よく夫は、「これで縁が切れるようなことがあれば、それまでの人間関係だったということだ」と言っていました。ケンカをしたり、相手とうまくいかなくなったときに縁が切れるのは、自分や相手に非があるというよりは、人間関係自体が薄いものであったと考えていたようです。しかし、私はどんな人間関係であろうがお互いが相手を尊重し、関係を続けようという意識がなければ続かないものであると思っています。
すぐ縁が切れる原因は人間関係にある?
夫が言っていた「それまでの関係だったということだ」という言い方には、縁が切れる原因は関係性の方にあると受け取れます。確かに関係性によって、縁の切れやすさ切れにくさはあるでしょう。
では、すぐに縁が切れない人間関係というのはどういったものがあるのでしょうか?
たとえば、親子関係はすぐに縁が切れない人間関係に当てはまります。その他にも、夫婦関係もそうです。戸籍などで繋がっており、連絡先を隠したところで戸籍や住民票などを取得すれば相手の居場所をどこまでも追うことができる関係は特に切ることが難しいと考えられます。それ以外でも、簡単にやめることができない学校(クラスメイト)、職場関係も、ある時期においてはすぐに縁が切れない人間関係であると言えます。
一方、大人になってから引っ越しや電話番号を変更さえすれば簡単に連絡を絶つことができる人間関係もあります。またオンライン上の友人関係等もSNSをやめてしまうなどで簡単に縁が切れてしまいます。
ですが、親子だから縁が切れないということもありませんし、オンライン上の友人でも親密な付き合いが続いているケースもあります。縁が切れるのは関係性にあるのではありません。
どんなに仲が良かった相手でも縁が続かない場合もある
学生時代、毎日一緒にいた友人がいましたが、いまでは疎遠になっています。一方で、幼いころからケンカを繰り返しながら今でも仲良く交流を続けている友人もいます。その違いはやはり、縁が切れそうになったときにもお互いが関係を続ける努力をしたかどうかにあったのではないかと考えています。
別の人間同士、合う合わないで自然と疎遠になっていくケースもあるでしょう。また以前は仲が良かったけれど、お互いの置かれている立場が変わることで話が合わなくなり、以前ほど親密なお付き合いをしなくなる場合もあります。もっと会いたい、話したいという気持ちが薄れたために、お互いに連絡を取る頻度が低くなったのでしょう。
結局のところ、相手との縁を続けようという気持ちがなくなれば疎遠になるわけです。
よい人間関係に必要なのは、過去の信頼の実績だけではなく今のお互いの努力
家族や夫婦など簡単に縁が切れない相手であってもやはり同じように縁を続けようとする努力が必要となってきます。
親子、夫婦、親友との関係では、その地位にいるからと言って相手に何を言っても何をしても許してもらえわけではありません。
人間関係はどこかある時点で確固たる関係を築くことができるわけではなく、いつどの時点においても関係を継続するための努力が必要であると私は考えます。その努力を怠ってしまえば、どんな相手であったとしても縁が切れてしまうことになるでしょう。
「親しき中にも礼儀あり」という言葉にもあるようにいくら過去に仲の良い関係性であったとしても、継続して相手のことを尊重しなくては長続きはしていかないのです。
仲が良い相手には気の許した発言をすることも許されるでしょうが、ひどい言葉を投げかけていいわけではありませんし、喧嘩をしたときに相手に謝罪をしたり、再度仲のいい関係に戻るための努力をしなくていいわけではありません。
親が子を罵倒すること、夫婦であるからと言ってパートナーをけなすことはやってはいけないことです。
縁を切られる結果になったのは、元々の関係が薄いからではありません。相手をひどく怒らせる言ってはいけないことをいった可能性がありますし、そのあとも謝罪や関係性を維持するための努力を怠ったためでしょう。
縁が切れる原因が関係性にあると考えている場合、モラハラにつながる恐れがある
夫のように、縁が切れる原因を自分の行動ではなく関係性にあるのだと考える人はモラハラをする可能性があります。
なかなか縁が切れない相手だからと言って、自分の所有物のように考えたり、どんな言葉を吐いてもそばにいてくれると勘違いをしてはいけません。また、縁が切れるきっかけがあったのにもかかわらず、関係性の薄さに責任転嫁してしまえば、自分の行動を省みる機会も失われてしまうでしょう。
結婚さえすれば、一生夫婦でいられるわけではありません。結婚して夫婦になった後も、お互いを尊重する気持ちを持ち続けなければいずれは破綻してしまいます。特に夫婦のように長い時間一緒に過ごす相手であればあるほど、友人関係よりももっともっと大きな努力が求められるでしょう。
義両親からは、「嫁に来たのだから黙ってこちらのやり方に従え」と言われました。今でも強い怒りを感じる言葉です。嫁に迎えさえすれば、何を言ってもいい、何を要求してもいいと考えていなければこういった発言はできないものです。
「釣った魚に餌をやらない」という言葉がありますが、何も頻繁に贈り物をしなくてはいけないわけではありません。1人の人間を自分のものであると誤解してしまい、相手を尊重する意識を忘れてしまうことが何よりも問題です。
まとめ
縁が切れる原因は相手を尊重し、関係を続ける努力を怠っているからです。
そして、その意識は双方に求められます。
私は、大切な人たちとこれからも関係を続けていきたいと考えています。そのためには自分の努力も必要ですし、相手も私との関係を続けようとしてくれることを分かっています。
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