モラハラの主な原因は「幼少期の生育環境」であると言われています。多くの場合、親からの不適切な育て方や愛情不足が原因でモラハラ加害者となり、親から子へ、子から孫へと継承される確率も高いことが知られています。
もし、あなたが今モラハラ夫に苦しめられているのであれば、考えてほしいことがあります。
それは将来、あなたの子どもがモラハラ加害者になる可能性があるということです。
モラハラ加害者は、親から子へと継承されていくため、あなたがモラハラをしていなかったとしても、子どもは自然とモラハラを身につけ、将来加害者となる可能性は十分に考えられます。
モラハラ加害者は、多くの場合は人から縁を切られ孤立していくと言われています。我が子が悲しい人生を送らないためにも、子どもをモラハラ加害者にしないように気をつけなくてはいけません。
それでは、モラハラ加害者になってしまう原因と、それを防ぐためにやらなくてはいけないことをまとめました。
1.モラハラ家庭で育った子どもはモラハラが当たり前
子どもが生まれると、母親がいて父親がいて、そして自分、子ども本人がいます。一般的には、家族と言うのは3人以上の人が存在する「集団」です。子どもは家庭内でいろんなパターンの人間関係を学んでいきます。
つまり「家族」と言うのはもっとも最小限の「社会」、言い換えてみれば「社会の縮図」です。
子どもは、生まれてきた家庭での人間関係を、社会に出た際も、自分と社会とのかかわりに適用します。
もし、生まれた家庭でモラハラ行為が行われていた場合、子どもはモラハラを一般的な社会でも通用するものだと思いこみます。加害者の多くは、家庭内で行われていたモラハラを「普通のことだ」と認識していたと言われています。
社会に出てからも、それが「おかしなこと」「やってはいけないこと」だと学ぶ機会がなければ、コミュニケーション手段として普通にモラハラをしてしまうのです。
2.家庭内の上下関係で対等な立場を学ばずに育つ
母親の立場がもっとも低い、父親の立場がもっとも低い、兄弟間でランクがあるなどいびつな家族間の上下関係があると、モラハラにつながると考えられます。
多くのモラハラ家庭では、夫婦間、親子間、兄弟間で上下関係があります。
たとえば、父親が母親に対してモラハラをする。その被害者である母親は、子どもに対してモラハラをする。上の子どもが下の子どもに対してモラハラをする、という関係性です。
家庭内では、相手によって「加害者側」に立ったり、「被害者側」に立ったりします。
さらには、親から兄弟間で差別を受けることもあります。
長男だけが特別扱いをされ、長女はけなされたり、家事を強制させられたりする。名指しで「あんたのことが嫌い」と言われたり、「お前なんか産まなければよかった」と言われる。学業で必要なものであったとしてもお金を出してもらえない。その一方で、長男は溺愛され、何でも好きなものを好きなだけ与えられる、と言ったことです。
このような上下関係では、誰かを踏み台にしてのし上がらなければ生きていけないサバイバルのような状況を生み出します。
家庭内のモラハラ関係は、上のものから下のものへモラハラが行われることが多く、モラハラを受けている一方で、自分より弱いものにモラハラをやるのです。こうして、弱肉強食のようなピラミッド型の人間関係が出来上がります。
上下関係と言うのは非常に不安定です。なぜなら、上と下の関係は、いつ、その関係がひっくり返るのか分かりません。そのため、家庭内にいびつな上下関係があると、子どもは小さいころから、自身の立ち位置が不安定であることを感じ取ります。
2-1.夫婦間に上下関係があり、母親もしくは父親の立場が子どもより低い場合
母親の立場が自分たちより低い、父親の立場が自分たちより低い、と言う場合、それを見ている子どもは、いつ自分がその地位に転落するのかという、不安を感じながら過ごすことになります。
