仕事で家庭で、人を叱る場面は必ずあります。
そういったとき、どういう叱り方をしていますか?
叱り方には『いい叱り方』と『悪い叱り方』があるのをご存知ですか?
『いい叱り方』をすれば、叱られた人は改善し成長をしていきます。お互いの関係も悪くなりません。
しかし、『悪い叱り方』をしてしまうと、改善されないばかりか、人によってはさらに行動を悪化させます。また、お互いの関係にひびが入り、注意が届かなくなります。
行動が改善されないので、さらに怒気を強めて叱らなくてはなりません。そうすると、一層仲が悪くなり、どんな言葉も聞かなくなってしまうのです。
この記事を読んで、『悪い叱り方』を改善し、『いい叱り方』を身につけてほしいと思います。
悪い叱り方の例
感情的に叱る
大きな声、大きな音を立てるなどといった行為をしながら叱ることです。叱られた方が委縮し、恐怖を感じます。
次第に、怒られるから報告をしないでおこう、ミスをした場合でも嘘をついて叱られる場面を避ける行動を取るようになり、結果的にマイナスの行動を助長します。
いつまでも叱り続ける
叱った後は、気持ちを切り替えて次の行動に移せるように促すことが大切です。
いつまでも叱り続けられた場合、叱られた方は行動を注意されたのではなく、自分と言う人間を否定されたと感じます。
この人は自分が嫌いなんだと捉え、距離を取るようになります。
「なぜ」「どうして」としつこく詰め寄る
なぜミスをしてしまったのかと言うことは次回に同様のミスをしないためにも原因を探ることには意味があります。
しかし、口頭で「なぜこんなことをしたんだ!」と言われても、すぐに答えられる人はいません。
特に親が子どもに叱るときに「どうしてこんなことをしたの!」と言う言葉をついついいってしまうこともがあります。
子ども自身も意図せずに起こしてしまったことで、本人自身も理由が分からない(もしくはない)ことだってあります。
「なぜ?」と言うのは一見質問のようにも見えますが、本質は相手を責めるための言葉にすぎません。
叱られた方は心を閉ざしてしまいます。
叱る内容以外の行動を引き合いに出す
あなたは以前もこうだった、というように今回のミスとは関係のないことを引き合いに出して叱るのはやめましょう。
過去のミスをほじくり返されることで、何度もミスをするような「自分はダメな人間だ」と落ち込んでしまいます。
また、その後いくら改善したとしても、一度したミスは挽回できないと学んでしまうことになります。
人格を否定する
叱るのは悪い行動をしたときです。原因は行動にあり、叱られる側の人間性は関係ありません。(わざとやっていなければですが)
「こんなミスをするなんて、お前は究極のバカだな!」と言うように、相手の人格や人間性を否定する言葉を使うと、お互いの信頼関係が崩れてしまいます。
こういった言葉は、言ったほうは何の気なしに言っていても、言われた方は心の傷となりいつまでも忘れないものです。
この発言がもとで、数年などの長い期間を経たのち、人間関係が崩壊することもあり得ます。のちに自分が窮地に立たされた場合、復讐される可能性もあります。
誰かと比較する
「あの人はできるのになぜお前はできないんだ」と誰かと比較して叱ることはやめましょう。
特に親が子どもにこういった叱り方をすると、子どもは僻みやすい性格になります。
別の人間であれば得意不得意は異なります。出来るようになる時期も違います。そのことを理解しておきましょう。
一貫性がない
昨日と今日で言うことが変わるなど、叱る内容に一貫性がない場合、「あの人は自分に機嫌によって人を叱る」厄介な人と思われます。
また次に叱った時に「この人は機嫌によって叱るから話を聞いていてもしょうがない」と思われ、相手から改善する気を奪うことにもつながりません。
理由を言わない
例えば、提案書などを再提出させる場合、どこを改善するべきなのか、どういった点に注意して内容を訂正したらいいかを話さずにただ再提出をさせる人がいます。
「自分で考えろ」と言ったところで部下は伸びずにあなたから離れていくだけでしょう。こういった叱り方をする人は上の立場に立てる人ではありません。
もし、上司がこのタイプであれば、あなたはつぶされてしまう可能性が高いので、すぐに上司から距離を取りましょう。
時間が経過してから叱る
叱るときに効果が高いのは問題行動をしたすぐあとです。それ以外では効果がないばかりか、かえってマイナスの効果を生みます。
叱るタイミングがない場合は後になってからは叱らない、できるだけすぐに叱ることを徹底しましょう。
人前で叱る
誰だって人に叱られているところは見られたくないものです。
自尊心が大きく傷つけられ、叱られた方は落ち込みます。また、反発心の強いタイプであれば、あの人の指示に従うものかと反抗する態度を取るようになることもあります。
仕事へのモチベーションを無くし、退社するケースもあるようです。
いい叱り方の例
改善する方法を具体的に示す
「失敗は成功のもと」と言う言葉があるように、ミスをしたり悪い行動をしてしまったことは悪い面だけではなく、成長をさせるいいタイミングでもあります。
次にどうしたらいいのかは明確に子どもや部下に提示してあげましょう。
また、この人のことを聞くと物事がうまくいくと学び、信頼関係を構築することにもつながります。
質問を使って考えや答えを導き出す
ミスをしてしまった人には「次に同じ失敗をしないためにはどうしたらいいのか」など改善するための道筋を質問を使って考えさせ、導いてあげましょう。
子どもでもある程度大きくなれば自分で考えることができます。
質問を使って自ら考えさせることで、自分で問題を解決できる力をはぐくむことができます。
叱ったらフォローする
叱った後は気持ちを切り替えて、普段通りに接しましょう。
叱られた方は、落ち込んだり、気が立っていたりするものです。
いつまでも気持ちを引きずり、逆恨みをしていたり落ち込んでいる状態では、叱られたことを冷静に受け止めることができません。
一言声をかけてあげるだけで叱られた本人も冷静になり、気持ちの切り替えができます。そうすることで改善への行動に踏み出すことができます。
改善されたら褒める
改善されたらできたことを褒めてあげましょう。
この人は自分の悪いところだけでなく良いところもきちんと見てくれていると分かると、相手も素直に言うことを聞くようになりますし、お互いの信頼関係も良くなります。
相手の気持ちを尊重することを忘れずに
仕事や人生経験では上の立場でも、人間としては対等に接することが大切です。
いいコミュニケーションが取れれば、必ず成長として返ってきます。
それは、本人だけでなくあなたにとっても喜ばしいことにちがいありません。
まとめ
お互いに健全で円滑なコミュニケーションを取れるようにするためには、叱り方に気をつけなくてはなりません。
それは、家庭でも仕事でも、子どもでも部下でも同じです。
大切なのは相手を尊重する気持ちを忘れないこと。
信頼関係を損ねるような発言をしないことです。
信頼関係のない相手からの注意は、聞き入れてもらえなくなり、業務への支障や不仲にもつながります。
叱ることもコミュニケーションであり、コミュニケーションのしかたを間違えると人間関係の悪化につながることを忘れないでください。
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