モラハラは「ゆでガエルの法則」で被害者も被害に気が付かない

モラハラは「ゆでガエルの法則」で被害者も被害に気が付かない

モラハラの目的はターゲットを支配・コントロールすることにあります。ターゲットを支配・コントロールするためにモラハラの進行には2つの段階があると言われています。ここでは、マリーイルゴイエンヌ氏の「モラル・ハラスメント~人を傷つけずにはいられない~」からその2つの段階を紹介します。

<第一段階>相手を惹きつけて支配下に置く

<第二段階>精神的な暴力をふるう

まず、<相手を惹きつけて支配下に置くという段階>です。精神分析医のP=C・ラカミエは、これを愚鈍化と呼んでいます。マリーイルゴイエンヌ氏の「モラル・ハラスメント」に書かれている「相手を惹きつける」という言葉は、魅力をアピールして好きになってもらうということではなく、相手が自分から離れられないように自由を奪いながら影響を与えていき、徐々に自信を失わせていく過程だとしています。

第一段階でターゲットを捕まえることに成功した場合、第二段階である<精神的な暴力をふるう段階>へと移行します。ここからはモラルハラスメントの特有なコミュニケーションによる様々な攻撃手段が取られます。

加害者たちは、ターゲットを捕まえるまでは言葉による攻撃を含めた各種攻撃手段を取らない可能性が高いと言えます。もし、加害者が自己愛性パーソナリティ障害であれば彼らは善人や理想的なパートナーとして結婚まで演じ切ることができるでしょう。

ターゲットを捕まえたのちの<精神的な暴力をふるう段階>においてもまた、すぐに分かりやすい攻撃が始まるとは限りません。モラルハラスメントは真綿で首を締められるようにじわじわと攻撃を受け、被害者も被害に気が付きにくいと言われています。

第一段階においても、第二段階においても攻撃は受動的なものから始まり、徐々にエスカレートしていきます。これを「ゆでガエルの法則」と言います。

目次

ゆでガエルの法則(ゆでガエル理論)とは?

ゆでガエルの法則とは、

水の入った鍋にカエルを入れます。その鍋を火にかけて徐々にあっためていきます。カエルは水があっためられていることに気が付かずに逃げ出さないまま、ゆであがって死んでしまいます。

このように、ゆるやかに状況が変化する環境では、中にいる人は危機的状況に陥っていることに気付きにくく、手遅れになってしまう現象のことをいいます。

実際にはカエルは温度変化に気が付き、あったかくなった水から出るそうなので科学的な根拠には基づかない寓話ですが、この話はゆっくりと進行する被害には被害者が気が付きにくく、対策が取りづらいことを教えてくれます。

モラルハラスメントにおいても、長期間において徐々に徐々に進行していくことで、被害の程度や大きさに被害者が気が付きにくくなると考えられます。

モラルハラスメトの被害者が逃げ遅れるのも「ゆでガエルの法則」のせいであると私は考えます。

「ゆでガエルの法則」への対策

モラルハラスメントの被害者は多くの人が、「初めからモラハラをする人だと分かっていたら結婚をしなかった」と言います。また、初めは「違和感を感じるくらいだった」とも言います。

私も出会ったときに元夫の本性が分かっていたら結婚をしませんでした。最初の頃は相手から攻撃を受けているという自覚もなく、「話し合いができない」という事実のみが大きな違和感としてずっとあったことを覚えています。

モラルハラスメントを受けた一回目からすでに計画的に離婚をする準備をしている人は少ないと言えるでしょう。耐えに耐えて、どうしても耐えられなくなったときに初めて離婚を考え、そこからようやく準備を始めるというのが被害者のパターンです。

実際には、被害者は、「ゆでガエルの法則」のように徐々にエスカレートしていく環境で被害の程度を見誤り、自分がまだ耐えられると思っている時ですら既に大きな被害に遭っている可能性が高いと私は考えています。

