結婚を機に、妊娠を機に、仕事を辞める女性は多くいます。
妊娠で仕事を辞める女性はおよそ6割ほどだそうで、つわりがひどく仕事ができない場合などは産休、育休の制度に当てはまらないため、辞めていかれるケースも多いようです。
さて、専業主婦と大黒柱の夫という構図、もしくはパートと正社員の夫という構図でもいいでしょう。経済的にパワーバランスが崩れている夫婦において、一方から「誰に食わせてもらっていると思っているんだ!」とか「誰に養ってもらっていると思っているんだ」という言葉を言われることは少なくありません。
こんなことを言われるとイラッとしますよね。たとえ夫婦間でも言ってはいけない言葉であると思います。
このセリフはモラハラ行為に当たるのでしょうか?
実は夫婦喧嘩においてもこのようなセリフが飛び出してくることは多くあります。モラハラ加害者、モラハラ夫ではなくてもこういったセリフを言ってしまう可能性は誰にでもあるのです。
では、モラハラと普通の人の線引きはどこにあるのでしょうか?
普通の人の場合
人間は、失言をします。失言とは、言ってはいけないことをうっかりと言ってしまうことです。よく政治家などがうっかりと言ってしまった失言がニュースで取り上げられていますが、立場のある人というのは一挙一動が注目されるため、失言を取沙汰されやすいのです。権力者であっても、識者であっても、どのような立場であろうとも、時には失言をしてしまうことがあるということです。
特に、夫婦喧嘩の際に頭に血がのぼってしまっている状態では、言わなくてもいいことを言ってしまいがちです。さらにこういった状態のときには、お互いの言葉が売り言葉に買い言葉になって、本来思ってもいないことでも言ってしまう可能性があります。そこで「誰に食わせてもらっているんだ!」という言葉がうっかりと飛び出してしまうこともあるでしょう。
しかし、普通の人が失言をしてしまった場合は、その言葉を言ってしまったことを反省したり、その言葉がいかに良くない言葉かを理解して、二度と使わないように注意します。
失言をしたとしても、そのあとの行動で夫婦間を修復できる可能性があります。
モラハラの場合
一方、モラハラ加害者の場合は、好んでこういったセリフを使おうとします。
普通の人が、夫婦関係にひびが入る言葉だと認識している一方で、モラハラ加害者は相手を言い負かす好都合のセリフだと思い込んでいます。
このセリフだけでなく、例えば
「母親失格だな」
「お前は本当に○○だな(欠点をあげつらう)」
といった言葉も好んで使う傾向にあります。
パートナーを言い負かしたり、パートナーを否定するために言うところが普通の人と違う点です。つまり言葉そのものではなく、その言葉を使う背景がモラハラかどうかを決定するということです。
モラハラ加害者は「失言」ではなく「暴言」としてこの言葉を使ってきます。
日常的にパートナーを貶める発言をする人は間違いなくモラハラ加害者です。
モラハラ加害者は、普通の人と違うけれど、それを理解してもらいにくい
調停の場でもこのようなモラハラ加害者からのセリフが理解されにくいのは、一般的な夫婦関係でも使われることが多く、また世代によっては当たり前に行われていたことだという認識が根強いためです。
また友人に相談しても「私も同じことを言われたけれども、言い返してやったわ!」と言われることもあります。しかし、言い返すことができる夫婦関係であればそれは対等な立場である証拠です。
相談した結果、モラハラ被害者は
「私が上手く言い返せないのが悪いのかな」
「これが夫婦関係では当たり前なのかな」
「私の我慢が足りないのだろうか」
「もっと我慢したほうがいいのかな」
と逆に自分に非があるのではと捉えてしまうこともあります。
モラハラ被害から抜け出したくて相談しても、その出口や解決法が分からずに終わってしまうことの方が多いのです。
モラハラ被害者の方はどうか「自分が悪いんだ」という意識を持ってしまうことがないようにしてほしいと願うばかりです。
モラハラ加害者のセリフは明らかな悪意があり、普通の人と根本的に違う
モラハラを受けるのは被害者にも非があるのではと考えられてしまいがちですが、そうではありません。
モラハラ加害者が普通の人と違う点は、明らかに悪意があるということです。
- 仲良くやろう
- 楽しくやろう
- 相手の言うことを尊重しよう
多くの人は、相手を尊重したり、相手とうまくやろうとしています。
しかし、モラハラ加害者はそうではありません。
- 言い負かしてやろう
- 自分の方が偉いことを認めさせてやろう
- 自分のやり方に従わせよう
モラハラ加害者の根本にあるのは、独裁的、支配的な考え方です。
こういった人との関係は誰が相手でもうまくいかないのです。
人に相談するときは、「セリフ」をあげていると理解されにくい
このことから、誰かに相談するときや調停の場で話すときは日常的に言われたセリフを話すだけでは伝わりにくいということが分かります。
まとめ
結婚生活中の夫への違和感は、モラハラ加害者には悪意があり、根本的に他の人と違うことが原因でした。
他の人と明らかに違うけれど、それがなんなのか説明がしづらいのがモラハラです。
そして、一般的な夫婦喧嘩だと勘違いされやすいという問題もあります。これが、モラハラが理解されにくい原因なのです。
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