調停でのダメな話し方といい話し方【知れば未来が変わる】

調停でのダメな話し方といい話し方【知れば未来が変わる】

モラハラ被害に遭われた皆さん、一刻も早くモラハラ環境から抜け出せることを願っています。

さて、モラハラは調停ではまだ理解されないキーワードであり、モラハラ被害の伝え方には工夫が必要です。

そして、モラハラだけでなく、離婚の理由や慰謝料を請求する理由などを調停員に話すときに必要になってくるのが「被害者意識」を無くした話し方です。

辛い体験は離婚原因になっていることもありますし、それを理由に慰謝料を請求することも正当な行為です。

しかし、話すときには「私が」という言い方ではうまく調停員に伝わらないことも多いのです。

そこで、話すときに「被害者意識」を無くしたときの話し方やそれがなぜ調停委員に伝わりやすいのか、実例を挙げて紹介したいと思います。

目次

被害者意識のある話し方とは?

被害者意識があると、相手がどんなにひどい人物で、どれだけ間違ったことをしていたかを話したくなります。しかし、調停は愚痴を言う場ではありません。

調停で求められるのは何よりも事実のみを客観的に伝えることです。

あくまでも条件を決めるための冷静な話し合いが求められ、調停員も基本的に中立です。

「主観的」な内容は、残念ながら調停委員にはうまく伝わりません。

1回の調停時間は限られています。限られた時間の中を有効に使うためには、調停委員に伝わる話し方を心がける必要があります。

では、具体的な例を挙げて「被害者意識のある話し方」と「客観的な話し方」の違いを見て見ましょう。

被害者意識を無くした話し方の実例

1.×被害者意識のある話し方

夫はいつも私の家事のやり方に文句を言ってきました。私のやり方が気に食わないのではなく、ただ単に文句が言いたいだけのようでした。そうやって、私に文句を言うことでストレスを解消していたに違いありません。ストレスをぶつけるために、言いがかりをつけてきていたのです。私が作ったご飯も、機嫌が悪いと食べないこともよくありました。そのたびに、夫は義両親に食事も作ってくれないと愚痴を言っていました。

2.○客観的な話し方

3月20日 私がテーブルにお皿を並べていると、夫が「お皿の並べ方が常識と違う!」と怒鳴ってきました。私が「ごめんなさい。すぐに直します。どこが違っていましたか?」と聞くと、夫は「そんなことも知らないのか!お前は本当に常識知らずだな!」と言って、お皿を手で払い、床に落ちて割れました。驚いて私が「どうしてそんなことをするの?」と聞くと、夫は「お前が常識がないから、皿が割れることになったんだ!」と言い、「もう食事はいい!」と言って部屋に戻ってしまいました。このように夫は些細なことで激怒し、機嫌が悪くなるとご飯を食べませんでした。ひと月に5,6日はこういう日がありました。

1の例では、「私はこう思った」というエピソードになっています。ただ単に文句が言いたかったのかどうかや、ストレスを解消していたのかどうかは「私」の主観ですので、事実かどうかは分かりません。その他にも、「機嫌が悪いと食べないこともよくありました。」では、どのくらいの頻度であったのかが分かりません。

2の例では、「AはBだった」という事実をもとに話をしています。また、具体的な日時や、頻度も分かります。

上の2つの例では、どちらがより伝わりましたか?1の例では、具体性がないので伝わりにくいですし、話している本人が感情的な人物のような印象を受けます。一方、2の例では、モラハラ加害者の異常さがよく伝わっているのではないでしょうか?比べてみると違いがよく分かりますね。

しかし当事者である本人が、調停当日に調停委員にも客観的な話し方できるかといえば、おそらく難しいでしょう。話すのが苦手な人は緊張もあって、うまく話せないこともあります。
どうすれば、客観的に話すことができるのか、調停委員に伝わる話し方をするために気を付けるポイントをまとめました。

調停員が納得する話し方・伝え方のコツ

1.具体的な数字を入れる

具体的な数字を入れることは説得力を増す効果があります。会社のプレゼンやコーポレートサイトでも使われる手法です。

主張書面であれば、

  • エピソードがあった日時
  • モラハラ(不貞や暴力)の頻度、回数、(無視などの)期間
  • 具体的な金額(浪費などのケース)

を入れることで、調停委員にも伝わりやすくなります。また数字があると、証拠を出さなくても「この人の言っていることは、具体性があり正しそうだ」と思ってもらいやすくなります。

2.主観的な表現は控える

例えば、相手がどんなに悪い人かを伝えたいがために、相手の気持ちを勝手に推し量って話をすることはやめましょう。相手の気持ちが分かるのは相手だけです。おそらく考えている通りだったとしても、推測にすぎないとみなされてしまいますし、また相手から簡単に反論できてしまう内容であるため、調停の場で話すことに意味がありません。

<例文>
「夫にとっては、家庭よりも仕事が大切であった」 → 内容から削除しましょう。
相手から「仕事も家庭も大切だった」と反論されてしまえば終わりです。

また、表現が主観的なものは必ず具体的な数字などに変えましょう。

<例文>
「積極的に家事をやっていた」 → 「週に2,3回夕食をつくっていた」など。

主観的な内容があると、内容が伝わらないばかりか、感情的になって誇張されたエピソードであるとも受け取られやすくマイナスのイメージがついてしまいます。
事実ではないエピソードは調停委員も重要視しません。
また余計な文章は、相手に反発心を植え付けることにもなりかねませんので、内容は慎重に検討しましょう。

