「無視」も立派なモラハラ行為の1つです。モラハラ夫からの無視は、ある日突然、妻に全く非がないのにもかかわらず始まることがあります。理由を聞いても「無視」されるか、「そんなことも分からないのか!」「自分の胸に聞いてみろ!」と言われるだけで打開策はありません。
それもあるときに突然、モラハラ夫の機嫌次第でいつも通りに戻るんです。
このとき無視が止んだことにホッとするかもしれません。しかし、こう言ったことが繰り返されるうちに、またいつ長期間にわたる無視が始まるのか、機嫌が悪くならないか、モラハラ夫の顔色を見ながら過ごすようになります。
この無視の期間に妻側が対策を間違ってしまうと、何度でも無視が始まります。
モラハラ夫から無視をされた時にやってはいけないことと、対策法をまとめました。
モラハラ夫の無視の特徴
モラハラ夫の無視には、夫婦喧嘩の末に無視をしてしまうのとは異なる特徴があります。
- 妻に思い当たる原因が全くない
- 喧嘩がないのに無視が始まった
- あまりにも期間が長すぎる(長期間にわたる無視)
モラハラの無視は、長いものだと2,3カ月~数年に及ぶものもあります。
モラハラの無視の期間は?
これは私の体験談なのですが、モラハラの無視の期間は、モラハラの無視を受けるたびに無視の期間が伸びる傾向にあるということです。
たとえば、1回目に無視をされた時は丸1日の無視だったのが、2回目の時には、2~3日になり、3回目には一週間になるといったことです。
どんなモラハラも基本的にエスカレートしていきますが、無視についても例外ではありません。
なので、前回の無視が1週間程度だったからと言って今回も同じだとは限らず、いつ無視が終わるか分からない怖さもあります。
何のためにモラハラ夫は長期間の無視をするの?
妻に言うことを聞かせたい
モラハラ夫は、自分と妻が同等の立場であると思っていません。稼いでいる自分が偉い、家長である自分が偉い、妻や家族が自分の言うことを聞くのが当然であると思っています。対等に話し合いをしたり、自分の気持ちや理由を分かってもらおうと言葉を尽くしたりすることはありません。妻が言うことを聞くまで無視をし続け、妻が折れるのを待っています。
トラブル解決を放棄し、問題が解決するのをただ待っている
問題解決能力のないモラハラ夫は、自分がそのトラブルに巻き込まれたり、その責任を問われることを回避するために、問題が解決するのをただ待っていることがあります。
たとえそれが自分がやらかしたことだったとしても、誰かの怒りが収まったり、誰かが代わりにそのトラブルを解決してくれるのを黙って待っている様子が、傍からは「無視」のように目に映ります。
妻が罪悪感を感じるように仕向けている
たとえば、モラハラ夫に「○○日は友人と出かけてくるから」とか「○○日は実家に帰るから」といった妻だけの予定を伝えた後に無視が始まったケースでは、妻が自分の予定を入れることや、夫をないがしろにしたことなどに対して、妻が罪悪感を感じるように仕向けている可能性があります。
モラハラ夫はこういった非言語コミュニケーションにより、自分は一言も発せず、不機嫌を妻に察してもらって妻を意図的にコントロールします。
モラハラ夫は、妻が予定をキャンセルしたり、次から予定を入れなくなると満足し、無視が止む場合があります。
妻の価値を値引いている
モラハラ夫の無視は被害者である妻にも理由が分からないことがあります。
中には、昨晩寝る時までは普通に過ごしていたのにもかかわらずある朝起きたらすでに無視が始まっていた、原因を聞いてもモラハラ夫が無視をし続けていてわからない。
こういったときのモラハラ夫の無視の原因は、無視をする相手である妻には全くありません。
モラハラ夫は自分自身の自尊心を傷つける出来事があった時に、自分の傷を回復するために、「別の誰かの価値を下げる」ことを行います。そして、たいていその傷を回復したいときに側にいるのは家族である妻です。そのため、妻に何の非がなくても価値の切り下げが行われます。
被害妄想によるもの
妻が誰かと浮気をしている、とか、美容院に行くのは男がいるからだ、というモラハラ夫の被害妄想が原因である場合もあります。
幼少期の不適切な養育により基本的信頼感が育っていないモラハラ夫の場合は、深い付き合いをする相手との安定した人間関係を築くことが困難です。
無視を受けた被害者はどうなる?
