モラハラ被害者の方に絶対に言ってほしくはない言葉があります。
それは、「その相手を選んだのはあなたでしょう?」「結婚する前に分からなかったの?」といった責任を被害者に求める言葉です。
モラハラ被害の話を聞いていると、なぜ結婚相手に選んだのか、結婚前に分かりそうなものなのに、という疑問を抱く人も少なからずいると思います。
しかし、私自身分かりませんでした。なぜなら、結婚前と後で「人が入れ替わったのか」というぐらいの劇的変化が起こったからです。
1.なぜモラハラ男と結婚してしまうのか?結婚前には分からないモラハラ男の生態
モラハラの怖いところはある機会を境に豹変し、豹変前には全くそのそぶりが分からないというところです。
モラハラ男の生態①被害者が逃げられないと思ったタイミングである日突然、豹変する
結婚や出産、退職など、被害者がもう逃げられないなという状況になったときに、モラハラ加害者は見計らったように豹変します。
それもそのはずです。モラハラ加害者は、コントロールをできると思った相手を配偶者に選び、モラハラを行うために結婚をするのです。そのため、結婚前に配偶者に逃げられては意味がありません。
肉食獣が狩りをするときと同じように、息をひそめてそーっと近づき、仕留められるほどの距離になってから牙をむいて襲い掛かります。
それまでは全く存在しなかった「モラハラ」がある日、突然、始まるのです。
私自身も、婚約を済ませた後に、今まで声を荒げることをしなかった夫が突然、怒鳴りだすようになりました。お付き合いをしている期間は約2年。夫は、それまで一度も声を荒げたことはありませんでした。
モラハラ男の生態②豹変前と後の差が大きい
「釣った魚に餌をやらない」という言葉がありますが、誰しもお付き合いをする前や結婚する前は相手にいいところのみを見せたくて悪い部分は隠しているものです。しかし、モラハラ加害者はそのふり幅がとても大きく、今までと全く真逆の人物になってしまったかのような変貌を遂げるのです。
ある日突然、モラハラが始まり、人格を否定されたり、罵られたりし始めました。それまでお付き合いしていて、よく知っている人がまさか、と全く想像がつかないことでした。
2.モラハラ男がターゲットにする被害者像とは?
配偶者はモラハラのできるターゲットとして選ばれた存在である
モラハラ加害者はモラハラをできる相手を配偶者に選びます。
つまりモラハラ加害者と結婚をした時点で、あなたは、モラハラ加害者に「この人(被害者)にはモラハラができる」と思われており、すでにターゲットとして選ばれているので、被害者の行動にかかわらず必ずモラハラは始まります。
では、どういった人がターゲットとして選ばれやすいのでしょうか。
モラハラ被害者の特徴①平和を好む
モラハラ被害者は、基本的に平和主義で、争いごとを避ける傾向にあります。
争わないように自身の気持ちや相手との違いを外に発信せず、積極的に反論することがありません。誰に対しても、肯定的にとらえ、広く許容することが可能な性格です。
「平和を好む」というのは相手の要求におとなしく従う、ということだけではなく、「私は私、相手は相手」と自身の価値観と他人の価値観の両立を認め、様々な価値観を許容できるという懐の広さを持ち合わせている場合も指します。
そのため、争いに発展することなく物事を収めることを得意としています。
社会的に見れば利点ともいえる性格ですが、モラハラ加害者は「良心」を食い物にする生き物ですので、相手が言い返さなければ、それを有利と見なしさらに攻撃を加えてきます。
平和主義は、モラハラ加害者相手にはマイナスに作用することになります。
また、モラハラ加害者は、被害者との支配関係を強固にするため、被害者の持っている社会的立場やコミュニティ、金銭、私物などを奪ってきます。
被害者は、平和的解決のために相手の怒りを収めようと、加害者の要求をのんでしまいやすい傾向にあります。
逃げ出す道がどんどんと断たれ、密室のモラハラにつながっていきます。
モラハラ被害者の特徴②我慢強い
モラハラ被害者の多くは、我慢強く、モラハラ加害者がモラハラを行ってきても、私さえ我慢していれば改善すると思ってどこまでも我慢をし続けてしまいます。また、その結果、周りにもモラハラを受けていることを相談せず、モラハラ被害を一人で抱え込みやすいという傾向にあります。
