多くの被害者が、
「モラハラ加害者は付き合っているときは優しかった」
「結婚や出産、マイホーム購入などのタイミングで突如として豹変した」
と声をそろえて言います。
またさらには相手からの熱烈なアプローチを受けて結婚したという方も多くいらっしゃるのではないでしょうか?
この結婚前の優しさやアプローチは実は「ラブボミング」と言う虐待のターゲットを手に入れるための手口なのです。
ラブボミングとは何か、モラハラ加害者や自己愛性パーソナリティ障害を含めた虐待者の手口を紹介します。
「ラブボミング(愛の爆弾)」とは?
ラブボミングとは、別名「愛の爆弾」とも言われます。愛の爆弾と言うとなんだかとっても可愛らしい言葉のように聞こえてきますが、この手口が被害者を捕まえる手法であり、捕まえられたターゲットのその先にあるのは虐待行為です。
もし、あなたがモラハラ夫からの猛烈なアプローチを受けて結婚をしたのであれば、それはこのラブボミングだった可能性があります。
モラハラ加害者や自己愛性パーソナリティ障害の人が、ターゲットを捕まえて虐待行為を行うまでの過程を段階に応じて解説します。
進行段階①短期間の猛烈なアプロ―チ
ラブボミングはまず、短期間に猛烈なアプローチを行い、相手が自分のことを「ひとめぼれ」をしたかのように見せかけます。あなたを好きだと言ったり、贈り物をしたり、自分との未来を約束したり、繰り返し過度なアプローチを仕掛けてくるのが特徴です。傍からは「ものすごく結婚したがっている」「結婚を急でいるように見える」こともあります。
このような愛情深いアプローチは、表面的には有害なものだとは思えないため、ターゲットもそれを虐待者の罠だと気づかず警戒をせずに受け入れてしまいます。
しかし彼らがこのアプローチを行う理由は、虐待のターゲットを手に入れるためなのです。
虐待者がまず初めにターゲットと親しい関係を作るのは、その方がターゲットを無防備にできるからです。
ターゲットが彼らを信頼している場合、その人を信じますし、信じているからこそ他の人には話すことのない個人情報を話すでしょう。
彼らはこうやって攻撃に必要な情報を集めてから攻撃を始めます。
進行段階②豹変
こうしてアプローチを受け入れて付き合ったり、結婚したことで、虐待者が「ターゲットを手に入れた」と思った瞬間から突如として豹変をします。
ターゲットが結婚後、「いきなり人が変わったかのようになった」と思うのはこの段階です。
ターゲットが自分以外のことに興味を示したり(浮気などではなく例えば、生まれた我が子であったり、趣味であったりします)気にかけたりすると、怒りを示したり、受動的な攻撃をすることから虐待行為が少しずつ始まります。
進行段階③ターゲットの切り下げ(無価値化)
そして、ターゲットの切り下げをおこなうようになります。(無価値化)
ターゲットが以前のように自分に興味を戻さないと分かると、「なんでお前はそんなに自分のことばっかりなんだ!」と被害者を非難し、愛情を撤回したり、モラハラを強めたり、さらには身体的虐待に発展していくこともあります。このモラハラは、自分への愛情を示さない被害者への正当な罰だと彼らの中で定義されます。
通常の愛情や相手を気にかける、注意を向けることは、「ラブボミング」ではないとされています。
「ラブボミング」はポジティブな愛情の後に、ネガティブな愛情がくる虐待のサイクルがあるものを指します。
ラブボミングを受けないためにはどうすればいい?
まず、ラブボミングが始まるのは、モラハラ加害者や自己愛性パーソナリティ障害の人が「ターゲットを手に入れた」と思った瞬間からです。
タイミングは虐待者によって異なりますが、結婚、出産、マイホームの購入などがきっかけにモラハラが始まるのは、彼らがその時に被害者であるターゲットが自分のものとして手に入ったからだと認識しているからにほかなりません。つまり、結婚以前には虐待行為が始まらないため見抜くことは難しいと言えます。
もしかすると、過度なアプローチは単なるロマンチックな人である可能性もあります。私の友人は、猛烈なアプローチを受けて結婚しましたが、今も旦那さんからとても大切にされています。
ラブボミングか、善良なロマンチストなのかを見分けるためには、結婚と言ったライフイベントの後に、
相手の愛情が普遍的に続くこと
言動が一致していること
切り下げ(無価値化)が行われないこと
を見て判断するしかありません。上に当てはまっている人であれば、その人はラブボミングを仕掛けてきた虐待者ではありません。
結婚後の一定期間は、相手を注意してみることが被害に早く気が付くために必要になります。それによって相手を試したり攻撃をすることはよくありませんが、安心した結婚生活を送るために相手を注意深く観察することは不健全ではありません。
ラブボミングは相手から去ろうとしたときにも仕掛けられる
もし、被害者がモラハラ加害者のもとを去ろうとしたときに、相手の態度が急に変わり、それこそ付き合う前、結婚する前の以前の様子に戻ったように見えたのなら、それは再び「ラブボミング」を仕掛けられているということです。
このときに被害者がモラハラ加害者のニーズ(この場合であれば、去らないこと)を叶えなければ、今度は脅迫を受けたり、直接会おうと連絡をしてきたり、被害者の人間関係の範囲に侮辱する言葉を届けたり、ストーカー化する可能性があります。
見た目の態度からは反省が感じられたとしても、虐待のターゲットを捕まえるための行動であり、被害者にした虐待行為を反省し、自分自身を変えて健全な関係を築くための努力をする意思があるわけではないので、気を付けなければいけません。
まとめ
人気歌手FKAツイッグスが交際相手からの虐待をこのように語ったことで話題になりましたね。
「沸騰したお湯にカエルを入れたら、その蛙はすぐに飛び出してしまう。一方で、冷たい水の中に蛙をゆっくりと温めていくと死んでしまう・・・。それが私の経験」
引用元:tvgroove(https://www.tvgroove.com/?p=92013)
モラハラも同じように、もし最初からモラハラをする人だったら危うくて近づきません。しかし、最初は穏やかな「水」であり、その中に入ってから被害が始まります。
いきなりひどい虐待が始まるケースもありますが、多くは小さいものから徐々にエスカレートし、被害者も水の温度が変わっていることに気が付かないのです。
また、
運だったと思う。正直、“力を振り絞った”とか“光明が見えた”とか言えたらいいのにと思う。“私の気質の強さの証しです”とか、“母にそう育てられました”とか言えたらいいのにって。そんなことじゃなかった。あんな状況に今自分がいないのは、純粋に運だ
引用元:billboad japan(https://www.billboard-japan.com/d_news/detail/97190/2)
とも語っていました。
私も自分自身がモラハラ被害から抜け出せたのは、ある日相手から追い出されたことがきっかけでした。自分でモラハラに気づき、抜け出したわけではありませんでした。
自分の力でモラニゲする被害者はもちろん強いと思います。またモラニゲできなくても、それは被害者の力が弱いわけではありません。なぜなら虐待者はターゲットである被害者が逃げ出せないように多くの心理テクニックを駆使してくるからです。
社会がまだDV・モラハラへの理解も足りていないと感じます。どうか多くの人が、虐待者が利用する心理テクニックを知り、被害者の助けとなってほしいと思います。
さらに、上のケースでは、ガスライティングを受けていたことも彼女の弁護士が公表していました。
ガスライティングもモラハラ加害者や自己愛性パーソナリティ障害の手口の1つです。
自己愛性パーソナリティ障害のその他の手口を知りたい方は下の記事からどうぞ↓
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