弁護士を選ぶときには、最初からたった一人の弁護士にお願いするのではなく、いくつか弁護士事務所を当たって自身にあった弁護士の先生を見つけてほしいと思います。
実際に会って話をして、この人にお願いしたいという先生を見つけてほしいのですが、どういった点をポイントに合う合わないを判断するのか、自分の体験談をもとに説明します。
モラハラ離婚で弁護士を選ぶときのポイント!
1.相談しやすい弁護士
まず、何よりも相談しやすさと言うのが重要です。
弁護士の先生の力を借りるにしても、自分がどういう結果を求めているのか、何を一番に考えて離婚をするのかが最も重要になってきます。
弁護士の先生が良かれと思ってやってくれたことでも離婚する本人の意思と違うことでは意味がありません。本人がこうしたいという意思をしっかりとくみ取ってくれて、そのために動いてくれる弁護士が良いでしょう。
そこで、選ぶ弁護士は、自分の意見がはっきりと伝えられる相手である必要があります。
自分の離婚問題なのに、弁護士の先生が「ああしろと言ったから」「こうしろと言ったから」ということで結論を決めてしまえば後悔が残ってしまうでしょう。弁護士の先生はあくまでも自分の意見を代わりに述べてもらったり自分の意見の根拠をつけてもらう助言者にすぎず、どうしたいのかを決定するのは離婚する本人です。
中には依頼者の意見を聞かずに、こうしなさい、ああしなさいといった高圧的に言ってくる弁護士もいますので、よく見極めましょう。
自分がどうしたいのかをハッキリと伝えられずにいると、自分の望む形とは違う結果に終わる可能性があります。
相談の段階で、あまり話を聞いてくれる感じがしない、この人には意見が言いにくい、と言った弁護士を選ぶのは絶対にやめましょう。
たとえば、話の最中に途中で口を挟んできて、話が遮られたり、結論をせかすような話し方をされる場合には、きちんと話を聞いてもらえない相手である可能性があります。
あとで「そんな話は聞いていなかった」「最初に行ってもらわなきゃ困る」と言い出され、もめる原因になります。
2.積極的に調べてくれ、法的な見解を教えてくれる弁護士
調停では法的な話よりも自分がどうしたいのかを重点的に話すことになります。もちろん、感情的に話すことは調停の場にはふさわしくありませんが、必ずしも法律に基づいて話をしなくても良いです。(しかし、何かを主張するには根拠となる説明が必要になります。)
調停が不成立した場合、その先に待っているのは審判か裁判です。もし審判になったら、もし裁判になったら、その時は法に基づいて判決が下されることになります。
例えば、「裁判になれば動産は財産に認められない」と言うことをあらかじめ知っておけば動産の財産分与で揉めることに意味がないことが分かります。調停の場では主張することは自由なので、とりあえず言ってみて相手が認めなければ『早期決着の為にも諦める』という判断が合理的です。しかし、そういった法的な知識を教えてもらえなければ合理的な判断はできなくなってしまいます。
このように調停では、次の段階を見据えた話し合いをする必要があります。
相談のときに、同じような事例でどういった判例があるのかを聞いてみましょう。
調停や裁判になるのはもめているケースですので、似たような揉め事が過去の判例にあることが多いと考えられます。
あなたの相談内容に応じて過去の判例を調べてくれたり、経験に基づいて話をしてくれるかどうかがポイントになります。
私の場合は、相談のときにその場でいろいろと調べてくださった先生にお願いすることになりました。そして、調停の結果は納得のいくものになりました。
私の担当してくださった先生は、離婚が専門の方ではありませんでしたが、私が抱える問題について過去の判例等を積極的に調べてくださり、結果的に夫を担当した離婚専門の弁護士よりも、詳しい知識で戦ってくださいました。(裁判官も、こちら側が正しいと言ってくださいました。)
元々の知識量だけでなく、個々のケースに対応できるように積極的に調べてくれる先生であると心強いと思います。
3.不利な点も教えてくれる弁護士
離婚問題では必ずしも自分の望む結果になるとは限りません。私の場合、面会については第三者機関を利用しているものの、この先も面会における不安は常に付きまとっていくでしょう。しかし、それが今の家庭裁判所の判断、現実的な落としどころでもあります。あなたが望む望まないにかかわらず結果と言うのは一定のルールに基づいて下されるものでもあり、それは過去の判例などから事前に弁護士も分かっています。
「恐らくこうなるでしょう」という判断は、あなたにとって不利になることでも教えてくれる弁護士を選びましょう。
私たちは、過去の判例がどういったものかも知らないですし、法律がどのようは判決を下すかもわかっていません。今はインターネットが発達しているので自分で調べることもおそらく可能ですが、弁護士に相談できるサイトでも「個々のケースによります」や「詳しく話を聞かないと判断できないので、弁護士に相談してください」という回答が寄せられていることも多いです。
