モラハラ加害者たちは多くの場合、かつてのモラハラ被害者でもあります。
一枚のコインの表と裏のように、ひっくり返れば加害者にも被害者にもなります。そして、同時期にある人からはモラハラを受け、また別のある人にはモラハラをしているということもあるのです。
モラハラ被害者は、相手にモラハラをやり返すことで、「モラハラ加害者を制する」こともできると考えられます。
しかし、このやり方には問題もあります。
モラハラをやり返すことは有効?
モラハラでは、怒鳴る、人格否定をする、物に当たる、無視をする、物を壊すといった暴力を伴わない精神的な暴力です。そして、モラハラ加害者たちは、優しい被害者が何もやり返さないことをいいことにモラハラをエスカレートさせていきます。
もし、モラハラ加害者のモラハラを止めさせようとした場合、実は「相手にモラハラをやり返す」ことでモラハラが止む可能性があります。
モラハラをやり返すとは、モラハラ加害者に対して、怒鳴る、人格否定をする、物に当たる、無視をする、物を壊すといった行為をやり返すことです。
彼らは傲慢なので、まさか被害者から反撃されるなんて思ってもいません。
不意を突いてやり返されたら、「モラハラに対して弱い側面」も持ち合わせている彼らは、とたんに機嫌を取る側に回ったり、ビックリして逃げて行く可能性も高いのです。
「モラハラを持ってモラハラを制す」の問題点
しかし、この対策は決して万能ではありません。むしろデメリットの方が多いと考えられます。
1.上下関係がひっくり返ればモラハラ被害者に戻ることがある
モラハラの加害者と被害者はコインの表と裏です。もしやり返すことで、そのコインがひっくり返ったとしても、それはまた、逆にひっくり返される危険性だってあるということです。
特に、それはあなた自身が弱っているときに転じやすいと考えられ、離職、病気、親の介護、離別、死別と言った誰かの支えが欲しいときにやり返される可能性が高いと言えます。
長年妻にモラハラをしていた夫が、定年や病気、介護と言ったタイミングで妻からやり返されたり、離婚されたりすることは実に多くあります。
モラハラ加害者とモラハラで勝負をするということは、「やる」「やり返される」という紛争状態に身を置くことに他なりません。
コインがくるくると回転するがごとく、加害者にもなり被害者にもなり続ける争いの関係をつくることになってしまいます。
それは安定したぬくもりのある人間関係とは程遠いと言えるでしょう。
2.別の第三者に対してもモラハラをしてしまう可能性が高まる
モラハラ加害者にだけモラハラをするという使い分けは実はものすごく難しいのです。
モラハラをやり返そうとすればするほど、他の人に対してもモラハラ行為をしてしまう可能性が高まります。
モラハラのきっかけがいくら加害者のモラハラ行為を止めるためであったとしても、別の人にまで攻撃をするようになれば、それはもはやただのモラハラ加害者です。
モラハラ被害を無くすどころか、更なる被害を呼ぶ加害者に転じてしまうことになります。
モラハラを無くすためにやったはずなのに、これでは本末転倒です。
3.モラハラを呼び寄せ、モラハラから抜け出せなくなる
また、モラハラ加害者に対してモラハラをやり返すことで制しようとすれば、モラハラ加害者はモラハラ環境が大好きなため、モラハラをするあなたにしつこく粘着するでしょう。
彼らは、同じような考え方をする人を好むからです。
たとえば、モラハラ加害者の中には、親からモラハラを受けているのにもかかわらず現在も親と一心同体のように連絡を取り合っていることが多くあります。彼らは、同じような考え方をする人とつるんで行動し、安心して生きていけるモラハラ環境を作ろうとします。
モラハラ加害者から粘着されてしまえば、あなたの人生はモラハラと切っても切り離せないものになります。モラハラをすることでモラハラ加害者を呼び寄せ、モラハラから抜け出せなくなってしまうのです。
4.一方的に加害者に仕立て上げられる
また、被害者意識の高い加害者から、「一方的にモラハラを受けている」と訴えられる可能性もあります。彼らは、自分のことを棚に上げて、自分の利益のためにどんな嘘もつけるからです。
自分がやったモラハラは無かったことにし、あなたからのモラハラは100倍にも膨れ上がるような被害をでっちあげるでしょう。
そして、そのことに何の罪悪感もなくいけしゃあしゃあと嘘をつけるのも彼らの特技なのです。
本当は加害者が悪かったとしても、あなた自身がモラハラをしていたことが事実であればそのことを問い詰められるでしょう。もしかすると、その責任を負うのはあなただけになるかもしれません。
5.暴力を振るわれる可能性がある
モラハラは暴力を伴わない精神的な暴力だと言われていますが、非暴力によるDVは暴力を伴うDVの前兆として現れるとする専門家もいます。
暴言や物への暴力がある人は、一歩間違えれば暴力をふるってしまう可能性が暴言や物への暴力のない人と比べて高いと言えます。
人への暴言は吐いても良いと思っている半面、自分がやり返されることは許せないモラハラ加害者は、暴言を受けたとたんに激高し、身体的DVをしてしまうこともあると考えられます。
そして、その原因は「お前が歯向かうから」「お前が俺を怒らせるから」といって被害者のせいにすることも忘れません。
一度暴力をふるってしまうと、その後に繰り返しDVをする確率は一気に跳ね上がります。0が1になるのと、1が10になるのは、後者の方が簡単だからです。
仮にモラハラがなくなってもDVにとって代わったり、モラハラに加えて身体的暴力まで振るわれるようになれば、被害者はもっともっと追い詰められてしまいます。
モラハラをやり返すと被害者はどうなる?
結局のところ、モラハラを制すためにモラハラをしてしまえば、
良縁を遠ざけ、悪縁を近づけることに他なりません。
自ら不幸を招き寄せ、悪い人間関係ばかりに身を置くことになります。
モラハラ対策でベストな対策とは?
彼らの中にはストッパーがないため、外的圧力によってモラハラを止める以外のモラハラを止めさせる手段はありません。
その外的圧力は、
「モラハラ加害者が自分よりも強いと思っている人に盾になってもらう」
「モラハラ加害者がモラハラをすることで社会的地位が落ちるようにもっていく」
「モラハラ加害者と二人っきりにならない」
「モラハラ加害者と物理的に距離を取る」
といったことです。
モラハラ加害者に対してアプローチするのではなく、モラハラ加害者のいる環境をモラハラしにくい環境に変えていくことが最もベストな対策であると考えられます。
会社の場合、周囲に相談して、モラハラ加害者と二人っきりにならないように配慮してもらったり、後ろ盾を作り守ってもらってください。
ひどければ、社会的制裁を加えなくてはいけない場合もあります。
まとめ
モラハラ加害者に対しては、「付き合わない」ことが大切です。
まかり間違ってもモラハラ加害者と同じ土俵に立ち、自分までがモラハラ加害者にならないようにしなくてはいけません。
もし、関わらなければならないのであれば、最低限の関わり合いに留め、関わり合いの中でもできるだけ距離を取りましょう。そのためには周囲にもよく相談をし、協力してもらいましょう。
モラハラ被害者は、モラハラを「しない」「させない」「関わらない」それがモラハラに人生を奪われないために必要な三原則です。
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