HSPという言葉をご存知ですか?よくインターネットでニュースなどをご覧になる方はすでに目にしたことがあるかもしれません。
そして、このHSPという気質を持ち合わせている人は、モラハラ加害者と相性が悪く、より深刻な被害を受けやすいと考えられます。
HSPとは何か、そしてなぜHSPとモラハラは相性が悪く被害が大きくなりやすいのかをまとめました。
目次
- HSPとは?
- HSP(HSC)はどんな性格なの?
- 1.人の気持ちを察する能力が高く、気配り上手である
- 2.テレビドラマや小説などに感情移入しやすく、涙もろい
- 3.想像力が高く、空想の世界で遊ぶことができる
- 4.周囲の些細な変化(臭い、音、光)によく気付く
- 5.刺激に敏感に反応するため、疲れやすい
- 6.じっくりと観察、分析することができ、するどい観察力や思考力を持つ
- 7.静かな環境を好む
- 8.綿密なスケジュールを立て、それを実行する
- 9.集団になかなか入っていけない、様子をしばらくうかがっている
- 10.公平であり、人の気持ちを汲んで行動する
- 11.競争が苦手であり、緊張する場面では本来の実力を発揮できないことがある
- 12.多才で多趣味な人が多い
- 13.危険をいち早く察知する
- なぜHSPになるの?
- うちの子はもしかしたらHSC(HSP)?
- モラハラとHSPの相性が悪いのはなぜ?
- まとめ
HSPとは?
HSP(ひといちばい敏感な人)とは、Highly Sensitive Personの頭文字を合わせた言葉です。子どもの場合は、Highly Sensitive ChildでHSCと表記します。
人口のおよそ2割ほどいるといわれており、人よりも繊細で過敏な気質を持ち合わせています。よくいう「感受性が高い」人はこれに当てはまると考えられます。面白いことに、HSPは、人間以外の生物にも存在する気質だそうです。
また、HSPの中でも70%は内向的であるのに対し、30%は外交的であるという研究結果もあるそうです。つまり、HSPは内向的なことを指しているわけではありません。
HSPはその繊細な気質が残りの8割の人に理解されにくく、生きづらさを抱えやすいと言われています。
HSP(HSC)はどんな性格なの?
HSPの人は、どんな性格を持っているのでしょうか。その特徴を見てみましょう。
1.人の気持ちを察する能力が高く、気配り上手である
共感性や感受性がとても高いため、周囲の人の気持ちを敏感に感じ取ることができます。周囲の人が心地よく過ごせるように気配りをすることが上手です。
2.テレビドラマや小説などに感情移入しやすく、涙もろい
ドラマの主人公などに感情移入し、涙もろくなってしまうこともあります。時には人以外の動物や物さえもその対象になります。
また、ショックなニュースや悲しい音楽などに影響され、何日も無気力な状態が続くこともあります。
3.想像力が高く、空想の世界で遊ぶことができる
小さいころは、ひとりで話をしたり、想像上のイマジナリーフレンドをつくって遊ぶことがあります。ひとつのことに深く集中、没頭します。
4.周囲の些細な変化(臭い、音、光)によく気付く
かすかなにおいや僅かな音、光の変化によく気付きます。
5.刺激に敏感に反応するため、疲れやすい
普通の人よりも多くの刺激を受け取ってしまうため、人混み、騒音、過度な明るさ、暑さ寒さが苦手で疲れやすいという特徴があります。
6.じっくりと観察、分析することができ、するどい観察力や思考力を持つ
1つの物事を深く受け止めて、じっくりと観察し分析理解することができます。自分に起こった出来事を深く分析し、自己解決できるためトラウマから自ら抜け出す力があります。
7.静かな環境を好む
刺激に過敏に反応するため、静かな環境を好みます。集団よりも少人数、騒がしい人混みよりも静かな自然の中を愛します。また、一人でいることが苦痛にならず、一人で充実した時間を過ごすことができます。土や植物と言ったものが好きで、庭や畑の世話を好んだり、自然の中で何時間でも過ごします。
8.綿密なスケジュールを立て、それを実行する
規則正しいことを好み、ルーチンに安心する性質を持っています。そのため、突然のスケジュール変更を嫌い、前もってコツコツと計画することが好きです。長期的な視野を持って計画、実行する力があります。また、人が嫌うような繰り返しの作業や、集中力を必要とする作業が苦になりません。
9.集団になかなか入っていけない、様子をしばらくうかがっている
みんなが遊んでいる様子を少し離れた所から様子をうかがって、なかなかすぐに入ろうとしません。誰かが誘ってくれても、嫌がることもあります。自分が安心できると確信できたり、気持ちが落ち着くまで、輪に入るのをためらいます。
10.公平であり、人の気持ちを汲んで行動する
モラルや秩序を重視し、公平さを好みます。残酷なことや不公平なことに動揺しやすく、傷つきます。
11.競争が苦手であり、緊張する場面では本来の実力を発揮できないことがある
人と競争したり、時間内に何かをしなければならないことが苦手です。人前では緊張し、本来の力が発揮できないことがあります。
12.多才で多趣味な人が多い
1つのことを分析し、追求することが好きなため、長いこと続く趣味を持っています。また、多くの分野に関心があり、自ら興味の幅を広げることができます。
13.危険をいち早く察知する
些細な違いを敏感に察知できるため、いつもと違う音や臭いなどから危険や非常事態を察知する能力に長けています。
なぜHSPになるの?