例えば、「面会交流をなしにすることは難しい。面会交流を行う上でこういう条件を付けるのはどうか?」と弁護士から言ってもらえた場合、面会交流で自分が安心できる条件を考えることになります。それは、面会交流は一般的には行わざるを得ないということを知っておかなければ、考えないことです。
もし、この情報を教えてもらえずに「面会交流を無しにする」ことに固執していたら、面会交流がいざ行われることに決まった時に「条件面で不利になる」可能性があります。
自分にとって不利な内容でもそれが現実であれば受け入れる他ありません。そして、事前に不利な点を教えてもらえれば対策案を考えることができます。
中には依頼者ともめたくないばかりに、良いことだけを言ったり実際の判例とはかけ離れた提案をしてくる弁護士もいます。そして、結果が伴わない場合、のちに今度は弁護士ともめる原因にもなります。
相談に行く際には、依頼内容だけを話すのではなく質問をいくつか考えてから相談に行きましょう。例えば、慰謝料は発生するのか、養育費はいくらになるのか、などです。それぞれの弁護士事務所によって回答は異なるはずです。(実際に私の場合も養育費などの金額も事務所によって違っていました。)
自分にとって聞こえのいいことばかり言ってきたり、「そう主張することはできます」のように曖昧な回答に終始する場合は、考え直した方が無難です。
4.過去にモラハラの事例を担当したことがある弁護士
「モラハラ」と言う言葉は、調停の場ではほとんど浸透していないと言っていいでしょう。「暴力を受けました」と言えば慰謝料の対象になることは明らかですが、「モラハラを受けました」と言っても実際にどういったことが夫婦間で行われていたのかは分かってもらえません。
調停委員から「それは夫婦げんかの範囲ではないのか?」と思われてしまっては、解決には至りません。
まずは、モラハラの内容を一つずつ説明していく過程が必要です。
そして、弁護士でもモラハラを知っている人がそれほど多くないというのが現状です。もし、弁護士がモラハラをご存じない場合は、相談するときにもモラハラが何かと言う説明からしなくてはなりません。モラハラについて理解がなければ、「どこの夫婦でもそれくらいのことはあるよ」「そんなことで離婚はできないよ」と安易に判断されてしまうかもしれません。
弁護士の中には、モラハラ案件を多く担当している人もいます。そういった弁護士であれば、調停委員に分かってもらえる説明のしかたも熟知してします。
また、モラハラを専門としている弁護士は、モラハラに理解があり、被害者を傷つける言葉を言ったりしないということも大きなメリットです。モラハラに理解のない弁護士から、「あなたが悪い」ようなことを言われ、守ってくれる立場の人からさらに傷つけられることがあってはいけません。
弁護士は、一緒に戦ってくれる人でなくてはいけません。その弁護士からさらに傷つけられ戦闘不能になってしまわないために、モラハラ専門の弁護士を選ぶ必要があります。
5.弁護士費用も比較しましょう
弁護士に払う金額は、あらかじめ何にいくらかかるのかを聞いておきましょう。例えば、依頼をするときには着手金と言うお金を払う必要がありますが、安いところだと10万円~ですが、高いところでは40万以上かかるところもあり、金額にはかなり幅があります。弁護士の報酬額と言うのは、2004年4月から自由に弁護士自身が決めていいことになっているからです。
もちろん、金額だけでいい弁護士かどうかは判断できませんが、高いお金を払ったからと言って望む結果になるわけではありません。
弁護士への依頼は決して安い買い物ではありません。同じ結末になったとしてもより多くのお金を支払わなくてはいけなくなる場合もあります。相談時には、あらかじめ何にいくらをかかるのかを聞いて把握しておきましょう。
相談のときの雰囲気や、金額を総合して判断しましょう。
6.法テラスの利用ができるかどうかを確認しよう
法テラスと言う名前を聞いたことがある人も多いかと思いますが、法テラスを利用すると、弁護士費用が安くなる、初回の相談料が無料になる、弁護士費用を立て替えてくれ分割払いができると言った金銭的に大きなメリットがあります。(所得制限など条件有)
法テラスが利用できるかどうかは、弁護士事務所によって違います。相談時に利用できるかどうかを確認しておきましょう。
法テラスから弁護士を紹介してもらうこともできます。
まとめ
弁護士は、いわゆる「先生」と呼ばれる職業ですが、必ずしも「先生」と言う職業についている人が正しい行いをするわけではありません。
「弁護士」という肩書だから安心だと安易に決めるのではなく、自分の目で自分の納得できる相手を選びましょう。
特に、離婚までは二人三脚で弁護士と闘っていかなくてはいけません。
弁護士と自分が違う方向を向いていたら二人三脚でゴールをすることはできませんよね。足がもつれて転倒…なんてことも起こりうるかもしれません。しかし、離婚問題は一度きり。「こんな結末になるなんて…」という後悔だけはしてほしくありません。
自分の目指す場所に一緒についてきてくれる先生が見つかることを祈っています。
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