうまくつじつまのあわないものがあると、認知内容のいずれかの部分を変化させたり新しい認知を付け加えたりして、斉合性を確保したり回復したりしようとする傾向がある

つまり、認知している記憶の中に整合性が取れないものがあれば、整合性を取れるように記憶の中の一部を変えること、新しい記憶を付け足すことが脳の中で行われているのです。これは、モラハラ加害者だけではなく、すべての人に当てはまる脳の機能です。

プレシデントオンラインの記事の中にも、

変わる理由は、脳に認知的整合化を行う機能があるからです。脳の機能に注目する必要があります。

とあります。脳の機能が記憶を変えているのです。

記憶は何を求めて変わっていく?

さて、このとき、各々の持っている記憶が『どういう内容に』変わっていくのかは気になるところですよね。

記事の中では、

それは先ほどの話にもあったように、そのほうが自分にとって都合が良いから、そのようにつくっているということなんですね。

とあります。記憶は、「自分にとって都合のいいもの」に書き換わっていくわけです。

またこのようにもあります。

意味があることは覚えているけれど、思い出したくないことは忘れるのです。

私たちは、記憶に残したくないものは、無意識のうちに残さないようにして、意味のある(もしくは意味づけをされたもの)を残す機能が備わっているということです。

ここで、「人は思い出したくないことは忘れる」に注目してみましょう。

私の体験談で、夫は自分の怒り体験をその場にいる別の人がやっていたことにすり替えていました。彼の中で怒り体験は人に知られたくない、自分の中で思い出したくない失敗体験だったのかもしれません。夫の中で、この思い出したくない事実は忘れ去られたのでしょう。すると、義姉や義両親から届いた心配メールだけが事実として残ります。この事実を説明するためには、やはり誰かが怒ったことにしなければなりません。そこで脳の認知的整合化機能が働き、義姉家で妻が怒った、そのために義姉や義両親から心配したメールが届いたというのがあたかも事実のように夫の脳に記憶されたのだと思います。

その他の記憶も、夫にとって「都合のいいもの」に変わっていたことは手に取るように分かります。

言ってみれば、この様な都合のいい記憶の仕方は誰しも起こりえる脳の機能なのです。しかし、モラハラ加害者のように悪いことをする人にとっては「都合の悪いもの」が多すぎて、記憶の改ざんも普通の人よりも多く、大きく起こるのではないかと考えられます。

過去が変わると人も変わる

またこの認知的整合化機能は、他の場面でも働いていたのではないかと思える出来事がありました。

この記事でも書いたのですが、夫から聞いていた過去の話が、結婚前と結婚後でガラリと変わってしまったのです。たとえば、何らかの事故や経験のせいで、全く別の過去を持つようになってしまった人がいたとすれば、それは記憶が変わる前と別の人に変わってしまったと言えるのではないでしょうか。

夫の話す内容が何もかも変わってしまえば、それは私が出会ったときの夫ではなく全くの別の過去を持った別の人です。

最後に

そして、もう一つ、プレシデントオンラインの記事に出てくる言葉で伝えたいことがあります。

過去だって変わるんですよ。実際には。昔のことだから変わらないと皆さん思っているのですが、過去の意味付けさえ変えれば過去は変わります。

過去の出来事が良いものだったか、悪いものだったかは、意味づけによって変わるとされています。

私はモラハラ被害に遭ってしまったけれど、今は、この被害によって気が付けた世の中にある様々な「加害」を知り、夫以外からも受けてきたであろう「加害」や私自身がしてしまう「加害」について学び、知り、改善し、子どもたちにもこの学びをつなげたいと考えています。

いつだったか、記事に「過去は変わらない、でも未来は変えられます」と書きました。

ですが、時間が経過するにつれて、自分自身が体験した過去について思い出す内容が変わってくるようになりました。残念ながら、私の中でモラハラ被害自体が良い経験として思える日は来なさそうです。しかし、この経験から自分自身をいい方向に更新していきたいと思えるようになってきたことも私の体験としてお伝えしたいことです。自分の中に目標が生まれたことが、経験の意味づけを変えるきっかけになったのだと感じています。

最終目標を設定して「経験に意味を与える」のは、僕たち本人です。

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