※日弁連が公表した新算定表と、最高裁が公表した新算定表は別のものです。
最高裁が公表した新算定表については、こちらの記事をご覧ください。⇒【養育費新算定表】従来の養育費からいくら上がる?最高裁のHPにて公表されました!
離婚した後、子どもを育てていくために確実にもらいたい「養育費」。
婚姻費用や養育費の金額を決めるのに、家庭裁判所で広く採用されている婚姻費用・養育費の算定表があります。(家庭裁判所のサイトからダウンロードすることができます。)
しかし、この算定表で出される金額について、低いのではないかと言う声があります。
シングルマザー家庭の現状
現在のシングルマザー家庭の約半数が貧困家庭であると言われており、多くのシングルマザー家庭が金銭的に厳しい状況に立たされています。
貧困世帯(世帯年収122万円未満)は、子どもがいる家庭全体では15.1%なのに対し、シングルマザー家庭では55%であることからシングルマザー家庭の貧困率がずば抜けて高いことが分かります。
今の養育費では足りないのではないかと言う意見が多く、シングルマザー家庭の貧困率を改善するために、2016年11月に従来の算定表の見直しを行い、日弁連から新しい算定表(新算定表)が発表されました。
こちらは従来の算定表で出される婚姻費用・養育費の約1.5倍の金額になっています。
少しでも多くのお金が子どもの養育に使われ、一般家庭と変わらぬ生活が保障されるようになるといいですよね。
新算定表とは?
従来の算定表では、子どもの年齢が0~14歳と15~19歳に分かれていましたが、新算定表では0~5歳、6~14歳、15~19歳とより細かく分類されるようになりました。
また、以前は「〇~〇万」と言うように幅がありましたが、新算定表では細かく「〇万」と算出することができます。
算定表の見方は従来のものと同じです。
新算定表はこちらのサイトからダウンロードできます。
https://www.nichibenren.or.jp/activity/document/opinion/year/2016/161115_3.html(日本弁護士連合会サイト)
※新算定表は、表1~19が養育費、表20~39が婚姻費用です。
●実際のケースで比較してみましょう。
夫・・・年収600万
妻・・・年収200万
子1人(10歳)の場合
従来の算定表を使った養育費の算出
もらえる養育費は月々「4~6万」です。
新算定表を使った養育費の算出
新しく区分された6~14歳の頁を見ます。
もらえる養育費は月々「11万」です。
比較してみると約5~7万円もの差があります。ひと月に5万円と言う金額はかなり大きいですよね。諦めていた習い事ができる、我慢させていたものが買えるなど、子どもにとって多くのメリットを受けることができます。
私のケース
私が依頼した弁護士の先生はこの新算定表をご存じで、調停では新算定表をもとに算出した金額での主張を行いました。
しかし、調停員から言われたのは、「新算定表は、裁判所では採用していない」という一言でした。相手に対して説得をしてくれる以前に、バッサリと使われていないと切り捨てられてしまいました。
特に調停の場では、調停員は法律などの専門家ではないため、前例に基づいた金額の提案をしてきます。
新算定表は、まだ家庭裁判所では積極的に採用されておらず、弁護士によっても新算定表の金額は高すぎるという意見もあるのが現状です。
実際に新算定表で婚姻費用・養育費が決まったケース
2018年現在、徐々に新算定表を採用した婚姻費用や養育費の判決が下っています。
●2017年11月 名古屋家裁 婚姻費用を求めた審判 16万円→23万円
●2017年12月 福岡家裁 養育費 新算定表を採用
また、新算定表を基にした養育費の申し立ての件数も増加しており、今後、採用が進むことが期待されます。
これから
家庭裁判所でも、徐々に新算定表を採用する流れが出てきていますので、これから婚姻費用や養育費の請求をされる方は、新算定表のことを頭に入れておくといいでしょう。また、すでに離婚をしている場合でも、この新算定表が定着してきたころに再度調停を行えば1.5倍の金額の養育費が認められる可能性もあります。
子どもを育てていく上でお金は必要不可欠です。
子どもが健やかに成長するために、確実にお金をもらえることが望ましいですね。
コメント