モラハラの中には長期間に及ぶ「無視」があります。無視は相手に対して何もしていないのだから暴力ではないと思う人もいらっしゃるかもしれませんが、無視も立派な精神的暴力です。
あまりにも激怒したときに「口もききたくない」と無視したり、目もあわせなかったりしたことは、誰しも人生の中で一度くらいは経験したこともあるのではないでしょうか。自分の感情の整理がつかずに「一人にしてほしい」と部屋にこもることもあります。
しかし、モラハラ加害者の無視はときには数カ月に及ぶほどの長期間になることもあり、あまりにもその期間が長すぎるという特徴があります。
おそらく普通の人は何ヶ月もずっと怒っているということは難しいと思います。頭が冷えれば、歩み寄ろうと何かしらの行動を起こすようになるはずです。
モラハラ加害者があまりにも長い期間無視ができるのには理由があると考えられます。
今回は、モラハラ加害者の無視の特徴やその狙いについて解説します。
無視の原因は、途中で怒りから別の感情へと変わる
怒りは本来爆発的な感情なので、長期間怒り続けることはできません。
最初に火がついたきっかけは何であれ、途中からは「怒り」ではなく別の感情が元になって無視が続いていると考えられます。
たとえば、なにがなんでも相手が謝るまでは口をきかないぞ、と意地になっていたり、相手に対してもはや怒りの感情すらもなくなってしまい、心が動かなくなったようなときです。
こういったとき、多くの場合は「関わり合いにならないように無視をする」ようになります。
どちらかが今の状況を打破したいと考えたり、頭が冷えて自分から歩み寄ろうとしたときには、無視の関係が動き出すことになります。
もはやお互いがお互いのことを何とも思わないほどになっていれば、「家庭内別居」に突入することもあります。
無視の原因は、途中から怒りではなく「プライド」「諦め」「失望」「見限り」といった別の原因や感情に変化をしていくということです。
モラハラ加害者の無視の特徴は?
1.「試し行動」が見られる
一方で、モラハラ加害者がする「無視」は、相手のリアクションに対して無視をし続けるくせに、何らかのリアクションをもらおうと働きかけてくることが多いと考えられます。
たとえば、
- すれ違いざまに暴言を言ってくるが、こちらが言い返す前に逃げて部屋にこもる
- やたらと大きい物音を立てて行動する
- こちらがイライラするような行動をわざととる
- 部屋にこもっているが部屋の外に聞こえるくらい大きい声で独り言を言ったり、大声を出す
- 作ったお弁当をわざとごみ箱に捨てていく
といったことです。
被害者のことを「どうでもいい」「話したくない」「関わりたくない」と思っているのであれば、関わろうとせずに距離を取ることで無視をするようになります。
しかしモラハラ加害者たちの無視は、こちらを意識した無視なのです。
無視をし続けているけれども何らかのリアクションをもらおうとする働きかけがあります。
わざと怒らせるようなことを言ったり、わざと気を引く行動をとるといった「試し行動」のような特徴がみられるのです。
2.無視をしているのに怒るときだけ怒鳴って話しかけてくる
無視をしているときに、必ず無視だけが続くとは限りません。
私のケースではいつも無視と無視との間に「怒鳴る」があり、サイクル的に無視と怒鳴るが繰り返されました。
無視をしていることでモラハラ加害者自身が何らかのデメリットを被ることがあります。たとえば、家の中で探し物がどうしても見つからなくて私に聞きたいときなどです。元夫の場合はこういうとき、機嫌を収めて私に普通に話しかけるのではなく、独り言のように突然怒鳴りだします。さらには暴れることもあり、夫を止めるために私が探し物を見つけてくるように仕向けるのです。
中には、モラハラをする目的でその時だけ無視をやめて怒鳴って話しかけてくることもあります。
3.無視をすることで二次的デメリットを与えようとする
中には、無視をすることで相手を困らせようとするケースもあります。
たとえば、「夕食を食べるか食べないのか」「お弁当はいるのかいらないのか」といったことを聞いても無視をして返事をしないのにもかかわらず、用意されていなければそれを妻の非だとするのです。
夕食が用意されていないことに対して、「遅くまで働いた夫に対する仕打ちがこれか!」などと言って怒り出します。
他にも、書いてもらわないといけない書類を書かない、必要なお金を渡さない、伝えてもらわないといけない業務連絡すらしないといったことです。
無視そのもののストレスに加え、無視をされることで二次的なデメリットを受けます。
無視をするだけで被害者に大きなデメリットがある場合は、わざわざ試し行動をしなくても被害者にダメージを与えられるため、無視の最中にかかわってこない場合もあります。
4.困っている姿を見ても罪悪感を感じない
無視をしたことで相手が何かしらのデメリットを受けた場合、普通の人であれば「やりすぎだっただろうか」「大人げなかったな」と罪悪感を感じ無視をやめようとすることもあります。
しかし、モラハラ加害者たちは苦しんでいる被害者の姿を見ると罪悪感を感じるどころか安心し、喜びます。
被害者の苦しみが彼らのモラハラ行動のストッパーにはなりませんし、むしろ加害行動を加速する可能性もあります。
5.さっきまで無視をしていたのに急に無視が終わる
ある時突然の無視が始まって、どんなに謝っても許してもらえなかったのに、またある時に突然無視が終わることがあります。
モラハラ加害者の態度は、ジェットコースターのように急激に変化し、その変化に違和感を感じることがあります。
普通の人であれば、段階を踏んだり、お互いが何らかのきっかけや働きかけがあり和解に繋がります。しかし、そういった前触れもなく突然態度が変わるのです。
急激に態度が変わる理由は、彼らが「無視」によって自分の方にデメリットが出そうになったり、また「無視」をし続けたことで満足したために起こります。
モラハラ加害者の「無視」の目的や理由は?
いずれにせよ、モラハラ加害者たちが無視する理由には
- 被害者を困らせたい
- 被害者が苦しんでいる姿を見たい
- 被害者にとって自分がいかに必要な人間なのかを分からせたい
- 被害者に気にかけてもらいたい
という感情が根底にあると考えられます。
「怒りのあまり会話をしたくない」「顔を合わせるのもいやだ」「コミュニケーションを取る気力もわかない」という普通の人の感覚と大幅なズレがあります。
モラハラ加害者たちは自分がいかに偉い人間かを分からせるために「無視」を使う
モラハラ加害者は自分が偉大な人間であり、その偉大な人間を怒らせるとどうなるのかを被害者に分からせるために「無視」を利用します。
更には、単に怒りの原因がなかったとしても「ゲーム感覚」で無視をすることさえあります。自分の采配一つで被害者がおろおろしたり、無視が止んで喜んだりすることが楽しいからです。
そうして、無視をすることで彼らの自己肯定感を少し回復することができます。
元々自己肯定感が低いモラハラ加害者は、こうしてときどき被害者に全く非がないことであったとしてもモラハラをしなければ、自分自身の弱さにつぶされてしまいます。
定期的にご飯を食べなければ死んでしまうのと同じように、モラハラ加害者は定期的にモラハラをしなければ死んでしまうのです。
彼らが無視のターゲットに選ぶのは、関わり合いにならなくてもいい人間関係ではなく、関わらなくてはいけない人間関係です。
家族、部下などある一定の人間関係の中で、自分から無視されれば困る人をターゲットにするのです。
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