HSPになる原因は、遺伝が関係しています。両親のうちのどちらか(もしくは両方)がHSPである場合、それ以外にも遺伝子が組み合わさってHSPになると考えられています。
親の育て方ではなく、生まれ持った気質でHSPかどうかが決まります。つまり、HSPの子ども(HSC)は赤ちゃんの内からひといちばい敏感で、繊細です。
そして、HSPの人は脳のセロトニンとドーパミンにかかわる遺伝子の変異が知られています。また、脳の中の扁桃体という部分の動きが活発であり、不安を感じやすいことや神経を高ぶらせる「ノルエピネフリン」というホルモンの分泌が多いということも分かっています。
HSPはいわゆる高性能のセンサーを搭載した脳と言えるでしょう。そのため、周囲の変化や周囲からの影響を受けやすく、過敏になったり不安や警戒を抱えやすいのです。
うちの子はもしかしたらHSC(HSP)?
HSPやHSCは、遺伝的な脳の働きの特徴によるもののため、この特性は赤ちゃんの頃から見られます。たとえば、HSCの赤ちゃんは、音のうるさい場所に行くと泣き止まなかったり、人が多い場所を嫌ったり、寝つきが悪いといった特徴を持っています。
家の中では普通なのに、外出するのが大変である、人見知りが強い、音や光に過剰に反応する、環境が変化すると泣くといった赤ちゃんはHSCの可能性があります。
モラハラとHSPの相性が悪いのはなぜ?
さて、なぜ上で述べたようなHSPの気質の人とモラハラ加害者は相性が悪いのでしょうか。
1.モラハラ行為の中の「大きな音」がHSPにとっては大きな苦痛になる
モラハラ行為の中には、「怒鳴る、大きな音を立てて歩いたり扉を閉める、大きな声を出す」があります。
HSPの人は大きな音が苦手であり、このようなモラハラ行為は、HSPの人にとって特に苦痛になります。その苦痛からのがれようと、モラハラ加害者が大きな声や音を出さないように、自らの振る舞いを変えたり、モラハラ加害者の言うとおりにふるまおうと努力してしまうのです。
2.モラハラ行為に動揺してしまうため、モラハラ加害者を喜ばせる
本当は、モラハラ行為を受けた時は感情を表に出さずに冷静に対処することが一番望ましい方法です。モラハラ加害者の中には、被害者の苦痛や悲しみと言った感情を好み、その姿を見て支配欲や所有欲を満たすために繰り返しモラハラをする人がいます。
HSPの人の感情は表に出やすく、すぐに涙を流したり、悲しさを表現してしまいます。さらに、モラハラ行為によって苦痛を受けているHSPの人にとって、動揺せずにモラハラ加害者と対峙することは難しいといえます。
そのため、モラハラ加害者にとって格好のターゲットになりやすいのです。
3.モラハラのダブルスタンダードにひどく傷つく
また、公平公正を愛するHSPの人は、自分も人を公平に扱いますが、人からも自分を公平に扱ってほしいと望んでいます。しかし、モラハラ加害者は自分は良くても他人はダメ、といったダブルスタンダードの持ち主です。公平に扱われないことでHSPの人は深く傷つき、モラハラのダメージが普通の人よりも深刻になります。
4.加害者に同情しやすい
モラハラ加害者は、常に「自分は被害者である」と思っています。モラハラをすることすら被害者の責任だと思っています。共感性が高く、人の気持ちを汲むことが上手なHSPの人はモラハラ加害者に同情しやすく、その結果、「モラハラ加害者は悪くない」と誤った認識をしてしまいがちです。被害に遭っているのは自分なのにそのことに気づかないまま、長いこと被害者になってしまう可能性があります。
さらに、モラハラ加害者は自分に同情してくれる人を好むため、モラハラをするターゲットに選ばれやすいと言えます。
5.相手の弱点を好むモラハラ加害者に生きづらさを攻撃されやすい
また、HSPの人はその過敏さから生きづらさを抱えやすいと言われています。モラハラ加害者は被害者の欠点を執拗に攻撃するため、弱点が分かりやすい人はターゲットにされやすくなります。
もちろん、HSPは欠点であるとは言えません。多数派ではないため、その過敏性が人に理解されないことが生きづらさにつながるというだけです。しかし、本人はその生きづらさを自分の弱点だと思っていることがあります。そしてこの特性は生まれつきであり、本人が苦しんでいたとしても変えることができるものではありません。
モラハラ加害者は、その苦しみを「努力が足りないせい」だとか「しつけが悪い」とか「おかしい」という理由をでっちあげ、執拗に責める材料にするのです。
6.人に対して攻撃的になれず、攻撃ばかりを受け続ける
HSPの人は、人に暴言を吐いてしまうとそれが罪悪感に繋がり、かえって自分を苦しめてしまう人です。普段からうっかりと失言をしてしまい、相手を傷つけてしまわないように気を付けています。
そのため、モラハラ加害者から暴言を受けても相手に言い返すことができません。一方的に言われっぱなしになってしまいます。
モラハラ加害者は何も言い返さず、自分を傷つけることがないHSPの人を、自分の支配欲のために利用するだけ利用しようとします。
7.親子間でモラハラが行われる場合、HSCの子がターゲットになりやすい
子どもが複数人いる場合、モラハラのターゲットとなりやすいのは、HSCの子であると考えられます。それは、HSCの子ほどモラハラ親にとって支配欲や自尊心を刺激してくれる好みの反応を返してくれるからです。
また、HSCの子は、過敏で傷つきやすいため、モラハラ親からの不適切な育児の影響を強く引き継ぎやすい性質でもあると言えます。子どもがHSCの場合は、特に注意をしてあげる必要があるでしょう。
まとめ
モラハラ加害者は人の優しさや良心を搾取しようとしてきます。
HSPの人は、モラハラ加害者の格好の餌食となりやすいことをあらかじめ理解しておくと良いでしょう。そして、HSPの人はその過敏な気質から、より深刻な被害を受けやすいと考えられます。
もし被害に遭ってしまったらすぐに離れましょう。