もし、どうしても話したければ、夫から実際に言われた言葉を話すのが効果的です。
夫から言われた言葉は、事実に基づくエピソードなので伝わりやすいですし、相手も事実であれば認めざるを得ません。(モラハラの場合、事実であっても認めない場合は多いですが、具体的なエピソードや日時と一緒に話すことで、真実であると受け取ってもらいやすくなります。)

<話さないほうがいい内容>

  • モラハラをする理由
  • 相手がどう思っていたか など → 相手から言われた事実のみを話す

<表現を変えたほうがいいもの>

  • 積極的に、できるだけといった表現 → 具体的な頻度(週に○回など)に置き換える

3.エピソードは厳選して一つ一つを具体的にする

婚姻期間が長いとモラハラなどのエピソードがありすぎて、とても調停の場だけで伝えきれないということがあります。

エピソードをすべて伝える必要はありません。モラハラ行為のひどさが伝わるものを厳選して伝えましょう
そして、そのときに相手から言われたセリフも伝えると、モラハラのひどさが一層伝わりやすくなります。

エピソードを伝えるのに大切なのは具体性です。多くのエピソードを薄く伝えるよりも、少ないエピソードを濃く伝えるほうが効果的ですので、実践してみましょう。

4.具体的な解決案を提示する

調停は解決策を導くための話し合いの場です。愚痴をいったり、自分がどんなにつらい目に遭ってきて可哀そうかという話をする場ではありません。調停委員に同情してもらおうとせず、自分の意思決定を伝える場として活用しましょう。

エピソードなどを伝えた上で、自身がどういった解決方法を望んでいるのか、具体的に提示しましょう。

  • 離婚をするのかしないのか
  • 親権を希望するのかしないのか
  • 慰謝料を希望するのかしないのか(その金額)
  • 面会交流をどのくらいの頻度でどのように行うのか
  • 財産分与や養育費はいくらを希望するのか

モラハラエピソードを伝えるのは、「こういうひどいことをされたので、離婚事由に当たる→だから離婚を希望する」とか「こういうひどいことをされたので、慰謝料は○○円が妥当である」という自分が希望する解決策の説得力をつけるためです。

中には、調停の場を嫌がらせに使い、不必要に問題を引っ掻き回す人もいます。そういう人は調停委員から嫌われます。

解決策を提示することで、「この人は解決したいという意思がある」と調停委員に受け取られ、いい印象につながります。

5.自分がどう思ったかについては話してもOK!

エピソードの中で、その時に自分がどう感じたのかについて話すことはマイナスにはなりません。

<例文>
夫に「お前の人生をめちゃくちゃにしてやるからな」と言われ恐怖を感じた
夫が大声を出し暴れまわるので、「夫に逆らってはいけない」と思った

自分がどう感じたかは、その時の様子をイメージしてもらうのに役立ちます。
上記の例では、恐怖を感じるほどのすごい剣幕であったことが推測できますし、「夫に逆らってはいけない」と思って何も言えなくなったことが分かります。

被害者意識を無くした話し方をするには?

辛い目に遭ったときは、自分の感情が先行してしまい、なかなか冷静な話し方ができません。

そこであらかじめ、自分の話したい内容を文章に起こし、親や友人などの身近な人に見てもらうといいでしょう。

<文章のチェックポイント>

  • 当事者ではない人が見ても内容が正しく伝わるのか
  • 表現を変えたほうがいい部分はあるか(主観的な部分は削ったり、違う表現に変えましょう)
  • 内容量は適切か(内容が多すぎても伝わりにくいので、エピソードは厳選しましょう)
  • 削除したほうがいい内容はあるか、逆に追加したほうがいい内容はあるか

などをチェックしてもらいましょう。

調停の場で感情が出てしまうのは良くないの?

よく調停の場で泣いたりするのは良くない、と聞きますが、どうなのでしょうか?

あくまでも私自身の体験に基づくものですが、感情的になって話すことは良くはありませんが、話している最中につらい思い出が蘇ってきて涙が出てしまうことはマイナスにはならないと私は感じました。

事実、私はほとんど毎回の調停で涙を流していました。

しかし、結果は私の希望した以上のものになり、泣いたことで不利益を被ってはいないと考えています。

辛い思い出があれば泣いてしまうこともあるでしょう。調停委員の方は中身を見てくれています。

あなたの話す内容が理屈が通っており、正当なものであれば、必ず共感してもらえると思います。

まとめ

解決策を提示した後、双方の希望が異なれば、調停委員が調節を行います。その時に、正当な解決策であると調停委員が判断した方を、相手に伝えて説得してくれます。

調停委員に正当な解決策であると判断してもらうためには、正当な主張をする必要があります。そのためには、こちらの主張が調停委員に伝わって、共感してもらわなくてはなりません。

つまり実際にあなたが被った被害が同じでも、話し方によって結果が変わってきてしまうのです。

また、調停の場でもモラハラの二次被害に遭う可能性はあります。あなたも悪かったのでは?という心ない言葉にさらに精神状態が追い詰められてしまうこともあります。正しい伝え方をすることで、自分が被害者であったことを正しく理解してもらうことにもつながります。

伝え方ひとつで結果が変わります。ぜひ実践してみてください。

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