モラハラを受けていても、「どこに相談したらいいのか分からない。」「暴力を受けていないのに、DV相談窓口に相談してもいいのか分からない。」と悩み、適切な相談先を見つけられずに終わってしまうことが多くあります。
そうこうしているうちにモラハラがエスカレートし、マインドコントロール下に置かれると今度は逃げ出すこともままならなくなります。出来るだけ早めの相談、脱出がモラハラ被害を断ち切るための鍵になります。
モラハラ被害は周囲に理解されにくい
モラハラ被害は、暴力と違い被害が目に見えにくいという特徴があります。本人自身も被害を軽く考えていたり、周囲も「夫婦喧嘩の延長」だと誤って認識していることもあります。
たとえば、モラハラに遭ったことがない人は、夫からのモラハラ行為に対して
「言い返せばいいじゃん!」
「どこの夫婦にでもあることだよ。」
「男は立てて伸ばさなきゃダメ!」
といった間違ったアドバイスをしてしまうこともあります。周囲に相談したことで、かえって被害を理解してもらえずに孤立し、さらに深刻化してしまうこともあるのです。
モラハラはただの夫婦喧嘩ではなく立派な精神的暴力です。
こういった「共感性のなさ」「周囲の無理解」から、抑うつ状態、不安感、食欲不振、不眠といった心身の症状が表われることを「カサンドラ症候群」といいます。この状態になってもなお、本人が被害に無自覚であることすらあります。
モラハラ被害を少なくするためには、
- いち早く被害に気が付く
- 夫婦喧嘩とは別物であることを知る
- モラハラは治らないケースが非常に多いことを知る
- 被害を少なくするためには行動しなくては次第にエスカレートしていくことを知る
- 相談や行動は早めが肝心
を覚えておかなくてはいけません。
モラハラ被害を無くすためには確かな知識と周囲の協力が必要不可欠
モラハラ被害を無くすため、少なくするためには、『モラハラ』への適切な対処法を知らなくてはいけません。昔から言われているような、女性は男性を立てるべき、褒めて伸ばす、アイメッセージ(私を主語にした話し方)をするといったことはモラハラには通用しません。
対処法を間違うと悪化します。
また、周囲で信頼できる人と支え合うこともエスカレートの予防につながることがあります。
決して「夫婦の問題だから」と自分一人で抱え込んでしまったり、周囲の無理解から「どうせ私なんて」と孤独に突き進むようなことがないようにしてください。
自分で解決しよう、夫と話し合おうと努力してしまうと、対処しきれなくなる状態まで陥ってしまうことに繋がります。
パートナーだけではなく、ご自身のこと、子どものこと、大切にしなくてはいけないものを大切に出来なくなる前に、早めに公的機関などに頼り、支援へつなげてください。
モラハラの相談先 一覧
それでは、モラハラを受けている場合、どこに相談をすればいいのでしょうか?
公的機関の相談先をまとめました。
1.DV相談ナビ
どこに相談をしたらいいのか分からない場合は、まずDV相談ナビに相談するのがいいでしょう。DV相談ナビは、「配偶者から受けているDVをどこに相談したらいいのか分からない」という方のための窓口です。
DV相談ナビでは、全国共通の電話番号(0570-0-55210)から、相談機関を案内してくれます。番号は全国共通ですが、発信地情報等から最寄りの相談窓口に転送してくれて、直接相談することができます。
※ご利用には通話料がかかります。
2.配偶者暴力相談支援センター
配偶者暴力相談支援センターでは、配偶者からの暴力全般に関する相談を受け付けています。
暴力の中には、精神的なものも含まれており、モラハラの場合でも相談に乗ってもらうことが可能です。
また、相談だけではなく
- 相談や相談機関の紹介
- カウンセリング
- 被害者及び同伴者の緊急時における安全の確保及び一時保護
- 自立して生活することを促進するための情報提供その他の援助
- 被害者を居住させ保護する施設の利用についての情報提供その他の援助
- 保護命令制度の利用についての情報提供その他の援助
も行っています。
別居や離婚を考えるには、自活した生活を送るための支援が必要になります。情報提供や援助により、将来の生活の足掛かりをつくることが可能です。
相談の前には、事前に連絡することをオススメしています。
こちらから、最寄りの配偶者暴力相談支援センターを探すことができます。→配偶者暴力相談支援センター一覧
3.婦人相談所
婦人相談所では、女性に関する様々な相談を受け付けてくれています。
各都道府県に1つずつ期間が設けられていますが、住んでいる場所から遠い場合でも、面接相談や巡回相談を受け付けている場合もあります。
まずは、電話で相談してみましょう。
こちらから、各都道府県の婦人相談所を探すことができます。→婦人相談所一覧
4.女性センター
都道府県、市町村等が自主的に設置している女性のための総合施設です。
「女性センター」「男女共同参画センター」など名称は様々です。
施設によって利用方法が異なりますので、まずは最寄りの女性センターへご相談ください。
