モラハラ夫を訴えるときの注意点!自己愛憤怒の危険性を知ろう!

モラハラ夫を訴えるときの注意点!自己愛憤怒の危険性を知ろう!

離婚や別居などでモラハラ夫と離れたり、縁を切ろうとしたりするときに気をつけなければいけないことがあります。

モラハラ=自己愛性パーソナリティ障害の怒りは時に、思いもよらぬ結果をもたらすことがあります。

そのことで誰かが傷ついたり取り返しのつかないことになってしまってはいけません。

モラハラ夫の強い怒りとその注意点をまとめました。

目次

自己愛性パーソナリティ障害特有の怒りとは?

自己愛性パーソナリティ障害の人は、いきなり怒りレベルがMAXになるような「激しい怒り」を表現します。

これは「自己愛憤怒(じこあいふんぬ)」と呼ばれる、自己愛性パーソナリティ障害の人の特有の怒り方です。自己愛性パーソナリティ障害について研究をしていた精神分析学者コフートが1972年に提唱しました。

自己愛憤怒ってどんな怒り方?

自己愛憤怒とは、1970年代に精神分析学者のハインツ・コフートが最初に使用しました。

自己愛的怒りは、無関心から比較的軽度のいらだちおよび当惑という例から、暴力的攻撃を含む激しい感情爆発に至るまでの連続体上に生じる。

自己中心的な人間には、他者を気にし過ぎるあまり攻撃的になる自己愛者と、他者の評価が本当にまったく気にならないので自分の欲望を他人に押し付けることが出来るサイコパスの2つのタイプがある。自己愛憤怒は、前者が持つ怒り。自己愛者は、主観的評価よりも少しでも低い評価や冷遇を他者から受けた途端に怒りを爆発させ、攻撃行動へ結びつく

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%87%AA%E5%B7%B1%E6%84%9B%E6%86%A4%E6%80%92

つまり、自己愛憤怒は、「誰かから不当な評価を受けた」ときや「誰かから差別、批判、侮辱された」と本人が感じたときに爆発的な怒りを表現することを指します。

モラハラ加害者と接したことがある人は、些細なことで爆発的に怒り出すメカニズムをよくご存じではないかと思います。

例えば次のような時に発動すると考えられます。

  • 自分の話に注目されなかった時
  • 自分が期待したほどの反応を他人からもらえなかった時
  • 自分がしたことに対して十分な感謝をしてもらっていないと感じた時
  • 自分の思い通りにならなかったとき
  • コントロール不全感や恥を思い起こさせる出来事があった時
  • 自分の理想化されたイメージが損なわれた時

そして、この爆発的な怒りは、他者が正当な理由で主張していることに対しても、本人が攻撃されたと感じたら瞬間的に発動するということです。

私の体験談

元夫が、会社で別の部署から頼まれごとをされた時に、正しい手順通りにやらず決められたルールを破ったことがあったそうです。この時に頼みごとをした相手からは感謝をされましたが、ルールを守らなかったことについて上司から厳しく注意を受けました。

元夫は帰ってから「相手のためを思ってやってあげたのに、注意を受けるなら(その部署の仕事は)もう二度と手伝わない!」と怒りを爆発させていました。

たとえば、別居や離婚などで「正当な理由がありそれを希望したとしても」、モラハラ夫自身がそのことを認められなければ「不当に批判されている」と受け取り、自己愛憤怒につながることは十分に考えられます。

そして、この怒りが激しくなると、他害や自殺と言った自暴自棄的な行動につながる可能性があるのです。

自己愛憤怒は、強烈な怒りに加え、復讐感情が伴います。

自己愛憤怒の例

自己愛憤怒は、怒った出来事に対して似つかわしくない大きな怒りを表出する特徴があります。

たとえば、

  • 夕食に並べられた皿に少し汚れがついていたことに腹を立て、家中の皿を割る
  • 返事が聞こえなかったという理由で、一晩中説教をする
  • 会社で嫌なことがあったあと、家に帰って妻や子どもに当たり散らす、暴れる

といったことです。

自己愛憤怒の3つの特徴

自己愛憤怒は、普通の怒りとは異なる怒りとして、主に3つの特徴があると考えられています。

1.怒りと敵意

自己愛憤怒は、広範囲に及ぶ、強烈で激しく、方向性の定まらない怒りによって定義されます。

些細な出来事に対して似つかわしくないほど大きい怒りが特徴で、制御不能であるとされています。(M. Lewis ,1992)

2.恥と劣等感

自己愛憤怒は恥と劣等感により悪化すると考えられています。

劣等感による痛みは非常に深刻であるため、しばしば意識的に認識されなかったり、誤認されたりして、漠然とした抑うつや恥をかかされた他者への怒りに変化することがあります。さらに恥をかかされた他者への怒りは、恥に基づく苦痛を忘れるため、苦痛の責任を自分ではなく他者に転嫁します

恥への怒りは、長引くと慢性的な怒り反応につながり、恥や劣等感をさらに悪化させ、それがさらに怒りを煽り、最終的には「恥-怒りスパイラル」に陥ると考えられています。(H. B. Lewis, 1971)

