養育費の不払いは実に7割以上と、離婚家庭全体の問題になっています。
養育費は、取り決めがあったケースですら不払い、未払い率が高く、調停や裁判を経た場合であっても支払い率は20%以下です。
不払い養育費を取り立てるまでに時間がかかること、手続きの煩雑さなどから実際に取り立てるケースは多くなく、また取り立てたことによる逆恨みなどを避けるために泣き寝入りしなくてはならない場合もあります。
2020年4月に「民事執行法改正」が行われ、すでに養育費の取り決めがなされているケースでは、勤務先の開示や銀行支店名の開示などの手続きが追加され、未払い養育費の取り立てがしやすくなります。
もしかしたらこの先、個人個人で不払い、未払いの養育費の取り立てをしなくてもよくなるかもしれません。
まずは、現在日本で養育費の立替えをしている自治体を紹介します。
養育費を立替えて支援をしている自治体とは?
現在、養育費の立替え支援を行っているのは、兵庫県明石市と大阪府大阪市です。明石市のケースは、自治体が養育費の立替え支援をする全国初の取り組みということで注目されました。
明石市では、2019年1月から民間の保証会社と市が連携して、養育費の支払いが滞った場合、民間の保証会社が養育費を肩代わりしたうえで、債務者に対して債権回収を行う制度を始めています。市は、民間の保証会社に支払う年間保証料を最大5万円保証(初年度)してくれます。
しかし、民間の会社では立替えができるか審査があり、すべてのケースについて立替えができるわけではないので、いずれは行政で実施していく方針のようです。
また、明石市では面会交流や養育費の取り決めについて参考書式「子どもの養育に関する合意書」を配布しており、養育費の取り決め率は7割(全国は6割)と高い水準になっています。
養育費、国が立替えを検討
さて、こんなニュースが飛び込んできました。
養育費不払い、国が立て替えへ 法相、勉強会で検討(産経新聞)(2020年1月24日)
離婚相手から養育費を受け取れないひとり親家庭の困窮を防ぐため、国が立て替える制度の創設に向け、森雅子法相は23日、有識者で構成する勉強会を27日に設置する方針を固めた。養育費の不払いが社会問題化する中、両親が離婚した子供が経済的な不利益を被らないよう、関連法の改正や法整備の検討に入る。
全国に先駆け明石市で始まった取り組みが、国全体に広まろうとしています。
養育費不払いの問題は、明石市だけではなく多くのひとり親家庭の問題です。ひとり親家庭の貧困率は5割を超え、中でも深刻な「ディーププア」に陥っている家庭も1割いるといわれています。子どもを育てるのにはお金が必要です。
いま社会問題になっているひとり親の貧困が、養育費の立替えにより解消されることになるかもしれません。
これから離婚する人、離婚をして養育費を受け取っていない人は何をするべき?
明石市の取り組みを見てみると、養育費の立替えができるのは、両親間で養育費の取り決めがある場合とされています。養育費の取り決めをしていないケースでは、立替え制度を利用できない可能性が高く、まずは取り決めからすすめていかなくてはならないでしょう。
これから離婚をする人は、離婚の際には必ず養育費の取り決めを行ってください。(明石市では養育費の取り決めの支援も行っています。立替え制度の中には明石市のように養育費の取り決めるところから支援してもらえる可能性があります。)
すでに離婚をし、養育費の取り決めをしていなかった場合も同様です。
養育費はいつから請求できる?遡って請求も可能!
養育費は、協議離婚の場合、5年前までさかのぼって請求ができます。家庭裁判所の制度(調停、審判など)を利用して取り決めた場合、10年前までさかのぼって請求ができます。
取り決めをしていなかった場合は、請求の意思が明確になったとき(調停などを申し立てたとき)からの支払いが一般的です。(中には、相当と認められる範囲で過去にさかのぼって請求できる場合もあるようです)
もし、養育費の取り決めをしていなかったのであれば、できるだけ早く調停などを申し立て、請求をするのが良いでしょう。
まとめ
養育費を払っていない親が、必ずしも払えない状態にあるわけではありません。年収が500万以上あっても、1円も養育費を払っていないケースは実に7割もいるそうです。
子どもたちの未来のために、子どもたちの成長に必要なお金がいきわたりますように。
そんな制度が早くできることを願っています。
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