モラハラ親の子どもがモラハラを積極的に行うのは、「母親(父親)のような扱いを受けたくない」と言う思いから始まります。
また、自分がターゲットになっていなくても、モラハラを間近に見ること自体が子どもにとって恐怖です。子どもは無意識のうちに、自分が間違った選択をし、上下関係がひっくり返らないよう気をつけながら行動します。そのため子どもは、モラハラ親にターゲットにされないように、モラハラ親の機嫌を取るのに常に必死になります。
モラハラ親が子どもが非モラハラ親にモラハラ行為をしたら褒めるなどしている場合は、成長過程で誤った学習をし、さらにモラハラを助長することになります。
夫の家庭では、義父の立場が低く、義母が頂点に君臨するような力関係でした。義母はいつも、義父の悪口を言い、それを夫や義姉に「お前たちは、どう思う?」と聞いていました。もちろん、夫はいつも義母に賛同していました。義母に気に入られるため、そして、義父を下げるためです。そうやって義母は、義母>夫(子ども)>義父の上下関係を作り上げていっていったようです。夫は義母の言うことには逆らえない、それは、はた目に見ても明らかでしたが、夫本人はそのことに全く気づいていませんでした。
2-2.兄弟間に上下関係がある場合
兄弟間で扱いに差がある場合、兄弟間で上の立ち位置のものこそ、いつ自分が下に落ちるか分かりません。
そのため、モラハラ加害者になるのは、兄弟間における上下関係では、特権階級である上の立場の人であることが多いと考えられます。
このように同じ親に育てられても、モラハラ加害者となる人とそうでない人ができ上ります。
2-3.下のものを蹴落とすしかない、理由のない上下関係
このような家庭内のいびつな上下関係は、理由がなく成り立っています。
上にいるものは、何か優れている点があるから上にいるわけではなく、下の者の立場が弱いから自分がそれより上にいるのです。もしくは、兄弟間の場合、モラハラ親のお気に入りかどうかです。
どちらも、モラハラ親の采配一つで簡単に揺らいでしまう不安定なもの。
自分が下に落ちないためには、モラハラ親に気に入られるために、モラハラ親と同じことをし、積極的に下のものを下げる他ありません。
3.ダブルスタンダードによる特権階級の存在
3-1.ダブルスタンダードとは?
ダブルスタンダードというのは、ある人はある行為をすると叱られるのに、別の人は同じことをやっても許されるという人によってルールの方が変わることを指します。
やってはいけないこと、ではなく「あなたは良い」「あなたは悪い」と人によって、良い悪いが決定されます。一定のルールがないため、「何をしたら叱られるのか」を判別することができません。また、ダブルスタンダードによって得をする立ち位置の人は、自分を特別な存在だと誤って認識することになります。
モラハラ家庭で頂点に父親が君臨している場合、父親だけが良いものを食べ、他の家族は粗末なものを食べる、父親だけがお金を使ってもよく、母親やその他の家族はろくなものも買えないと言ったことです。
他にも長男は、家事をしなくても良いが、長女は一人で家中の家事をしなくてはいけない。何をしても、長女だけが怒られるという兄弟間でも行われることがあります。
3-2.ダブルスタンダードが危険なワケ
自分は許されるという特権階級的な扱いを受けることで、傲慢で無反省の人間を生み出します。
本当に反省しなくてはいけないときに「あなたは悪くないのよ」とかばわれることは、子どもの心を癒してあげることはなく、「弱いものに責任を押し付けてもいい」「俺は何をしても許される存在だ」と認識していくことになるだけです。
また悪くない人間が叱られ、責任を取らされることに快楽を感じるようになり、大人になってからも自己防衛のためではなく「楽しみ」や「ゲーム感覚」でモラハラを繰り返すようになります。ここまで自己が歪んでしまうと、治すことはほとんど不可能です。
4.子どもにモラハラが現れている?こんな様子をチェック!
