モラハラは調停でDVとして認められる?実際に離婚調停をして分かったこと

認められるDV、認められないDV その違いとは?

モラルハラスメントが原因で離婚する場合、被害を理解してもらうのが難しいのをご存知でしょうか?モラルハラスメントもDVに該当するとみる専門家もいますが、心理学的に言葉の暴力やモラハラがいくらDVに該当したところでそれを家庭裁判所内でも認めてもらえるかと言えばそうではありません。

目次

モラルハラスメントはDVなのか?それともDVではないのか?

家庭内で行われる暴力には次の種類があります。

1.身体的暴力

殴る、蹴る、髪を引っ張る、首を絞める、引きずり回す など

2.精神的暴力

暴言、人前で罵る、大声で怒鳴る、生活費を渡さない、親や親族、友人との付き合いを制限する、大切にしているものを壊す など

3.性的暴力

性行為の強要、避妊に協力しない、中絶を強要する など

モラルハラスメントは2の精神的暴力に該当します。しかし、精神的な暴力というのは軽く扱われ、その実態や被害の大きさを理解してもらうのが身体的DVと比べて非常に難しいのです。

小4少女虐待死事件でも、母親は明らかに父親から精神支配を受けていたのにもかかわらず、虐待を擁護したとして罪に問われました。目に見えない精神的支配や暴力は、その有無や被害の程度を正確に測ることができず、残念ながら軽視される傾向にあります。

家庭裁判所で認められるDVのほとんどは、「身体的暴力」でかつ「診断書等で証明できるもの」です。身体的暴力であったとしても、診断書等で証明できるほどのケガでなくてはDVとして認められない可能性があるということ。精神的暴力についてはそれ以上に認められにくいということです。

モラルハラスメントは離婚事由になる?

モラハラで離婚できると法律では明記されていない

離婚事由には以下のものがあります。(民法第770条)

  1. 配偶者に不貞な行為があったとき。
  2. 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
  3. 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
  4. 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
  5. その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

この5つを法的離婚事由と言い、この中に該当しているケースでは片方が離婚を拒んでいたとしても正当な離婚理由として認められ、離婚することが可能です。

この中には、モラルハラスメント(精神的暴力)によって離婚ができるとは明記されていません。

モラハラで離婚をする場合は、パートナーからのモラハラが婚姻を継続しがたい重大な事由にあたると認めてもらわなくてはいけません。

モラハラを認めてもらうためには?

モラハラを認めてもらうのには何よりも証拠が大切になってきます。しかし、証拠と言っても重要視されるものと、あまり重要視されないものとあるので注意が必要です。

モラハラの証拠になるもの

  • 暴言や怒鳴り声などを録画・録音したもの
  • 相手からのメールや手紙(束縛、暴言などが分かるもの)
  • クリニックにかかった時の診断書
  • 公的機関への相談記録
  • モラハラの様子を見ていた友人などの証言
  • モラハラを友人に相談したメール
  • モラハラを記録した日記等

確実な証拠になるのはやはり、モラハラを録画・録音したものです。何よりも、動画や音声は迫真性がありその被害の実態がしっかりと伝わります。

そして、言葉の暴力、精神的暴力だけで離婚が認められるというケースは多くはありません。悪質性が高いものについて離婚が認められますが、どの程度、どのくらいの頻度であれば離婚ができるという判断は一概にはできませんので、離婚を専門とした弁護士に相談してください

今、現在被害にあっていないのであれば「DVやモラハラはなかった」のか?

そして、別居や離婚でモラハラと決別ができたとしても面会交流で元夫婦がつながり続けるケースでは、過去に遭ったモラハラ被害をどこまで認めてもらえるか、という点に注意しなくてはいけません。

上の事例では、父親から母親への暴力が直近でなかったことで、「DV被害はない」とされ、引き続き精神支配下に置かれていたことについては見過ごされています。

被害は過去のことであり、今現在は被害に遭っていないのであれば「もういいじゃないか」となし崩し的にかかわりを持たざるを得ない状態に持っていかれることがもっとも恐ろしいことです。

特に、面会交流では実質的な被害は自分ではなく、子どもに及ぶ可能性が高いため、一番守らなくてはならない我が子が一番の犠牲者になることを避けなくてはいけません。しかし、家庭裁判所では、「今現在は被害がないのであれば面会交流を行っても良いのでは?」と過去の被害については問題視されずに面会交流が認められてしまう場合もあります

DVの場合でも、「直接的な面会交流を停止する」と判断されたとしても、被害が継続していなければ、もう大丈夫だろうと「面会交流を行う」ように勧められることもあります。

精神的暴力はもっと認められてもいい

近年、モラハラという言葉が出てきて、さまざまなニュースで取り上げられ世間に浸透し始めてきました。世の中が、精神的暴力の被害をより重視する流れになってきているのではないかと考えられます。

しかし一方で、家庭裁判所で同じように認められやすくなってきているのかといえばそうでもありません。私自身、調停の場では「DV、浮気、借金があったもっとひどいケース」の話をされ、私の被害は「軽いもの」だと扱われました。

精神的暴力の被害の深刻さをもっと理解してもらいたいと願っています。

まとめ

私は、離婚した今もなお、結婚生活で受けてきたモラハラ被害に苦しんでいます。

詳しくはこちら↓

DVを含め、身体的、精神的暴力の被害は、それがなくなったとしても「恐怖」として依然残り続けるということです。

そして、次の被害を無くすためにも「恐怖」を抑えて関わり合いを持つのではなく、「恐怖」を感じる相手とは関わらずに逃げることが必要です。

精神的暴力は目には見えませんが、確かに存在しているものであり、実質的な被害だってあります。そして、今現在被害に遭っていなかったとしても、関係が続いてしまえば今後も被害が続く可能性ははるかに高いのです。

認められるDV、認められないDV その違いとは?

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