「借りぐらしのアリエッティ」という映画があります。スタジオジブリの有名な作品ですので、皆さんもよくご存じかと思います。
この作品はファンタジーでありながら、ファンタジーにつきもののあることが欠けています。それが何だか分かりますか?
それは、「戦う」ということです。
アリエッティは、住むところを人間に知られて壊されてしまいますが、住むところを奪った人間と戦うことはしません。次に住むところを探し、引っ越しをするところで物語は終わっています。
この映画を見た当時、誰も戦わないというストーリーがものすごく革命的で斬新であると目に映りました。今まで自分が見てきた映画や漫画、小説の主人公は何かと戦うことがストーリーの軸にあるものばかりだったからです。この映画を見るまで、戦って自分の居場所を得たり、何かしらの困難にぶつかった時は勇気を出して対峙しなくてはいけないということはごく当たり前のことであると思い込んでいました。
借りぐらしのアリエッティを見て初めて「戦わないという選択肢」があるということに気づくことができたと思います。
1.モラハラ対策に使える本の紹介
さて、前置きはここまでです。何かしらの困難や問題にぶつかった時に「戦わない」選択をすることもできるということを覚えておいてください。そして戦わないことは、モラハラ対策にも適した方法であると私は考えます。
しかし、戦わないということは怒りをこらえて我慢するということであってはいけません。怒りをため込めば、心のバランスを取るためにどこかで怒りを発散しなくてはならなくなります。そしてそれは大概、自分より弱い相手に向いてしまい、向くべきベクトルを誤ってしまうことが多いように思います。
ですので、戦わない=怒りを封じ込めて我慢するということではないのです。
では、最良の「戦わない」方法とは何でしょうか?
戦わない方法というのは小説や漫画には出てきません。具体的に何をすればいいのか分からない方も多いと思います。
そこで、戦わない方法を学べる本の紹介です。
「頭に来てもアホとは戦うな!」という本があるのをご存知ですか?この本が発売された2018年12月には、本屋に行くと目立つところに平積みされるほど売れていた本です。
作者による前書きにはこうあります。
この本は「非戦の書である」。
非戦の書という響きに沸き立つものを感じますが、この本はタイトル通り「戦わない方法」について書き記されています。約50もの戦略が乗っていますので、まずはできることから始められるという気軽さもあります。
2.この本がモラハラ対策に使える理由
タイトルのアホというのは、こう定義されています。
要は、むやみやたらにあなたの足を引っ張る人だ。
本文中にもこの定義された「アホ」という単語がやたらと出てくるところが面白くもあります。
ちなみにこの「アホ」についてはこうも書かれています。
あなたにしつこくアタックしてくるアホの特徴は、まず暇であること。暇に加えて、これはあなたが知らねばならない大事な特徴だが、このアホはあなたに強い関心がある。
この特徴は、モラハラ加害者にも非常によくあてはまると思っています。
こちらの記事にも書いていますが、モラハラ加害者がターゲットに選ぶのは、自分にとって利用価値のある人間です。
つまりこの本で定義されているアホには、モラハラ加害者も入ると考えていいと思うのです。
この本の戦わない戦略というのは、モラハラ加害者と対峙するときにも使える技術ではないかと考えます。
3.得るものがない相手とは戦わない
戦うべき相手はアップサイドがある、つまり相手にすることでこちらも得るものがある人間だけに絞ろう。怒りをぶつける対象も選ぶべきなのだ。
これは非常に的を得ており、いかにモラハラ加害者と闘うことが無意味であるかを実感できる一文でもあります。
残念ながらモラハラ加害者と対峙することには、得るものが全くありません。彼らは常にその場その場の一瞬の時を生きている人間であり、安定した人間関係を構築することや、一貫性のある主義主張をすることはありません。私自身も何度もコミュニケーションを取ろうとしてきましたが、築き上げてきたものですら一瞬で壊され、全く無意味に終わりました。
また、相手はなにがなんでも自分の気持ちを受け取らせようと、こちらが相手の望む反応を返すまでしつこく食い下がってきますが、こちらの気持ちは微塵も受け取ろうとしません。モラハラ加害者にこちらの感情を理解してもらおうとしても、「お前のせいだ」「お前が悪いのだ」と傷つけられる言葉を投げ返されるのみで、余計に悲しみを増やすだけに終わります。
戦う相手は戦う価値のある人間にのみにしましょう。モラハラ加害者は戦う価値もない人間です。それを覚えておいてください。
4.戦わないという選択肢はメリットがある
ちなみにこの本を紹介している私はどちらかというと「戦う」タイプです。離婚のときも、理不尽な相手の要求や相手の嘘まみれの主張文に怒りがこみあげて、弁護士から送られてきた書類を持つ手が震えていたのを覚えています。そして、相手の嘘に対しての反論文も作成しました。
怒りや憎しみという感情はコントロールすることが難しいものです。さぁ、今から怒るぞと思って怒り出す人はいません。怒りは突発的にやってきて、瞬時に燃え上がります。
一方、憎しみは怒りの感情が長く続いて次第に変化したものであると考えられます。
怒りも憎しみもどちらも炎に例えられることの多い感情ですが、爆発的な怒りに対して、憎しみは怒りよりも熱く、すぐに消えることのないいわば溶岩(マグマ)のようなものであると思います。
怒りや憎しみといった感情はコントロールすることが難しいばっかりにその矛先が間違った方向に向いてしまうことがあります。そして、怒りや憎しみに支配されているときは、ベクトルを間違えていることに本人が気づいていないことが多いのです。
モラハラ加害者への怒りや憎しみを持ち続けることで、誤った選択をしてしまってはいけません。
弁護士に止められて、反論文は出すことなく調停を終えました。もし出していたら、離婚の話をまとめるための調停ではなく、夫の嘘に翻弄される調停になっていたかもしれません。
5.戦わずして勝つ方法を身につけ、モラハラ加害者対策に使おう!
この本は、戦わずして勝ち、「人を意のままに動かす」方法を書いています。しかしそれは、相手を攻撃し支配するモラハラ加害者のコントロールとは真逆の方法です。そしてこの方法を模倣ることができれば、モラハラ加害者ですらコントロールし、モラハラ被害を遠ざけることができるのではないかとも思います。
モラハラ対策には根性論やポジティブシンキングを身につけるための自己啓発的な内容では対応することはできません。この本がモラハラに役に立つのはこれが戦略であるからです。モラハラ被害者はすでに頑張ってきているので、これ以上何かを頑張り続ける必要はありません。
まとめ
この本は前書きに「経営戦略」という言葉が使われていることからも分かるように、主にビジネスで使える手法が書かれています。
特に後半はビジネス戦略でまとめられているので、モラハラ加害者に使える部分は主に第2章と3章です。
そして第5章のP162~172では、まさにモラハラ被害に遭っている人が読むべき内容が書かれています。
「失敗したことのある人間でないと信用できないし、大きな失敗ができるということは相当な実力がある証拠であり、また、その大失敗から学べる人間であり、学んだことはかけがえがない」
これは人生の失敗においても当てはめることができる言葉であると思います。
モラハラ被害に遭ったことは不幸なことですが、結婚生活で学んだこともあります。今後は、それを活かした人生を歩んでいきたいと思います。
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