悲しいとき、辛いとき、形だけでも笑顔になると、例え作り笑いでも本人も騙されて、心が元気になるという説を聞いたことがあるでしょうか?
「笑う門には福来る」と言う言葉どおり、笑うことで幸福を感じることができると長年信じられてきました。
しかし、近年の実験から、それはどうやら違うということが分かってきました。
笑うことで幸せホルモンが分泌される?
笑うことが心に良いという説にも、根拠となる科学的理由があります。
1998年に行われた実験では、
A.被験者にペンを咥えさせ、人工的に笑顔をつくるグループ
と、
B.しかめっ面をつくるグループ
を用意しました。
そしてその表情のまま漫画を読んでもらい、どのように感じたかを答えてもらうという実験をしたところ、A.の無理やり笑顔をつくっているグループの方が面白いと答えるという結果が得られたそうです。
笑う顔をつくることで、脳が笑っていると勘違いし、脳内にも幸せホルモンが分泌されるそうです。そして、本当に笑っているのと同じ効果が得られ、心が元気になる、というものでした。
このことから、笑顔をつくることは、気分を向上させると信じられてきました。
しかし、ここに来てその定説が間違いであるという実験結果が得られたのです。
そのあとにやってくる反動
新しい実験はこうです。
A.箸を咥えさせた状態のグループ
と、
B.何も咥えないグループ
を用意しました。
この実験でも箸を咥えさせることで、被験者は人工的に笑顔の表情を作り出しています。
そして、それぞれのグループの被験者には、用意された状態でネガティブな文章や映像を見せました。
この実験では、やはり、A.の箸を咥えさせた状態のグループの方が、ネガティブな文章や映像を見ても、「悲しみ」などの感情をあまり持たないことが分かりました。
この実験からも一見、笑っていることが気分を向上させたという結果が得られたように思えます。
しかし、問題はそのあとでした。
実験後、空欄に文字を埋めて単語をつくるという実験をさせたところ、明らかにAのグループの方がネガティブなワードをつくる傾向にあったという結果が得られたのです。
この結果から分かることは、笑顔が気分を向上させるのは一時的であり、本人の意思に反して無理に笑顔をつくると、結局後でその反動が来るということです。
このことから、最終的に笑顔がどのような効果をもたらすかは、笑顔になる動機がポジティブなものであるか、ネガティブなものであるかによって異なるということが分かります。ネガティブな感情が動機で笑顔になった場合は、ポジティブな効果は得られないということです。
モラハラは感情をも否定する それはのちのネガティブを広げる
この実験から分かるように、本当の感情に反して無理やりに作られた笑顔と言うのは、結局はネガティブな感情を生みます。
私は、婚姻中、怒りや悲しみの感情を出すと、夫から「お前はいつも笑顔でいろ!」と怒鳴られていました。
私が何か言うと「そんなことで怒るお前がおかしい!」と言って怒鳴り、私の感情を決して受け入れることはなかった夫。
その時は気づきませんでしたが、私の感情は否定され、行き場を失ったことで、余計にネガティブな状態に追い込まれていったのです。
確かに夫と話をすると、いつも心にもやもやとしたものが残って、なんだか話す前よりも気分が落ち込んだような気がしていました。それは、心理学的にも間違いではなかったようです。
もし私の感情だけでも受け止めてもらえれば、物事が解決しなくても気分は違うものになっていたと思います。
大事なのは本心を知ること
ネガティブが良くないとか、ポジティブが良いとか、笑顔でなくてはいけないとか。私たちには誰かに植え付けられてしまった固定観念を少なからず持っています。
ネガティブな状態を無理やりポジティブにしたところで、心の強さを生むことはありません。結局、ネガティブの傷を広げる結果を招きます。
大事なことは自分の感情と向き合うことです。
感情は、素直です。
心の中にもやっとしたものが生まれるのは、心からの大事なサイン。
何故、ネガティブになったのか。
何故、笑顔をつくるのが難しいのか。
それは、自分の本心からのあなたへのメッセージではないでしょうか?
まとめ
無理に笑顔をつくっても本当の感情をだますことはできない。実験からもそういう結果が得られました。そして行き場のなかった感情は、後で反動のように本人が気づく気づかないにかかわらずネガティブな効果をもたらします。
最近、心から笑ったこと、ありますか?
笑顔をつくりながら、心に何か引っかかるものがあるようであれば、それはあなたの本心ではないのかもしれません。
モラハラの対策をこちらの記事にまとめていますので、興味のある方は是非ご覧ください。
コメント