世の中にはメンタルを強くするための考え方を学ぶ自己啓発書やセミナーなどがあふれています。それは「強くなる」こと目指す人が多いからです。
また、考え方を変えれば心が強くなるとも考えられています。
しかし本当にそうでしょうか?
強くなる必要はある?
誰かに悪口を言われても、本人が気にしなければ何の関係もない。傷つく必要もない。そんな不必要な言葉は自分が受け取らなければいいだけ。
確かにそういう考え方もあります。
そのように強くあれたらどんなに生きやすいかとも思いますが。
でも、悪口を言われたら傷きませんか?
「気にしないように。気にしないように。」にと自分に暗示をかけてようやく悪口の中の1%くらいを退けることができるかもしれません。でもそれは、本当は気になることを無理して見て見ぬふりをしようとしているように思えます。
多くの人は、悪口に傷つきます。それはどんなに容姿に恵まれ、どんなに不自由なく暮らしている人でも同じです。
弱い部分を認めずに、強くならなくてはいけない、それはなんと息苦しいことでしょうか。
本当はみんな「ありのまま」で生きていきたいと願っている
2014年に大ヒットした映画「アナと雪の女王」。
劇中歌でもある「Let It Go」は大人から子どもまで歌う2014年イチの大ヒットソングになりました。
日本でこの映画が大ヒットとなった背景には、この「ありのままの~」のシーンを繰り返し宣伝することで多くの人の心つかんだからだと言われています。
確かに、城の中にいて自分の能力を押し隠し、閉じこもって生きてきたエルサが、能力を抑えていた手袋を捨て、「ありのままの~」と歌い出すシーンは多くの人が心震えた名シーンですよね。
実はこの曲は、日本語版と元の言語である英語版では、歌詞の意味が違うそうです。
ありのままと訳されている「Let It Go」ですが、本来は「もうどうでもいいわ」というどちらかというと投げやりの意味なのだそうです。この歌詞からは、エルサの人を傷つけてしまうかもしれない能力を使ってしまったことへの罪悪感が感じ取れます。
一方、日本語版では、もう隠さなくてもいいと生き生きとして「ありのまま」の自分を認めて歌っているように捉えられます。
日本語版と英語版では実は正反対の印象を与えているのですね。
しかし、この「ありのまま」という翻訳が多くの人の心に響き、映画の大ヒットにつながりました。
これは、多くの日本人が「ありのまま」に生きることができず、そのままの自分でいいことを歌ったエルサから勇気をもらったからに違いありません。
本当はありのままで行きたいと願いながら、社会に適応するために自分を変えなくてはいけないと思い込み、その矛盾の中で多くの人が生きづらさを抱えているのではないでしょうか。
無理に自分を変えることは生きづらさを抱える原因になる
弱い人は、強くならなければならない。
弱いことは悪いことで、強いことは良いことのように教えられます。
でも、人間の本質はそう簡単に変えることはできません。
弱いのに、無理に強くあろうとすれば必ずどこかでほころびが生じて、生きづらさを抱えることになります。
自分の弱い部分はそのままに、弱い自分でも生きていける環境に心を根差せばよい
まずは弱い自分を認めてあげること。
そして次に、いい環境を見極め、いい環境のみに自分の心を根差すことです。
弱い人は、強くあろうとするのではなく、弱い自分でも生きていける環境を見つけましょう。
弱い人にやさしくしてくれる人たちが集まっていて、自分も弱い人にやさしくできる場所。弱くても誰からも搾取されない場所。
そういう環境で生きていけばいいのです。
まとめ
結局人は、環境にものすごく依存する生き物です。
たとえば、モラハラ加害者が育ってしまうのも本人のせいではなく環境です。
環境が人に与える影響は大きい。
強い人を望む環境では、強いことが正義で、強くならなくてはいけないと思わされてしまいます。
エルサの歌にもあるように「ありのまま」でいられる場所を見つけることができたら、生きやすい人生を歩めるでしょう。
- 強くなる必要はない。
- 「ありのまま」で生きていける環境を見つけることが大切。
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