私のモラハラ体験談⑩夫と離れたことで変わった私の印象

私のモラハラ体験談⑩夫と離れたことで変わった私の印象

私は別居してすぐに弁護士に依頼し、第一回の調停から弁護士同伴で話し合いをすすめてきました。

弁護士の先生から「あなたはとてもしっかりしている。でも結婚生活中は違ったのでしょうか?」と言われたことがあります。

先生からの一言で、結婚生活中は傍から見た私の印象が変わってしまったことに気づきました。

目次

私の結婚生活は誰が見ても搾取された可哀そうな生活だった

私は結婚生活中に自分のものを買うときは家計から出してもらうことができず、シャンプー1つ買ってもらうことができませんでした。

そのことを弁護士にもお話したところ、とても可哀そうな結婚生活を送っていることを分かってもらえましたが、同時に「そのひどい状況を受け入れる弱い妻」であるとも思われたのでしょう。冒頭のセリフを言われました。

私は、先生に「何度も少しでも自由に使えるお金が欲しいとお願いをしたけれど、一度も受け入れてもらえなかった」ことを話しました。

改善のための要求をしてこなかったわけではなかった

モラハラを受けている状況だけ見ると、弱い妻が強い夫の言いなりになっているように受け取られるかと思います。しかし、実際は夫の言いなりになっているわけではなく、話し合いをしようとしても成立せずに、改善をお願いしても改善されることがなかったという結果でした。

夫が厳重に管理しているお金をお願いする以外にもらう方法はありませんでした。そして夫が私の要求を拒めば、1円たりともお金をもらうことはできませんでした。かといって、無理にお金を奪ったり、家の中でこっそりとお金を盗むことがいいとも思えませんでした。

そして結果としてみれば、夫の言いなりになっている状況になっていたのです。

私の体験談

今となってみれば、このときにお金欲しさのあまりに家の中のお金を盗むことをしなくてよかったと思っています。もし、そうしてしまえば家族のお金を盗む妻に成り下がり、夫はそれを利用して私にさらにモラハラをしてきた可能性があるからです。夫は、1円単位で財布のお金と家計簿があっているかを細かくチェックしていたので、もし財布の中身が減っていることが分かれば私が家のお金を盗んだと必ず追求できます。

こういったモラハラの手口は、虐待でも行われることがあります。たとえば、わざと子どもに食べ物を与えずにおいて、お腹の空いた子どもが冷蔵庫のものを漁るなどしたらバツとしてさらに虐待をするといったことです。子どもが食べ物を漁るのは生きる為であり、いうことを聞かない為ではありません。

モラハラでも同じように、悪いことをせざるを得ない状況に被害者を追い込んでいきます。

経済格差があるとどんな状況でも相手の要求を飲まなくてはいけなくなってしまう

それに夫は人よりも稼ぎが良かったので、数百円のシャンプーがお金がなくて買えないということはありえません。(普通の家庭でもないと思いますが…)ですので、なおさらどうしてそんな状況に置かれていたのか弁護士にも理解できなかったのだと思います。

今となっては、夫は私に言うことを聞かせるためにわざとお金を渡さなかったり、物を買わなかったということが分かります。そしてまた、その経済DVがモラハラをする上では欠かせないものだということも分かっています。

自由に使えるお金があり、行動が制限されることがなければ、モラハラは嫌な気持ちにさせられる嫌な相手になるだけです。もうこの関係が嫌だと思えば、自らの意思で相手と距離を取ることができるでしょう。

しかし、経済DVや束縛などが合わさると、相手から離れる事が難しくなり、次第に共依存の関係にまで陥ってしまいます。そしてエスカレートしたモラハラによって、よりひどい被害を受けてしまうのです。

そしてモラハラ環境で虐げられている妻は、言いなりになっている弱い人間という印象を与えるのだと思います。

自由に行動できること、自分の主張ができること、それは相手が認めなくてはできない

私のように夫がすべてのお金を管理し、妻には自由に使わせないようにしていた場合、少しも金額のものも自由に買うことはできません。そして、いくら話し合いをしてもその主張を認めてくれる相手でなければ、結果として何の発言権もないことになってしまいます。

私という人間が結婚で大きく変わってしまったかというとそうではありません。しかし、結婚生活中の私は何の力もなく、傍から見れば弱くて、しっかりしていない人間のように思われるような生活をしていたわけです。

それは、夫が私に何の力も与えないようにしていたからですが、実際に私の中から何かが消えたわけではなくても、夫が認めなければその力はないものと同じでした。

そして夫の中でも同じように私は何の力も持たない無力な人間だというイメージだったのではないでしょうか。

モラハラで人は無力化する

モラハラ環境下というのは、本人の性格や能力に関わらず、被害者を無力化させるプラットフォームです。そして、被害者が無力な人間にならなければコントロールすることはできないため、モラハラ加害者は、真っ先に被害者を無力化するように働きかけてきます。

  • どんな言動も否定する
  • 価値のない人間であるように扱う
  • 存在しているのに存在していないように扱う
  • 人と比べる、差別する
  • 食事、衣服、教育などのランクに差をつける(加害者自身の持ち物にだけ多額のお金を使うなど)
  • (お金に余裕があっても)必要最低限のお金を渡さない
  • 被害者を尊重する人との縁を切らせようとする

こういったモラハラは被害者が被害に気がつく前に行われていることが多いと考えられます。

モラハラ環境が整ってしまったら、被害者がモラハラ加害者に逆らったり自己主張することは非常に困難です。

モラハラは人をダメにするだけ でも本当はダメな人間ではない

私は、夫側が隠していた財産も含めたすべての財産目録や、夫の嘘を嘘だと証明できる証拠を持っていました。またモラハラを証明するものや、モラハラの改善を要求した手紙なども運よく手元に持っていたのです。そして習慣でほぼ毎日日記をつけていたことも、その日記を別居の際に持ち出して手元にあったことも有利に働きました。そういう状況を見て、私のことを「しっかりしている」と受け取ってくださったのでしょう。

おそらく夫の中で私は「弱くて何もできず知恵も知識もない妻」だったため、平気で嘘の内容を調停に提出したのだと思います。そしていつものように私の弱点となるところを責めれば、私が簡単に屈服して、夫の要求を飲むと思っていたのでしょう。最初から自分の言いなりにさせる(ことがもちろんできる)というスタンスだったために、うまくいかない調停にイライラして怒鳴り、夫は調停の場で本性をさらけ出すことになりました。

最後の最後でしたが、夫にあっと言わせることができたことで私が本当は弱い人間ではないのだと証明でき、自己肯定感を取り戻す一つの力になりました。

あなた自身が無力だと思っているのであればそれは思い込みにすぎない

モラハラ被害を受けている人は被害者本人も自分自身が無力でちっぽけな人間だと錯覚していることが多く、そのことがより被害を拡大させています。

しかし、実際はそうではありません。

加害者によって力の発揮できない場所にいるだけでその場所から抜け出せば、自活して暮らしていける力を持っています。

そのことにどうか気づいて、被害から抜け出してほしいと思っています。

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