こちらから、各都道府県の女性センターを探すことができます。お住まいの都道府県を選択してください。
- 北海道・青森・秋田・岩手・宮城・山形・福島
- 神奈川・埼玉・千葉・茨城・栃木・群馬・山梨
- 東京
- 新潟・長野・富山・石川・福井・静岡・愛知・三重・岐阜
- 大阪
- 京都・滋賀・奈良・和歌山・兵庫
- 岡山・広島・山口・鳥取・島根・香川・徳島・愛媛・高知
- 福岡・佐賀・大分・熊本・長崎・宮崎・鹿児島・沖縄
5.福祉事務所
住む場所を探したい、生活資金の援助を受けたいなど、これからの新しい生活を始めるにあたっての相談窓口です。モラハラをする配偶者から自立したい、離れたいと思ったときに、住む家やお金の問題で躊躇してしまう場合は、福祉事務所に相談してください。
母子生活支援施設などへの入所も福祉事務所が窓口となります。
こちらから、お住まいの地域の福祉事務所を探すことができます。→福祉事務所一覧
6.日本司法支援センター(通称:法テラス)
トラブルを法的に解決するときに、必要な情報を教えてくれたり、サポートをしてくれる施設です。お金がないときでも、法制度、手続き、相談窓口などを無料で教えてくれます。
弁護士に依頼したい場合でも、多くの人は、どの弁護士に依頼すればいいのか分かりませんし、弁護士の連絡先を知りません。法テラスでは、弁護士の紹介も行っています。
また、法テラスの制度を利用すれば、経済的に余裕がない場合でも、弁護士を利用することができます。
- 無料法律相談
- 弁護士や司法書士費用などの立て替え
※利用するには一定の条件を満たしている必要があります。
電話相談だけでなく、面談や24時間受付のメール相談も受け付けています。
こちらから、相談の連絡先等を確認することができます。→法テラス 相談をご希望の方へ
7.警察
モラハラ加害者が暴れて手が付けられず、緊急を要する場合は、110番が最も適切です。
自傷他害の恐れがある場合は、警察によって保護してもらうこともできます。
8.精神保健福祉センター
モラハラをする人の中には、繰り返し自殺未遂をするケースもあります。
モラハラでの自殺未遂は狂言だとする専門家もいますが、本当に狂言かどうかは判断ができませんし、万が一のことがあってはいけません。
様子がおかしいが病院にかかることが難しい場合、看護する家族のケアを必要としている場合なども相談することをオススメします。
メンタルヘルスに関するEメール相談を受け付けている都道府県もあります。
※緊急の場合は119番が適切です。
9.その他 サポート施設等一覧
また、女性や子どもを保護してくれる施設もあります。必要に応じて利用を相談してみましょう。
9-1.婦人保護施設
家庭環境の破綻や生活の困窮など、様々な事情により社会生活を営むうえで困難な問題を抱えている女性を収容、保護する施設です。
婦人相談所を通じて保護が行われます。
9-2.母子生活支援施設
児童(18歳未満)及びその保護者(配偶者のない女子又はこれに準ずる事情にある女子)が対象です。子どもが満20歳になるまで在所することができます。
福祉事務所を通じて保護が行われます。
相談するタイミングはいつがいいの?
「まだ耐えられる…」と思っているうちにマインドコントールが深くなり、いよいよ逃げる気力も失ってしまうこともあります。モラハラ被害に遭っているのであれば、出来るだけ早いうちに相談をすることが望ましいでしょう。
モラハラは、必ずエスカレートしていきます。今耐えられたとしても、いつかは耐えられなくなる時がやっています。耐えられなくなってから動き出そうとしても、身も心もボロボロで相談すらままならない…そういうこともあるのです。
相談先のご担当者の方は冷静です。DVの場合であっても、すぐにシェルターに避難しなさいとはなりません。逃げ出したことが配偶者にバレれば、再び家に戻ったり、対面するときにかなりの危険を伴うことが分かっているからです。
「もし将来的に逃げ出すことがあれば、どのような選択肢があるのか」
「どんな備えが必要で、そのために今から何をしておけばいいのか」
そういったことを聞いてください。
そうすれば、いざ逃げ出さないといけなくなったときにすぐに動け、用意をしてあるからこそ、失うものも少なくなります。
もしその時に備えがなくて、身1つで逃げることになれば、そのあとの人生が大きく変わってしまいます。
相談をしたから別居をしなくてはいけない、離婚をしなくてはいけないということはありません。相談することで、将来の選択肢を増やすことができます。
そして前もった情報や備えがあったからこそ、「良い別居」「良い離婚」ができることになるのです。
まとめ
これらの公的機関への相談記録は、モラハラがあったことを証明する証拠にもなります。
また、あなたの未来をつくるための様々な支援や援助を受けることもできます。
大切なのはひとりで抱え込まないこと。
相談することで違った未来が待っているはずです。
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