無視も立派な暴力です。無視を受けたことにより被害者は精神的なダメージを負い、自己否定的になるなど明らかに影響が出ます。
必要なお金などがもらえない
妻が夫とお金のやり取りをしなければならない立場であるときにされる無視は、精神的なダメージに加え、必要なお金がもらえないなどの経済的なダメージもあります。
子どもに必要なお金すら無視をし、「あなたのせいで子どもも不利益を受けている」と罪悪感を抱かせるように仕向けることもあります。
経済的に困窮するため、被害者はモラハラ夫からの無視をより恐れるようになります。
自信がなくなる、自己否定に陥る
無視とは、「あなたの存在価値を認めない」という態度です。それが長期間続くというのは虐待に当たります。
無視を受け続けることによって、自分でも価値のない人間だと思ったり、本当は悪くないのに「自分のせいでこうなった」と自己否定に陥ることがあります。
また、何をしても相手の無視をやめさせることができないと、大きな無力感を味わいます。
心身の病に繋がる可能性もある
無視をされた被害者は、「辛い」「悲しい」「どうすることもできない」と言ったネガティブな感情が沸き起こるだけでなく、慢性的な痛みに悩まされたり、うつ病になったり、自殺念慮が出ることもあります。
子どもも被害者になる
長期間の無視がある家庭では、子どもは家庭内で居心地の悪さを常に感じています。子どもにとって家庭は安心できる場所ではなくなります。
何とか両親を仲直りさせようとしたり、両親のどちらかに味方に付いたり、できるだけ争いから距離を置こうとしてどちらの親とも不仲になるなど、子どもたちも紛争に巻き込まれます。
モラハラ夫からの無視でやってはいけないこと!
1.自分に非が無いことを「ごめんなさい」と謝ること
無視をされた時にやってはいけないことは、妻側に原因がないのに「ごめんなさい」と謝罪することです。
もし妻が謝ってしまえば、「自分に非があるということを認めたじゃないか!」と言い、被害妄想によりねつ造していた浮気などがさも事実であったかのようにモラハラ夫の中で記憶の書き換えが行われる可能性があります。
本当は妻は何も悪くはないのに謝ったという事実から「妻が悪いことをしたから無視している」という思い込みを強めていきます。謝れば終わりではなく、今度はここから怒涛の追及が始まってしまうことになりかねません。
無いものを証明することはできないので、火がないところに立ってしまった怒りの燃料を鎮めることができなくなります。
絶対に、自分に非がないのにもかかわらずモラハラ夫に謝罪をするのはやめましょう!
2.無視をされたことで、泣いたり怒ったりする
無視をされて辛いことを相手にわかってほしいと、泣いたり怒ったりすることも残念ながら逆効果になります。
泣いたり、怒ったりする姿は、モラハラ夫の無視が妻に効果的であった紛れもない証明になってしまいます。
自分の機嫌が悪いことが、妻に影響を与えると分かると何度でも「無視」を利用してくるでしょう。
そして、妻が悲しんでいたり怒っていたりする姿を見て、自分の行動1つで妻がこんなに感情を揺さぶられることに喜び、支配欲を満たすことになるのです。
泣いたり怒ったりする反応は、モラハラ夫の無視をエスカレートさせるので気をつけましょう!
3.モラハラ夫と話し合おうとする
モラハラ夫に「どうして無視をするの?」「何か言いたいことがあるなら言葉で言って」と伝えたところで意味がありません。もし、最初から話し合う気があったり、お互いにとって気持ちいい関係を続けたいと思っているのであれば、「無視」などしないはずだからです。
無視をするということは、「話し合うことを放棄した」気持ちの表われです。
モラハラ夫にやめるように話し合いの場を設けることはやめましょう。
無視が終わるかどうかはモラハラ夫の機嫌によるところが大きく、妻からのどんな働きかけも無意味です。
4.無視し返すことは効果がある?