3.反応的でずれた攻撃性

攻撃行動は「積極的」ではなく「反応的」であると考えられています。

攻撃性は怒りが原動力になり、より自発的で、他者を傷つけることが狙いです。さらに、怒りの反芻は自制心を弱める可能性があり、傷ついたナルシストの攻撃性は予測不可能であることを示唆しています。 (Denson, Pedersen, Friese, Hahm, & Roberts, 2011)

自己愛の強い人への「無視」が自己愛憤怒に繋がる可能性がある

自己愛性パーソナリティ障害の人は、自分は特別な人間であると思っており、他人から賞賛されること、注目されることを常に求めています。そのため、他人から思うような反応が得られないと「(賞賛されるべきなのに)他人から不当な低い評価を受けている」と思い込んで被害者的になり、自己愛を爆発させて自己愛憤怒に繋がる可能性が考えられます。

無視の場合も同様で、「自分は注目されない」という現実を目の当たりにすることで自己愛がひどく傷き、余計に感情を爆発させてしまうかもしれません。

別居や離婚では、モラハラ夫の強い怒りを招くことも

モラハラ夫が納得できない別居や離婚の場合、パートナーが自分から離れていく現実を直視できず、

「誰かの策略でパートナーと別れさせられる」
「自分は不当な扱いを受けている」
「自分は被害者だ」

という意識が高まり、爆発的な怒りをもたらす場合があります。

そして、その結果、他害や自傷、自殺と言った攻撃手段を取ることもあります。(事件につながる危険性もあります。)

モラハラ夫との決別の過程には、こういった危険があることをよく覚えておき、前もって身を守る手立てを講じておく必要があります。行政に相談し、シェルターなどを利用したほうがいい場合もあります。

自己愛憤怒の怒りのその後

この時に被害者が彼らの元に戻った場合は、

コロッと態度が変わり、「分かればいいんだ」「あなたは私の理解者だと信じている」「これからも仲良くやっていこう」などと言って、ターゲットを懐柔しようとします

⇒この時にターゲットが「許してもらえた」、「話せば分かりあえる」と思ってしまうといつまでたってもこの不健康な関係から抜け出せなくなってしまいます。彼らの目的はあくまでもターゲットの支配とコントロールであり、分かり合えることはありません

一方で、最初は懐柔しようとした相手にその手法が使えないと分かると「復讐」のパターンに切り替わり、しつこく粘着されることもあります。

普通の人には考えられないくらい何度も何度も嫌がらせが続きます。ターゲットが離れたとしても執拗に追いかけることもあります。目的はターゲットの破滅です。

自己愛憤怒に対する配慮・解決策とは?

すぐに離れる、警察を呼ぶ

海外のサイトで推奨されている自己愛憤怒への対策は、「すぐに離れてください」「警察を呼んでください」といったもので、これらの怒りがいかに危険であるかを物語っています。

復讐感情により誹謗中傷、財産や大切なものの破壊、精神的暴力・身体的暴力などのあらゆる暴力、命のやり取りに発展する危険性があります。

自己愛性パーソナリティ障害について学べば、関係を続けることのメリットがリスクを決して上回ることがないことが分かると言われています。自己愛性パーソナリティ障害についての正しい知識を得ること、そして彼らから離れるための計画を立ててください。

出来れば相手から離れていってもらうのが望ましい

家族が離れていく過程で、この自己愛憤怒により思わぬ事態を招くことも想定されます。

もし、相手が自分から離れていこうとするのであれば、これはまたとないチャンスだと思い、流れに乗ってうまく縁を切る方向に舵を切りましょう。

相手が自ら離れていくときは、次のターゲットや依存先がいることが多く、その場合は離れた後の復讐や攻撃が減る可能性があります。

脅したり挑発することは逆効果

いくら正しいことを言っていたとしても、モラハラ夫はそれを「真実」だと受け取ることができない場合があります。そのことを分かった上で、相手を追い詰めすぎないように配慮することも必要です。

他害で誰かを傷つける結果になってはいけませんし、本人が傷つき、入院などをすることになれば話し合いも延期し、結論を出すまでに長い期間がかかることになります。

誰かの命にかかわる問題に発展することも、被害者は望んでいないはずです。

自己愛性パーソナリティ障害の著名人
  • 三島由紀夫…演説後に自死。幼少期は祖母から溺愛され、過干渉・過保護な教育下で育つ。
  • 太宰治…自殺未遂を繰り返し、5回目で自死。父は多忙、母は病弱のため、乳母に育てられる。

自己愛憤怒は、攻撃的な行動や口調によっても引き起こされることが分かっています。

たとえば、「あなたのやっていることをみんなに言いふらす」と面と向かって言うようなことは逆効果になる可能性があります。

モラハラ加害者が社会から孤立することになると、何もかもを失ったことで自暴自棄になり、突発的な行動を起こしてしまう危険性が高まります。またそういった行動を阻止しようとひどい暴力をふるう可能性が高まります。

離れた後は連絡先を断つ、住所などを相手に分からないようにする

離れることができたとしても、自己愛に問題を抱えている人は、また元の依存先に戻ろうと連絡を取ってくる可能性があります。

こちらからは完全に連絡を取らないこと、会わないことを徹底する必要があります。

また、向こうからもこちらと連絡を取ることができないように連絡先を変える、住所を変える、住所は秘匿にするなど対策が必要です。

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