モラハラ夫がよく使うフレーズに「なぜ○○しないんだ!?」というものがあります。これは、「自分であればこうするのに、なぜおまえはそうしないんだ?」という意味です。モラハラ夫はお願いするわけでもなく、かといって自分でやるわけでもなく「〇〇するのが当然なのに、なぜしないのか?お前はおかしい!」と言ってくるのです。
なぜモラハラ夫がこういう言い方をするのか、またこういう言い方をしてきたときにどう対処すればいいのかをまとめました。
モラハラ夫は自分と妻の区別がつかない
モラハラ夫が「なぜ○○しないんだ!?」と言ってくることをなぜ妻がしないのかと言えば答えは簡単です。それは別の人間だからです。別の人間だからこそ同じ状況下でも「やりたいこと」や「やらないといけない」と考える内容は違います。
たとえば、「なぜ、今日は俺の母親の誕生日なのに、お祝いの電話を掛けないんだ?結婚したからにはお前の母親でもあるんだぞ。」と義母にお祝いの電話をかけることを強制したとします。そして、「もう家族になったのだから」と絆を強調するようなことを言うことも忘れません。かけなければ「家族の誕生日も祝わない冷徹な人間」と思わせる為です。
もちろん、義母に対してお祝いの電話をかけることは悪いことではありません。しかし、これが「今日は母さんの誕生日だから、お祝いの言葉をかけてもらえるかな?あなたからお祝いの言葉を言われたら母も喜ぶだろうから」と言われたらどうでしょうか?義母と仲が良ければ、喜んで電話をかけたいという気分になります。相手に伝えている内容は同じでも印象は全く異なります。
モラハラ夫は、自分の思い描いた家族像や親子像を叶えるために、妻を手足のように使います。それは、妻と自分の境界線がなく、同一視しているからです。
もっと言えば、家族というものは一つの単位であり、そこに「個人」が存在していると気づいていません。なので、自分の思い通りの行動をとらない妻を批判し、責め立てるのです。
モラハラ夫にとっての家族は「自分と同一の存在である」
なぜモラハラ夫には妻を含め家族との境界線がないのでしょうか?
その原因は、生まれ育った環境で自分の「本心」や「感情」、「親とは別の考え方」を親から認められなかったために引き起こされると私は考えています。モラハラ夫が育った家庭も同じようなモラハラ家庭であった場合が多く、家長が家族を支配する構図を見ながら育った可能性があります。
モラハラ夫は自分が家長になったら、「家族を支配し、手足のように使う」ことを当然の権利として振りかざします。
モラハラ夫がこちらの「個人の考え」を尊重してくることは絶対にありません。必ず、妻の方から境界線をしっかりと引くことが必要です。
モラハラ夫は、自分の価値観とぴったり一致する妻を求めています。そして、自分の価値観と違う部分があれば、妻の欠点としてとらえていることもあります。自分の行動や価値観にピッタリと寄り添ってくれる人は「良い妻」であり、そうでなければ「出来損ないの妻」であると認識しているのです。しかし価値観がまったく一致する人は世の中のどこにも存在しません。そのためモラハラ夫は、「イエス」しか言わない妻以外はすべて「出来の悪い妻」であると考えており、基本的に誰が妻であってもうまくやっていくことができないのです。
境界線をハッキリさせるためにやるべきこと
私は、結婚生活中に夫から言われたことは「嫁に入ったのだから、すべてこちらの家のやり方に従え」「それができないのであれば離婚だ」「家族は必ずどこへ行くにでも一緒に行動しなくてはいけない」「子どもたちに俺が帰ってくるまでご飯を食べさせるな」と言ったことでした。夫は、家族という集団は常に行動を共にしなくてはならず、そうしなければ縁が切れると考えていました。
まず、相手からの要求の中で何ができて何ができないことなのかをハッキリとさせることです。
モラハラ夫は言い方が悪いばっかりに反感を招くことがありますが、内容だけ見れば「やってもいい」こともあります。やってもいいことと、どうしてもできないことを判断しましょう。そして、どうしてもできないことについてはキッパリと断りましょう。
私は、「子どもたちはまだ小さく、あなたが帰ってくるまで夕食を待たせることはできない」と夫に伝えました。また、「お互いに常に一緒に行動する必要はないんじゃないか。家族の時間をつくるだけでなく、個人の時間も必要」なことも伝えました。
このときに、モラハラ夫が「俺の言うとおりにできないのであれば離婚」という考え方を曲げないのであれば、それはもう仕方がないと思います。
