小さいうちから保育園に預けても子どもは可哀そうではない科学的理由

小さいうちから保育園に預けても子どもは可哀そうではない科学的理由

小さい子どもを預けるなんてひどい母親だ!

ということは実は嘘かもしれないんです。

特に子どもが小さいうちに離婚に至り、経済的にも子どもを預けながら働かなくてはいけないシングルマザー、シングルファザーの方は我が子に申し訳ないと心を痛めながら働く選択をしているかもしれません。しかし、実は保育園に預けることは子どもに何のデメリットもなく、むしろメリットであったとしたら?

「かわいそう」「母親失格」という言葉に胸を痛める必要はもうありません。

目次

小さいうちから子どもを預けることを「かわいそう」だと決めているのは誰?

ヨーロッパの国では、女性が子どもを産んだ後でも働くことは一般的であり、子どもを持つ=職を失うという考え方は全くありません。ほとんどの子どもたちは小さいうちから保育園やベビーシッターに預けられて育ちます。そのため、「小さいうちから子どもを預けるのが可哀そう」という認識は親にも、そして子どもにもないそうです。

では、日本ではなぜ「小さいうちから預けると子どもがかわいそう」だと思われているのでしょうか?

親世代の「小さいうちから預けたら子どもがかわいそう」が今の社会に影響している

女性の社会的進出の始まりは、家電の普及により家事に時間をかけなくて済むようになってきた高度経済成長期です。日本の高度経済成長期は、1955~1973年。それは今からおよそ40~60年前です。いまの私たちの親世代は多くが50代以上。つまり、まだ女性の社会的進出が一般的ではなかった頃に赤ちゃん時代をすごしています。一方、イギリスでは日本よりも100年も前に産業革命が起こっています。

私たちの親世代では、女性の社会的進出が始まったばかりで自分自身が小さいころから預けられるということを経験していないために、「小さいうちから母親と引き離される子どもがかわいそう」な気がしてしまうのです。またそういわれて育ってきた私たちにも同じような価値観が備わっていると考えられます。

今の子たちはこの価値観を持たない大人になるだろう

私たちの子どもは、女性進出が一般的になった価値観のあとの子どもたちです。この子たちが大人になるころにはヨーロッパと同じく、女性も子どもを預けて働くことが一般的な価値観になっていると予想されます。

子どもは小さいうちから集団社会で生きていく能力が備わっている

ポポちゃんやメルちゃんと言った赤ちゃんをお世話するオモチャの人形がありますよね。発売以来、長年売れ続けているロングヒット商品です。女の子だけではなく時には男の子にも赤ちゃんの人形を積極的にお世話しようとする姿が見られます。また4,5歳の子どもには自分よりも小さい子のお世話をしたり、かわいがる能力がすでにできています。

私たち人間は、脳の発達により文化的な生き方を選択するようになりました。それは社会を形成し集団の中で生きていくことです。

人間にとって言葉を覚え、知識や文化を継承していくことは生きるうえで欠かせません。

つまり生まれたすぐの子どもも、自身が生まれた文化圏と関わっていかなければ言葉や生活習慣を身につけることはできず、人間らしく生きていくことができません。そのため私たち人間は発達の過程で、幼いころから周りの社会と関わって生きていく能力を発達させてきました。子どものうちから、自分より小さい子の面倒を見る力があったり、血のつながりがなくとも自分より大きい人によく懐く性質は、長い進化の過程で人間が身につけてきた能力なのです。

このような能力は、集団社会を形成する一部の哺乳類にも備わっています。しかし多くの生物は、同じ種類の生きものにもかかわらず他者と生涯ほとんど関わって生きていかないために、自分の母親(や兄弟)以外には懐かないのです。

小さいときから社会と関わって生きていくことは、子どもたちが人間らしく生きる為の能力を伸ばすためにも必要なことだと考えられます。

幼児教育を受けた子どもは「生きる力」が伸びた

幼児教育における学力やIQの向上は一時的なものであるということが分かってきた

幼児教育・英才教育は、近年一時的な効果が見られるものの、継続した効果はなくだいたい中学生くらいまででその差は無くなるとの結果が発表されています。幼児教育は、教育のスピードを上げる点では効果的ですが、IQを底上げしたり、個人の学力を継続的に引き上げる力はないことが分かってきています。

では小さいころから幼稚園や保育園に通うことはどんな効果をもたらしたのでしょうか?

幼児教育を受けたこどもは「社会情緒的能力」が向上し、その効果は継続して続いた

それは社会情緒的能力の発達です。しかもこちらに関しては、継続的な効果があるという結果が出ています。

社会情緒的能力とは、「非認知能力」とも言われ「協調性、外向性、忍耐力、自尊心、好奇心」のことを指します。これらの能力は、いわば人間性ともいえるものです。すぐには効果が表れるものではないものの、この力が育つことで次の年、さらに次の年に別の能力が育っていくということが分かっています。

今までは見落とされてきた能力、近年その重要性が明らかに

人の話を聞く力、自分で考える力、人とうまくやっていく力、自分の意見を発信する力など、これらの力は学力やIQで出すことができないために、今までは見落とされてきました。

IQは遺伝的な要因が強く伸ばすことには限界があります。しかし、学習にはもともとの脳の働き以上に、いろんなことに興味を持てるかどうかや、自分をコントロールして真面目にコツコツ学ぶことができるのかなども深く関係してきます。いくら遺伝的にIQが高くとも学ぶ意欲がなければ、その能力は使われることはありません。外からのいろいろな刺激に対して積極的にインプットできるかどうかは学習においても重要な要素です。

また適切に自己主張ができる、人と協力してうまくやっていけることはチームで仕事をやっていく上で欠かせない能力です。

勉強ができるからと言って必ずしも社会で成功する人間に育つとは限りません。社会で生きていくためには、このように勉強以外の能力も必要です。

幼児教育が伸ばす力「社会情緒的能力」は、人生を成功させる力

社会情緒的能力(非認知能力)」は、人生を成功させるためには必要となっていく力でもあります。人間性を育むことは、人は社会と関わって生きていける力を育むことです。

保育園に通う子どもは小さいころから社会に関わって生きていくことで、「生きる力」を伸ばすことができるのです。

まとめ

離婚をすることで、小さい子どもを預け働く選択をしなくてはならなかったシングルマザーや、母親がいなくなり子どもを預ける選択をしたシングルファザーの方、どうか預けることに罪悪感を持たないでほしいです。子どもにかわいそうというレッテルを貼らないであげてください。

価値観は社会的な背景によって変わっていきます。子どもたちが大きくなるころには、子どもを預けて働くことは当たり前になっているかもしれません。

子どもは幼いときから集団で生きていく能力を身につけています。信頼できる保育園であれば、安心して預けて大丈夫なんですよ。

小さいうちから保育園に預けても子どもは可哀そうではない科学的理由

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