モラハラ夫と結婚生活をしている人の中には、モラハラ夫と暮らしていることで人間的に我慢強くなったり、成長できると考えている人も中に入るそうです。
しかし、私はこの考え方は非常に危険であると思っています。
ブラック企業でしごかれれば、成長できる?
この考え方は、ブラック企業に勤めている人が陥りやすい考え方とよく似ています。
ブラック企業では、本人が成長するための自主的な勉強という形で残業をさせたり、長時間勤務の後、さらにレポートを提出させるなどします。そうして、新人の内から厳しく長時間の教育を受けることで、他の企業でぬくぬくとしている同期よりも速いスピードで成長していると思い込んでいます。
1日は24時間しかありません。仕事をそのうちの16時間を使えば、1日に8時間しか勤務していない人よりも2倍早くスキルアップできるという考え方は果たして合理的で正しいのでしょうか?
脳が溜めこむ「睡眠負債」とは?
人間は、長時間労働をしたらその分早くスキルアップできるわけではありません。
脳は、睡眠不足をためる性質を持っています。このため込んだ不足分の睡眠は負債として脳にマイナスを計上するので、「睡眠負債」と言われています。たとえば、1日4時間しか睡眠を取らなくなると、本来は1日8時間の睡眠が必要であった場合、1日4時間ずつ睡眠負債をため込むことになります。これが12日続けば、48時間。つまり丸二日寝てない人と同じくらいのパフォーマンスしか発揮できない状態になるのです。
これは、人間だれしも同じです。人によって必要な睡眠時間は異なりますが、だいたい7~8時間の睡眠が必要だと考えられています。人によっては10時間ほどの睡眠を必要とする場合もあります。必要な睡眠時間は遺伝子によって決められており、「やる気」や「根性」といったことで必要な睡眠時間を変えることはできません。
つまり、1日20時間働き4時間寝た場合は、睡眠負債のツケが4時間溜まっているのでその分効率が悪くなっています。これが続くとどんどんと効率の悪い状態で仕事をやり続けるしかなくなっていきます。睡眠負債を抱えて働き続けている人は、脳のパフォーマンスが極端に落ちているので、ミスを繰り返したり、仕事の能率が悪くなっています。
人一倍働いて同期の誰よりも早くスキルをアップさせるどころか、パフォーマンスが落ち本来の力すら発揮できない状態に陥っているわけです。これではスキルを伸ばすどころではありません。
私たちは「何かを我慢している状態」が人を成長させると誤解しやすい!
なぜこのようにパフォーマンスが落ちて、逆にミスが続いている状態を改善させようとしないのでしょうか?
それは私たちが、人が成長するのは、何かを「我慢」していたり、「努力」していたりする時だと思い込んでいるからです。
特に、我慢することは「人を成長させる」という考え方は強く根付いており、スキルアップさせるという名目であえて「我慢をしなくてはいけない環境」を作り出している場合があります。ブラック企業では、このように新人の教育と称し、新人をイジメたり虐待することを正当化しているわけです。
そしてブラック企業で勤め続けてしまう人は、あたかもそれが正しい価値観であるように洗脳され、ブラック企業をやめることができなくなってしまうのです。
モラハラ環境で成長できるは間違い!
モラハラ夫との結婚生活も当然、毎日「我慢する」ことを強いられます。
こうしたモラハラによる毎日の我慢が人を成長させることはありません。それは、虐待を受けながら成長した子どもが精神的にタフになり、今後の人生がより生きやすくなるということがないということと同じです。両親から深い愛情を受けてきた子どもの方が今後の人生がよりいいものになるということは多くの人が想像できると思います。
モラハラ夫からモラハラを受けてきた妻よりも、愛情深い夫から愛されてきた妻の方が絶対的にいい人生が送れることは間違いありません!
そしてブラック企業に勤めている人と同じように、もし「我慢」していることで、人間的に成長することができているハズだと間違った考えに至ってしまっている場合は、モラハラ環境から抜け出すことができなくなってしまいます。
特に真面目な人は「我慢する」ことに長けています。また我慢から逃げることが悪いことだと考えて自らを奮い立たせるタイプの人は、モラハラ環境から抜け出すことが容易ではありません。
「我慢」や「努力」は方向性を間違えては成長できない
我慢や努力が実を結び、勉強していい大学に入れたり、希望の就職先に就職できることもあります。しかし、ブラック企業やモラハラ環境での我慢というのは、本来は我慢する必要のないことを我慢しているのであり、そのことが人間を成長させることはありません。ただ単に「負債」をため込み、脳や心にダメージを蓄積しているだけです。
私たちがしなくてはいけない我慢というのは、睡眠時間を削ってまで働いたり、勉強したりすることではありません。
ましてや、精神を病むほどの高ストレス状態を我慢する必要など、どこにもありません。
「あなたを成長させるため」という言葉に惑わされてはいけない
ブラック企業でも、モラハラ夫も同じように虐待の理由を「あなたを成長するため」だと言ってくるでしょう。この言葉は紛れもなく嘘です。
なぜなら、成長を促すためには、必ず成長をさせるための行程やその方向性を示してあげなくてはいけません。それを「自分で考えろ」とか「そんなことも分からないのか」と言ってあなたを責める材料に使い、「何をどう改善すればいいのか」を教えないということは、成長をさせたいという意図が全くない証拠だからです。
ブラック企業も、モラハラ夫も自分のストレスを発散するためだけに怒鳴り散らし、それを正当化するために「成長」という言葉を使います。
それが、ブラック企業とモラハラ夫の本質です。
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