周りに相談しないことで、結果的にモラハラを受けていることに被害者本人が気づきにくいという側面もあります。
モラハラは、ある日突然始まりますが、最初は許容できる範囲であることが多く、内容もだんだんとエスカレートしていきます。我慢強い性格の人ほど、エスカレートしてきてもそのまま我慢し続けてしまい、被害が長期化し、心の傷が深くなりやすいです。
モラハラ被害者の特徴③責任感が強い
モラハラ加害者がよく使う言葉に「お前のせいで(モラハラを)しているんだ」というものがあり、モラハラのテンプレート的な言葉です。
必ずモラハラ加害者は自分のやっていることを正当化し、原因はすべて被害者にあると責任転嫁してきます。
モラハラ被害者は自分に非があるなら直そう、何とか解決しようと、要求に従ったり、対話をし続けようと努力します。
モラハラはある日突然始まることで、「自分のせいで相手が変わってしまった。自分さえ努力すればまた元の相手に戻ってくれる」という思いにとらわれやすくなります。
しかし、実際は
モラハラ加害者がモラハラをするのは元々の性格であり、モラハラ被害者には一切の落ち度はありません。
モラハラ被害者はそのことに気づかずに、無駄な努力を続けることになります。
モラハラ被害者が努力を続けることで、モラハラ加害者は被害者を意のままにコントロールできることを喜びます。そして、思い通りになった被害者をさらにコントロールしようとし、支配を強めていくのです。
こうして、残念ながら、被害者の努力はモラハラを加速させる方向に働き、さらなるハラスメントにつながってしまいます。
モラハラ被害者の特徴④経済的立場が弱い(もしくは経済的DVを受けている)
専業主婦で稼ぎがない、小さい子どもがいてすぐに働けない、夫(妻)がすべてのお金を管理しているといった環境にあると、「夫が生活の頼り」だと考え、夫の気分次第で自分たちの暮らしぶりがガラリと変わってしまうことを予測するようになります。
また時には、モラハラ夫から「お前のせいで怒鳴るんだ」「お前が逆らったから生活費はやらない」と言われることで、自分の行動が元になって自分や子どもたちが困窮すると思い込むようになります。
自身の行動や要求が経済的困窮につながると予想され、モラハラ加害者に対して自身の意見を言いにくくなります。
それを理解しているモラハラ加害者は、被害者の立場が弱くなるよう仕事を辞めさせたり、周囲との関係を断つように仕向けます。ここで被害者が、加害者の命令に従ってしまうと、モラハラ加害者はしめたと言わんばかりに、立場の弱くなった被害者にさらにモラハラを強めていきます。
たとえ正社員などで働いていたとしても、キャリアウーマンで稼ぎのいい女性が、夫がすべて家計を管理しているため必要なお金すらもらえないというケースもあるようで、職業などに関わらず家の中での経済的立場が弱い状況が相手に「NO」を言えなくさせます。
モラハラ被害者の特徴⑤相手との関係をよくしようと努力する
モラハラ加害者は自己愛が正常に発育していません。そのため、自分で本来の自分の価値を認めることが難しく、その役割を他人に求めます。
モラハラ被害者の多くは、加害者との関係をよくしようと、相手を怒らせないように努めたり、時には感謝の言葉を述べるといったことを日々行っています。
このような被害者の行動が加害者の自己愛を疑似的に満たしてくれ、それが続く限りは関係も続いていきます。
3.モラハラ被害と決別するためにはモラハラ加害者と決別する他ない
モラハラ加害者は被害者の性格をよく見ており、この人ならコントロールできると思った相手を配偶者に選びます。
それは、最初から対等な関係ではありません。被害者が最初は優しい人だった、お互いに対等な関係であったと思っていたとしても、それは全くの誤解です。加害者はそうは思っていません。
そして上下関係が逆転するということも稀です。
また、モラハラも決してあなたのせいで始まったものでもありません。モラハラを治すことはほとんど不可能です。
モラハラをやめさせる方法はありません。モラハラと決別するためには、物理的に距離をとる別居か、離婚をする他ありません。
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