無視をされている状態なので意思の疎通を図ることも難しい状態ですよね。
無視をし返すと言っても無視をされている状態では必然的に話しかけることも難しくなり、お互いが「話さない」状況になることが一般的だと思います。
しかし、モラハラ夫は自分が無視しているのにもかかわらず「妻から無視をしてきている」と嘘を言うことがあります。モラハラ夫は「NO」と言われることにとても敏感で、相手からの批判・反論、反抗的態度を許しません。モラハラ夫の中では長期間の無視ですら「正当な理由による」ものだと思っています。
そこで、必要な連絡事項についてはモラハラ夫に伝えないのではなく、間接的に伝わる形を取るのがいいでしょう。
たとえば冷蔵庫に予定を貼っておく、カレンダーに予定を記入をしておくなど、相手とコミュニケーションを図らずに連絡事項を伝えられる方が、妻にとっての精神衛生上も良いと思います。きちんと予定を伝えたという証拠が残るメリットもあります。
モラハラ夫の無視が始まった時にやるべきこと!
1.いつも通りの日常を送る
最も手っ取り早い方法は、無視をしてきたとしても反応をしないことです。
モラハラ夫が無視をし始めたとしても、妻側はそれによって「モラハラ夫の機嫌を取ったり」「悲しんだり」しないで、いつも通りの生活を送ってください。
モラハラ夫の無視で、妻や家族は何の影響も受けないし、行動も変わらないということを夫に見せるのです。
自分1人だけがプリプリとして、つまらない人生を送っていることに気が付かせてあげてください。
モラハラ夫の「無視」が、妻や家族をコントロールする力もなく、ましてや自分に不利益があると分からせることが必要です。
2.誰かに相談する・同じような体験談を読んで共感する
モラハラ夫の無視は、1日、2日と言う短いスパンだけではなく、時には数カ月にも及ぶことがあります。この間ずっと、「いつも通りの自分」を演じ続けるのは大変なことです。
気持ちが落ち込んだり、辛いと思ったときには、それをモラハラ夫に伝えて改善してもらうのではなく、親や友人といった周囲に相談をしてください。
また、相談だけではなく、同じようなモラハラ夫からの仕打ちに苦しんでいる人たちの体験談を読むことも自分の回復につながります。
誰かに辛い気持ちを共感してもらうこと、誰かのつらい気持ちを共感することは、無視を含めたモラハラ被害のダメージを減らすことに役立ちます。
また金銭的なダメージがある無視である場合は、早めにDV相談などを利用しましょう。
3.仕事や趣味、勉強に打ち込む
モラハラ夫の仕打ちで「辛い」「悲しい」と思っている間は、モラハラ夫のことで頭がいっぱいになっているということです。
ひどいことをしてくるモラハラ夫のためにあなたの貴重な時間を使う必要はありません。
モラハラ夫のことを頭から追い出せない場合は、いろんなことで頭をいっぱいにして、モラハラ夫のことを考えるスキマを無くしましょう。
仕事や趣味に打ち込んでみたり、資格の勉強をするなどして、モラハラ夫のことを考える時間を無くすのです。
私自身も、別居してすぐはネガティブな気持ちが大きく、将来への不安などに押しつぶされそうになったときには、資格の勉強に打ち込んで、悩む時間を物理的になくしました。
他の事に打ち込んで人生が充実してくると、モラハラ夫との生活が人生の無駄であることに気が付き、別のステージに進むきっかけにもなります。
まとめ
モラハラ夫から無視を受けたとしても、言葉一つで無視をやめさせたり、こちらの辛い気持ちを分かってもらう方法がないことをあらかじめわかっておいてください。それよりも、「無視」をしても得なことがないことをモラハラ夫本人にわからせるよう働きかけることです。
そうは分かっていてもやはり夫からの「無視」は辛いですよね。
モラハラ夫の無視は、じわじわと毒のように効いてダメージが蓄積されます。
毒から逃げるためには、毒から離れ、遠ざかることです。
モラハラ夫へ話しかけたり、気持ちを伝えたりすることは、自ら毒へ近づきに行くことと同じです。
頭の中にも毒があると、脳がやられてしまいます。頭の中からモラハラ夫と言う毒を追い出すために、別のことを詰め込みましょう。
物理的な距離を取ったり、生活習慣をずらすことで、モラハラ夫のことを考える時間を少なくすることも有効です。
自分を守るために毒には近づかないことが一番の対策になります!
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