父親がいないことよりも家庭環境が悪い方が子どもに絶大な悪影響を与える理由

父親がいないことよりも家庭環境が悪い方が子どもに絶大な悪影響を与える理由

子どものために離婚するべきか、子ども為に離婚をしないべきかというのは一概に答えを出すことができない複雑な問題です。

しかし、近年の研究では「父親が家庭にいない」ことが子どもが成長する上で何の影響も与えないということが分かってきました。一方で、極端に暴力的であったり虐待がある家庭で育った場合では、子どものパーソナリティに深刻で永続的な影響を与えることが分かってきています。

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父親とお風呂に入ると子どものIQが高くなるは嘘?

近年、父親と子どものかかわりが重要視され、父親が子育てに加わることで子どもへいい影響を与えるように言われることがあります。たとえば男児には男親が必要であるとか、父親が子煩悩で子どもと積極的に関わて来た家庭では子どものIQが高くなる傾向にあるといったことです。しかしこれらは、科学的な根拠がありません。

日本においてIQの高い子どもは、父親の就労時間と密接なかかわりがあります。父親が帰ってくるのが遅ければ遅いほど子どものIQは高いそうです。これは父親がいないことが子どものIQを高くしたというわけではなく、就労時間の長い仕事についている人は社会的に成功している人が多く、社会で成功していたり会社に必要とされる父親を持つ子どもは遺伝的に頭が良いという因果関係に基づくものです。

上記は日本のケースで、海外では就労時間が日本よりも短く、業績のいい企業であればあるほど働き方を選ぶことができます。ベンチャー企業に勤めている人であれば、仕事を早めに切り上げて子どもと関わる時間を持つことが出来るフレックスな働き方を選べる可能性がありますし、深夜から明け方にかけて働くといった肉体労働に従事することを避けることができるかもしれません。つまりいい企業に就職できる知能を持った父親から生まれた子どもだったから単にIQが高かったということが考えられます。

IQの高い子ども調べたらIQの低い子どもと比べて父親とのかかわりが多かったという結果が得られたとしても、それだけでは父親と子育ての密接な関わりが子どものIQを高めているとは言えないのです。

父親がいないことや小さいころから預けられてきたことは、子どものパーソナリティ形成に何の影響も与えない

行動認知学が研究されるにつれて、人間のあらゆる能力は遺伝的な力や非環境的要因の力が強く、一般的な家庭で育てられた子どもがどう育つかは子育てとほとんど関係がないとも言われています。

つまり「子育て論」のような育児書が本屋にはあふれていますが、育児方法を変えたところで子どもの成長が大きく変わるということは実はあまり考えられないのです。

「厳しくしつけたから神経質な子になった」

とか

「小さいうちからいろんな経験を積んだからチャレンジ精神旺盛な子になった」

といった単純なものではないということです。

ネガティブなことがあった時にクヨクヨと落ち込み立ち直れない反応を示す子もいる一方、ネガティブなことがあってもすぐに立ち直り、その経験を次に生かして成長していける子もいます。それは、ネガティブな出来事自体が子どもの性格を決めるのではなく、もともとの素養が大きく関係しているということです。

家庭の中でどう育てるかが子どもの性格に直接影響を及ぼすのではなく、もともと持っている遺伝的パーソナリティ要因が物事への反応を決定するのです。

離婚した家庭でも父親がいないことをクヨクヨと考える子もいますし、逆に父親がいないことを全く気にしない子もいます。子どもの性格によって父親が不在なことを前向きに捉えるのか、後ろ向きに捉えるのかが変わってくるということであり、それは子どもそれぞれの気質なのです。

家庭環境が悪いことは子どものパーソナリティ障害を引き起こす

一方で、大きなストレスは脳に影響を及ぼし、永続的な影響を与えることが知られています。ストレス反応によって出るコルチゾールというホルモンは、過剰に分泌されてしまうと脳の海馬を破壊することが解明されています。コルチゾールが過剰に分泌される原因は、慢性的なストレスです。

家庭が不安定で常にストレスにさらされながら育ってきた子どもは、受けてきたストレスによって脳そのものが変化してしまっています。脳は一度ダメージを食らうと回復することができません。家庭環境がその後の人生に大きな影響を与えるのは、このように脳が戻らないレベルでダメージを受けてしまっているからです。

たとえば、妊娠中に母親が過度なストレスを抱えていると胎児はその影響を受け遺伝子が変容すると言われています。そしてその変化は孫の代にまで影響を及ぼすとも言われています。

私たちのパーソナリティ(性格)を司るのはやはり脳です。脳が変わってしまうことは、本来持って生まれた気質を変容させるほどの重大な影響を及ぼしてしまうことにつながります。

また、パーソナリティ障害の人の性格を調べたところ、思春期前後に性格がガラリと変わったというケースが多くみられるそうです。

たとえば、それまでは活発で友人も多かった子どもがある時から引きこもりがちになり無口になるというケースや、大人しく優しかった子どもがよくキレ怒りっぽくなるといったケースです。

これは、本来持って生まれた気質が何らかの原因によって大きく変容してしまったことが原因なのかもしれません。そしてその原因が、パーソナリティ障害につながった可能性もあります。

まとめ

子どもが慢性的にストレスを抱えている状態であれば、離婚をするほうが子どものためには良いと考えられます。

「子どものために離婚をすべきではない」と安易に結論付けることだけはやめたほうがいいでしょう。

幼少期にストレスにさらされることが、大人になってからもどれほど破壊的な状況を生み出すのかはこちらの本にも詳しく書かれています。子どもの将来を守るために、何を選択するのかをよく考えなくてはいけません。

もちろん、ストレスはあなた自身にも悪い影響を与えます。あなた自身を守るために離婚が必要な時もあることを忘れないでください。

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