そこで、徐々にエスカレートしていく環境において被害にいち早く気づき対策するために必要なことをまとめました。

受動的な攻撃(パッシブアグレッシブ)を知る

加害者は対立が目に見える形にならないように間接的な攻撃を加えることから始めます。一見して攻撃だと分からない攻撃を知ることで、彼らの初手の攻撃を見抜くことができるようになります。

分かりづらい攻撃には次のようなものが挙げられます。

  • 大切なことに返答しない
  • いつもやっている家事(掃除など)について、「あなたが掃除をしているところを初めて見たよ。素晴らしい!」といって不適切に褒める
  • 自分が握っているタスクを後回しにして、誰かに不利益を与える
  • 言い訳を使い責任を回避する
  • 攻撃をしてなお怒っていないと言う
  • 突然、敬語など話し方が変わる
  • 人の仕事や人間関係を妨害する
  • コミュニケーションを拒否する(話し合いをしたいというパートナーに対し、仕事で忙しいふりをする。アルコールを飲んで酔っ払う)
  • 重要な情報を共有しない
  • 分からないフリをする
  • 自分の意見を言わない
  • 直接欲しいと言わずに物欲しそうなコメントをする
  • 「こうしなければいけない」と言い、そうしない人を切り捨てる

彼らがターゲットを捕まえる手法を知る

モラハラ加害者には表と裏の顔を使い分けたり、ターゲットを捕まえるために愛情表現を豊かにすることができる人もいます。愛情表現はロマンチストではなく実は虐待者を捕まえるための巧妙な演技かもしれません。彼らがどのようにターゲットを捕まえるのかを知っておくことは対策として有効です。

友人、親族、第三者に繰り返し相談する

私は、数年来モラハラの相談を受けているリアルの友人がいます。そして、相談内容を聞いているとその内容が徐々にエスカレートしていっていることが第三者の立場である私にはよく分かるのです。しかし、友人本人はそのことを指摘するまで、「こういう人は変わらないいよねぇ」と認識しています。実際は、悪い方にどんどんと変わっているのに。

しかし私も継続的に被害の相談に乗っていなければ、友人が受けている被害がエスカレートしていることに気が付かなかったと思います。最初の被害の程度を知っているからこそ、今の被害と比較をすることができたのだといえます。

おかしいなと思ったら誰かに相談してください。そして、前と同じ被害だと思っても繰り返し相談をすることが大切です。第三者の方が、エスカレートに気が付きやすいと考えられます。

また、モラハラ加害者の中には、とても洗脳がうまいタイプがいます。彼らを説得するために親族や友人などに間に入ってもらうことはオススメしません。親族や友人まで洗脳されてしまう危険があります。むしろ外から客観的におかしいことを伝え続けてくれる立ち位置に居続けてもらったほうがいいです。

もし周囲に相談できる人がいなければご自身の被害を日記などに逐一メモを取っていってください。出来るだけ詳細であると変化に気が付きやすくなると思います。

違和感を覚えたときに逃げる計画を始めるのがいい

言語化しづらいような被害を受けた場合は、それは「気のせい」ではなく、将来の大きな被害の前兆であることを理解し、できるだけ早めに脱出計画を立てはじめるのがいいと私は考えています。

まとめ

精神的な暴力と言われるモラルハラスメントは、肉体的な暴力や拘束をともなわないからこそ共依存やマインドコントロールなど心理操作を駆使し、被害者が被害に気が付かなかったり、被害者が離れていかない方法を使っています。彼らは心理的戦略をよく知っている人であり、彼らを侮るのではなく警戒しておくことに越したことはありません。

モラハラの被害の程度が小さいときから脱出について考えてほしいと思っています。 私は「価値のない自分は逃げる価値もない」と思って逃げ出すことができなかったからです。 逃げることを考えられるうちに逃げてほしい。被害が深刻化すれば逃げられなくなります。

そして彼らとの心理戦に勝つためには知識が早い段階で必要です。

彼らの攻撃を見抜き、被害から抜け出してください。

モラハラは「ゆでガエルの法則」で被害者も被害に気が付かない

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