4-1.子どもが家庭内で恐怖を感じている 親に怯えている様子がある
明確な理由や基準のない上下関係の結果生むのは、防ぎようがない「差別」です。
幼い子どもは、それを心のどこかではおかしいと感じながらも、どうしようもできない力関係を目の当たりにし、強い恐怖を抱きながら成長します。
恐怖に支配されている子どもは、生きていくために、モラハラを身につけるしかなくなります。
婚姻時、私が夫から怒鳴られた時に子どもに言われた言葉が今も忘れられません。
泣いている私を見て、「お母さん、お父さんに怒鳴られた。〇〇(子どもの名前)は怒鳴られなかったもんね~。」といったものでした。
おそらく、この時子どもは怒鳴られた母親を見て恐怖を感じていたのだと思います。それと同時に怒鳴られなかった自分は安心できる立ち位置であることをしきりに自分に言い聞かせるように言っていました。そうでないと不安でしょうがなかったのだと思います。
離婚した今では、私が落ち込んでいるときには「お母さん、よしよし、大丈夫?」とやさしく声をかけてくれる子になりました。あのままの環境で生活していたら、子どもはどうなってしまったのかと別の未来を想像するときもあります。
このような上下関係のある家庭で育つ場合が一番モラハラを生みやすい理由は、子どもにとってモラハラをやらないという選択肢がないからです。子どもが親に対して強い恐怖を抱いていればいるほど、生き延びるためにモラハラを選択せざるを得なくなります。
彼らが支配階級にあこがれを抱く理由の一つは、「恐怖心から逃れるため」ではないかと私は考えています。
4-2.子どもにすでにモラハラの兆候がある 注意すれば直る?
非モラハラ親が子どもの加害行動を注意しても、なかなか治らない背景には「恐怖」があるためです。子どもにとってはモラハラは自分を守る手段であり、生き残りをかけたサバイバルな環境ではその手段を手放すことは「死」と同様の意味を持ちます。
モラハラ親への「恐怖」を無くす環境を用意することが、子どもの加害行動を収めるのに必要です。
被害者であった子どもは、成長と共に加害者になり、モラハラが連鎖していく可能性は低くはありません。
4-3.モラハラ夫は子どもには優しいから大丈夫は本当?
家庭内で被害者が妻もしくは夫のみである場合もあります。子どもには暴言を吐かないから大丈夫だ、果たして本当にそうでしょうか?
こちらの記事に、面前DVにおける子どもの脳への被害をまとめています。
目の前で見せられる暴言はたとえ自分が被害に遭っていなかったとしても子どもへの重大な悪影響があることが分かっています。そしてそれは、暴力を見せられるよりも何倍も深刻なのです。
さらには、子どもが幼いうちは親の言うことをよく聞いてモラハラ親のお気に入りだったとしても、大きくなって自分の意見を持つようになったり、年頃になって反抗期を迎えたりすると、今まではターゲットになっていなかった子どもに被害が及ぶ可能性は非常に高いと言えます。
モラハラ親にとって子どもは自分のアクセサリーのようなものです。自分にとって都合のいい存在であれば寵愛しますが、反対に自分に反抗するようになった子どもへは何としてでもコントロールしようとモラハラをするようになるのです。
5.次の世代にモラハラを生まないためには?
5-1.子どもにモラハラを見せない モラハラを遠ざける
子どもがモラハラ被害に遭っていなかったとしても、子どもの目の前で暴言を言われる、モラハラを受けることは「必ず子どもに深刻な悪影響を及ぼす」ことを覚えておかなくてはいけません。
そのためには、子どもの盾になるだけではなく、自分自身のふるまいにも気をつけなくてはいけません。
夫がモラハラをし始めたときには、別室にいく、外に出るなどして子どもにモラハラを見せないようにすることです。そして、夫に従う従順な妻の図は、子どもに誤った夫婦関係を見せることに繋がることを覚えておく必要があります。
5-2.モラハラ夫に従順にならない
子どもに上下関係を見せないようにしましょう。自分の地位を下げないこと、モラハラに決して屈しないこと。あなたがモラハラに感じる恐怖は、そのまま子どもが感じる恐怖になります。しかし、モラハラ加害者はあなたの自尊心を傷つける行為を繰り返しますので、自尊心を保ちながら戦うのは、非常に難しいと考えられます。
5-3.子どものモラハラ行為は、環境を変えなくては直らない!
子どもに加害行動が現れてしまったら、子どもを連れた別居、もしくは離婚をオススメします。
もし、子どもが家庭内で恐怖を感じているとしたら、早めに対処することが必要です。
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