モラハラ加害者は被害者に罪悪感を植え付けるために、自分の異常行動をすべて被害者の責任にします。「おまえのせいで怒鳴ってしまうんだ!」「ルールを課すのはお前が俺を心配させるせいだ」「お前が至らないせいでこうするしかないんだ!」こういったことを日常的に嘯きます。
もしこれが本当であるならば、被害者はモラハラ加害者のモラハラをコントロールできることになります。被害者の言動のためにモラハラが出てくるのであれば、被害者が振る舞いを変えればモラハラは簡単に治まるはずです。しかし、モラハラは治まるどころか、加速しひどくなっていきます。
「モラハラはお前のせい」の矛盾点
「モラハラをする」ほうは被害者がコントロールできるのに、「モラハラをしない」のを被害者がコントロールできないのは矛盾しています。アクセルを踏めば加速するのに、ブレーキを踏んでも止まらない車のようです。それは、車の方に問題があるとしか言えません。
義両親からは、「息子(夫)がこうなったのはお前(私)のせい」と言われ続けていました。また、夫が決めたことに対しても、義両親が不満に思っていることは「あなたが反対をしなかったのが悪い。息子に責任はなく、すべてそれを止めなかったあなたに非がある」と言われました。夫自身も、自分の行動の悪いところはすべて妻のせいだと思っていたようです。
責任転嫁の背景には、コントロールしたい気持ちと「無能」があった
なぜ、すべての責任を他人に押し付けるのでしょうか。もちろん被害者に罪悪感を植え付けてコントロールしたい気持ちもありますが、モラハラ加害者に共通していることがあります。それは問題解決能力がほとんどないということです。
トラブルが起こったときに自分が解決しようという気持ちとその能力がある人であれば、人に責任を押し付ける必要はありません。自分で解決したほうが手っ取り早く、確実に解決できるからです。その方が、責任を押し付けあっているよりずっと建設的で有意義です。
問題解決能力が高い人は、主に3つの能力が高いとされています。
- 問題を認識する力
問題が何であるかを正確に把握し、「何が」「どのように」問題であったかを認識する力です。 - 問題を分析する力
問題の原因を分析・調査する力です。原因を正しく探ることで必要な解決策を導き出すことができます。 - 解決策を導き出す力
「だれが」「どのように」「いつまでに」解決するか解決策を導き出す力です。
人に責任を押し付けるモラハラ加害者は、このいずれの能力も持ち合わせていません。
まず、問題を正しく認識することができないため、何がどう問題であったのかを理解することができません。そのため、必要以上にトラブルに対して過敏に反応し、攻撃的になります。
また、客観的な視点を持ってトラブルを正確に把握、分析できないため自分が「被害者」であることに固執し、自分が解決するべきものではなく、加害者(もしくは別の第三者)に解決してもらう問題だと思っています。
こういった態度は更なる問題を引き起こし、解決につながらないばかりか、トラブルをより大きくしてしまうことすらあります。モラハラ加害者の周りにトラブルが発生しやすい原因は、自ら問題を大きくし、トラブルを呼び込んでしまうからです。
また起こったトラブルに対して自分が被害者だという意識が強く働くため、相手に罰を課すことにためらいがありません。
「モラハラをするのはお前のせい」は、「自分で自分をコントロールする能力がない」と宣言しているようなもの
ここで、冒頭の話に戻りますが、モラハラ加害者がモラハラの責任を被害者に押し付けるのは、自分で問題を解決する能力がないためです。そして、その言葉で被害者は「自分のせいで(モラハラ加害者が)苦しむことになっている」と加害者意識にさいなまされ、苦しむことになります。
しかし、この発言で気づいてほしいのは、「自分で自分の行動をコントロールできない」ことをモラハラ加害者自らが認め、宣言しているということです。それは、自分のことも自分で制御できない無能であるという意味です。
普通の人であれば、自分の行動を自分でコントロールできないなんてことはありません。
つまりこのセリフが飛び出してきたときには、「この人は自ら無能だと発言している」と受け取っておけば大丈夫です。あなたが責任を感じ、罪悪感で苦しむ必要はありません。
夫からも義両親からも、夫の問題行動の責任を取るように言われていました。「妻が心地いい家庭を作らないから、職場で怒鳴ったり対人関係で問題が生じる」と言われ、職場での問題行動ですら私の責任でした。私の責任の幅はどんどんと広がっていきました。
そのうち、ポストが赤いのも私のせいにされるのではないかと思いましたよ
モラハラ加害者の模倣により最大限の利益を獲得するために行動する
また、彼らは生育環境において、似たようなモラハラ加害者の行動を見る機会が多分にあり、その行動を模倣していると考えられています。
モラハラ加害者はその生育環境において、「自分で自分の機嫌を取らない大人の方が、多くの利益を獲得する」ということを学んでいると考えられます。
モラハラ加害者は利己的な性格の持ち主であり自分の利益のためになるからこそモラハラをします。
無責任で無能なモラハラ加害者が彼らの側にいたこと、さらにはその加害者はその行動によって何らかの利益を多く獲得しているところを見て、自分も同じような利益を獲得するために彼らの行動を身につけたと言えます。
まとめ
彼らには問題解決の能力がなく、「無責任」であり「無能」です。
しかし、あなたが代わりにこの責任を取ってはいけません。モラハラ加害者は自分で責任を取らなくていいと分かるとモラハラを加速させます。
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