中には離婚と言ったものの、本当に離婚になりそうだと分かった途端に態度が急変し、そのままモラハラが収まったというケースもあるようです。(すべてのケースに当てはまるわけではありません。そして私の場合はこのケースには当てはまっていませんでした。)
大切なのは「離婚」を避けるために相手に合わせて自分の境界線を変えないことです。普通の人間関係であれば、こちらが譲ってあげれば次の機会に相手から譲ってもらえますが、モラハラ夫からは常にこちらが譲ることになるだけです。そして、本当に境界線がなくなり相手と同化してしまうと、妻も夫との境界線が分からなくなり「共依存」の関係になってしまいます。
境界線をずらすことは、終わりのない我慢の始まりです。妻は常に境界線を下げ常に我慢するようになります。最終的には境界線そのものがなくなり、共依存の関係になってしまう可能性が高まります。
こうなると、モラハラから抜け出すのは容易ではありません。
- この人が本当に自分の人生にとって重要かを考える
モラハラは有害です。この有害な関係に固執する必要はありませんが、もし離れがたく思っていた場合に何がそうさせているのかを考える必要があります。モラハラ夫がいなくなった後のことを想像してみてください。 - 感情やニーズを変えない
もし、モラハラ夫が妻に罪悪感を持たせるような言い方をしてきたとしても、あなたの感情やニーズを上書きしないようにしましょう。被害を一番遠ざけるためにやるべきことは、自分を第一に考えることです。 - 自分の感情を守る
モラハラ夫は罪悪感を覚えさせたり、反対に恐怖を植え付けたりして妻をコントロールしようとします。感情をコントロールされることは、ゆくゆくは行動を支配コントロールされることになります。特に自己否定感などをネガティブな感情を植え付けられそうになった場合は、ガードを固くする必要があります。 - 個人情報を守る
悪質なモラハラ加害者は、過去に聞き出したプライバシーを暴露する、もしくはすでに暴露することで周囲から孤立させるといった方法で支配を強めることがあります。相手に話す情報を制限しましょう。 - モラハラ夫のためにあれこれしない
モラハラをする人は、表面上はそうではなかったとしても、妻がやったことに対して感謝をしません。彼らのために自己犠牲をして走り回ることをやめましょう。 - モラハラ夫が境界を破ってきたときにどうするかを決めておく
モラハラ夫は常に妻の境界線を越えようとテストを繰り返してきます。一度、境界線をキープ出来たらその境界を保ってくれるということはありません。もし、彼らが次に境界線を越えてきたときのことをあらかじめ考えておく必要があります。 - 脱出する計画を立てる
離婚には長い準備と時間がかかります。将来のことを考えたら今からでも離婚や別居の準備を始めることは早すぎることはありません。
やってはいけないこと:逆の立場に置き換えて話をしても分かってもらえない
モラハラ夫は、妻に自分の母親に誕生日を祝わせることは当然であると考える一方で、妻の親に対しては自分が誕生日を祝うということはしません。なぜなら、考え方の基本は「ダブルスタンダード」で、自分は許され、妻は許されない構図が出来上がっているからです。
モラハラ夫にとって、妻と夫は平等ではありません。
あくまでも、妻は自分と同じ考えを持つものと考えており、一方的に妻の「個人の考え」を認めないということです。
「あなただって私の親の誕生日に電話をかけたりしないじゃない」と言ったところで「そういうことは妻の役割だろ」と言って聞き入れることはありませんし、「俺の親じゃないから当たり前だろう」と思っています。
そして、逆の立場に置き換えたところで「夫の役割」や「妻の役割」と言った性別による差や、「あなた」にはできるが「自分」にはできないといった個体差を強調することがほとんどです。
モラハラ夫には、自分はよく妻はダメと言うルールが存在します。なぜ自分は許されるのか、なぜ妻が同じことをしたら許されないのか、その矛盾や不自然さに気づくことはありません。
まとめ
モラハラ夫は妻を使うのは夫である自分の特権であると考えており、不平等さについて疑問を持ったり、妻の訴えに耳を貸し態度を変えようとすることはほとんどありません。境界線を保つことが必要不可欠ですが、モラハラ夫との戦いは終わりがありません。できれば離れることをオススメしています。
- 出来ることと、できないことをハッキリさせ、相手に伝える
- 出来ないことを強要してきても折れない、譲らない
- 共依存にならないように、「境界線」をキープする
- 拒否したことで決定的な溝ができ、関係が破綻しても仕方のないこと
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