モラハラを受けたことを相談したときに、言われるのがつらい言葉は、何よりも「そういう相手を選んだのはあなたでしょう?」という途方もない一言です。
モラハラ被害を受けるに至った責任はいったい誰にあるのでしょうか?
相談をすると、その犯人探しが始まります。
「モラハラ加害者も悪いと思うけれど、あなたも悪いところがあったんじゃないの?」
「そういう相手だと分かっていて結婚したんじゃないの?」
「夫婦は合わせ鏡だよ」
「もっと相手を立てなきゃ」
自分の悩みが解決するどころか、もっと追い詰められてしまう言葉の数々です。
モラハラ被害を受けたのは、あなたが悪かったからなんでしょうか?
モラハラ被害者を苦しめる言葉
あなたにも悪いところがあった
「中立的な立場」を自称する人たちから、夫婦で起こることはすべて”お互い様”であるという言葉を投げかけられることがあります。
しかし、モラハラ被害においては被害者に落ち度があったからモラハラを受けることになったという意味になり、被害者を傷つけるばかりか、モラハラ行為を正当化してしまう非常に悪質な言葉です。
もちろん、被害者が被害を受けたことに落ち度など無く、こんな言葉を信じてはいけません。
夫婦は合わせ鏡
- お互いに似たようなところがある
- 一緒にいると似てくる
- 似たもの同士
といった意味で使われます。
この言葉は、モラハラを受けている被害者にとってつらい言葉です。なぜなら、ものすごく嫌悪感のあるモラハラ配偶者とあなたが「似ている人」だと言われることはひどく傷つく言葉だからです。
モラハラ加害者と被害者の関係は、むしろ凸と凹であり、モラハラ加害者は自分に無いものを持っている人と一緒になることで自己肯定感を得るため、もしくは自分がモラハラをするできる相手として被害者を配偶者に選んでいます。ですので、加害者と被害者は似ているどころか正反対なタイプが多いと考えられます。
許してあげて
モラハラ被害者は何もしつこく被害者でいたいわけではなく、あまりにひどいことをされてしまったために、許したくても許せない状況に追い込まれています。
いずれ遠い未来に過去のモラハラ被害を清算することができる日がやってくるかもしれません。しかし、それは長い時間がかかりますし、許せる日が来ないこともあります。長いこと被害の後遺症に苦しむ人も少なくはありません。
被害者が被害を許せない、加害者を許せなくても当然のことです。
また無理に許そうとしてしまうことで、逆にトラウマや後遺症が長引いてしまうことにもつながります。
時が解決するまで自分の気持ちをそっとしておくことが、被害者にとってもベストなのです。
分かっていて結婚したのだから自己責任
多くの被害者に投げかけられる言葉に「分かっていて結婚した」「たとえわからなかったとしても見抜けなかったあなたが悪い」というものがあります。
この言葉は、問題を解決するどころか、問題の出所や責任を誤って被害者に擦り付ける行為に他なりません。
解決方法を探すためには、結婚がどちらの責任にあったかはどうでもよく、この時に「自己責任」という言葉を使う人はこの問題についてあなたに寄りそう気のない態度の表れでもあります。
この言葉を投げかけてくる人の多くは、離婚問題について詳しくなく、解決策を導き出せないことが多いので、相談先としては良くないでしょう。
モラハラ被害者が聞いてはいけないアドバイス
相手を怒らせるのは伝え方が悪かったのでは?
とか
相手を立てるようにすれば、夫婦関係はうまくいく
などです。
モラハラに理解のない第三者から「あなたも悪い」と言われてしまうと、実は自分自身が悪いのではないかと考え方が揺らいでしまいます。
特に日本では多くの人がモラハラに対しての知識がないままです。すると、多くの人から上のようなアドバイスをもらうことになってしまい、被害者は「やっぱり、私も悪いところがあったのだろうか?」という認識を強めていきます。
こういった無理解により、本当は悪い環境にいるのに「自分の努力が足りない」と思い込んだり、自分が変わることで相手も変わると誤認することになります。
このようなアドバイスは被害者がよりモラハラ環境で頑張ることを強いられ、さらにはモラハラから抜け出せないことに繋がります。
自分の態度が変われば相手が変わるのは、正常な人間関係だけです。モラハラ加害者は、相手と対等であると思っていません。むしろ、物かなんかのように思っています。モラハラ加害者の思考回路は、普通の人の想像の範疇を超えています。
普通の人が夫婦関係を改善するために言うアドバイスは役には立ちません。モラハラ加害者には、モラハラ加害者専用の対応のしかたが必要になってきます。そして何より必要なのは、モラハラを正しく知ることです。
被害者がいくら態度を変えたところでモラハラは収まらないということを知っておきましょう!
モラハラ加害者がモラハラを行うのは、単にモラハラがしたいから
モラハラ加害者がモラハラをするのは単に「モラハラがしたいから」にすぎません。つまり理由はどうでもよく、理由がない場合であれば、その理由をでっちあげてでもモラハラをします。そこに被害者の責任や落ち度はありません。
モラハラ加害者は単にモラハラをしたいばっかりにモラハラ行為をしてきます。
相手を選んでやってはいますが、基本的には誰に対しても同じ精神で接しており、対等な関係はひとつもありません。
まとめ
モラハラ加害者はあなたと出会う前からモラハラ加害者であり、被害を受けたことについて被害者の責任はありません。
モラハラ行為の責任を取るべきなのは、いい大人であるモラハラ加害者本人のみです。
もし、モラハラ被害者が責任を取らなくてはならないことがあるとしたら、それはモラハラ加害者を配偶者に選んでしまったというその一点のみです。そして、それも落ち度があるとは言えないことです。
モラハラ加害者を配偶者に選んでしまったことで被害を被るのは、本人と、その子どもです。ですので、モラハラ被害者は、子どもがモラハラ行為の被害者にならないように環境を整えることや、自身に及ぶ被害を無くすためにモラハラ加害者と決別することだけが被害者ができる「責任の取り方」です。
決して、モラハラ行為の責任を取ろうとしてはいけません。
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