モラハラ加害者は、自分が加害者でありながら「俺の方が被害者だ!」「俺の方がモラハラを受けていたんだ!」と平気で言います。
外面がいいために、周囲の人間は騙され、
「あんなひどい奥さんをもらったから性格が変わってしまったんだ」
「私の知っているあの人は絶対にモラハラなんてしない」
「(被害者)が悪いのでは?」
と被害を信じてもらえないどころか、自分が加害者であるという嘘すらも真実にされてしまいます。
こういう二次被害を避けるためには、モラハラ加害者が加害者であることを周囲に真にわかってもらう必要があります。加害者がかばわれ続ける限り、彼らのモラハラが治ることはありませんし、「いい人」でいられる空間に好んで居続けようとします。
では、自称被害者と本当の被害者にはどのような違いがあるのでしょうか?それぞれの特徴を見ながら、自称被害者を見分ける方法を解説します。
目次
自称被害者と本当の被害者はどう見分ければいい?
モラハラ加害者は自分がモラハラをしていたのにもかかわらず巧妙に被害者のふりをするので、第三者からはどちらが本当の被害者なのかを見分けにくくなってしまいます。
「お互い様」「どっちもどっち」「あなたにも悪いところがあったのでは?」と思われることはよくありますし、さらには「あなたの方がモラハラをしている」と加害者に仕立て上げられることも少なくありません。
中にはモラハラ加害者からのモラハラによって、精神病になったり統合失調症のような症状が出るケースもあります。そうなると、精神病患者の看病に疲れてモラハラをするようになったかのような「鶏が先か、卵が先か」というややこしい議論に発展しかねません。最悪なことに、本当の被害者が、加害者を「モラハラをする人にした」というレッテルを貼られてしまうこともあります。
このような二次被害で被害者はさらに苦しみ、モラハラ被害から抜け出すことが難しくなります。
しかし、自称被害者である加害者と本当の被害者はよく見れば見分けがつくと考えられます。
それぞれの違いに着目してみましょう。
自称被害者と本当の被害者の違い
自称被害者である加害者の特徴は次のようなものが挙げられます。
- 紛争の解決を望まずに、いつまでも「被害者」であり続けようとする
- 相手のことを加害者だと言っているのにもかかわらず関わり続けようとする
- 同情を集めようとし、「被害者」であることを周りに吹聴する
- 解決のためにしてほしいことがない、解決方法を「考えろ」という
- 謝罪や誠意を要求する
- 解決した問題を蒸し返す
- 被害を訴える中で、暴言や侮辱といった相手を貶めるような発言をする
- 紛争や戦いを好む好戦的な態度
- 他の人から見れば、「関わらなければいいのに」という問題に自ら飛び込んでいく
- 争いが絶えない
- 自分の非は一切なかったという
- 具体的な被害の内容がない(こともある)
- 被害者の立場を利用しようとする(人に様々な要求を突きつける)
本当の被害者の特徴は次のようなものが挙げられます。
- 紛争の解決を望み、具体的にしてもらいたいこと、改善してもらいたいことを言葉にできる
- 被害を訴える目的は現在の問題や苦しみを解決すること
- 物事を解決した後は、被害から遠ざかろうとする
- 「自分にも悪いところがある」「自分は冷たい人間かもしれない」と罪悪感に駆られたり思い悩むことがある
- 第三者に客観的な判断を求めるために相談する
普通の人であれば、何かトラブルが起きたときには、「私にも非があったのかもしれない」と我が身を振り返り、相手に全責任がなあるような言い方はしないものです。また、その原因の中には「誤解」や「すれ違い」といった誰も悪くないものがある場合もあります。そういうときのことを考えて、むやみに相手を糾弾しようとしたりせずに、何が問題であるかを分析しようとします。
一方で、自称被害者では、自分には一切の非がないと断定し、我が身を振り返ったり反省することはありません。あなたが誤解させる行動をとるのが悪い、あなたが私を誤解するのが悪い、と言ったようにすべての責任を相手に押し付けます。
また、自分が被害者であることで、相手を糾弾できることが気持ちいいばっかりに、長いこと被害者でいようとします。
紛争やトラブルを解決する気がなく、「お前のせいでこうなったのだから、お前が何とかしろ!」と解決を丸投げします。
人から同情されたり、可哀そうだと寄り添ってもらえることが気持ちよく、「被害者」であることを吹聴し、自分にスポットを当てようとします。さらには、被害者であるという立場を利用してあり得ない要求を突きつけることもします。
自称被害者とのトラブルは「解決しない」!
問題はそもそもないことが多い!解決しようとしないで!
自称被害者は、本当は無かったトラブルをでっちあげたり、些細なこともまるで大きな問題のように変容させます。そのため、事実と違う問題を解決しないといけないという状況に追い込まれ、無意味な時間や労力を使わされます。
また、被害者であることが気持ちいい彼らは、問題を蒸し返し、さらなる要求を突きつけることを繰り返します。自分が被害者だと言いながら、相手との関係に固執し、ストーカー化したり、付きまとうなどして「脅迫」や「金銭の要求」、「嫌がらせ」などを繰り返すケースもあります。一生トラブルが解決できないことにもなりかねません。
自称被害者とのトラブルは、本当はない問題を問題に仕立て上げられているのです。そのことに早くに気が付き、トラブルを解決しないようにしなくてはいけません。
彼らは具体的な話をすると逃げる!
関わってしまうと、被害者であればどんな要求を突き付けても構わらないと思い込んだ彼らに、搾取されるだけ搾取されることになります。
ありもしない問題にこちらが奔走する必要はありません。
と関わらないようにするのが一番です。
とりあえず謝罪をしておけば落ち着くだろうと、安易に自分の非を認めるような言葉を言うと「お前が悪いことを認めた!」といい、トラブルに発展します。自分の非がないことには断固として「NO」を突き付け、問題がハッキリと分からなければ謝罪ではなく「事実確認をします」と言ってください。
相手からの要求が不当であれば、公の場に問題を持ち出し、明らかにしようとする姿勢が大切です。
「弁護士に相談します」
「裁判所で話し合いましょう」
「謝罪や誠意ではない、具体的な解決方法を提示してください」
と具体的な話をすると、尻込みする可能性もあります。
こういったときに「大ごとにしたくない」「当事者同士で話し合いたい」と言われても応じない姿勢を貫きましょう。あくまでも裁判にこだわり、相手からの要求にひるむことがないという姿勢を見せることが重要です。裁判になれば、自分たちが不利になると分かっているのでさっさと逃げて行きます。
これからの被害を無くすために
さらには、問題が解決したら「二度と関わらないこと」を明文化させる(一筆書かせる)ことで、将来のトラブルへの対策を講じることも必要です。
離婚でのトラブルの場合は?
もし、モラハラ加害者とのトラブルが離婚問題であれば、調停離婚か裁判離婚にしたうえで、調停や裁判が終了した暁には、法的拘束力のある文章で「二度と関わらないこと」「慰謝料などを含めた問題はすべて解決済みであること」「将来にわたって離婚問題にまつわる慰謝料などを請求しないこと」を入れておくといいでしょう。モラハラ加害者の場合、別れた後も付きまといの被害に悩まされたり、繰り返し金銭の要求や裁判などを起こされ、苦しむケースもあるようです。調停委員に相談すれば、調停証書に入れてもらうことができます。実際に私が作成してもらった調停証書には、上の文章が入っています。
自分が被害者であることを分かってもらうためには?
モラハラ加害者は巧妙に被害者のふりをするために、どちらが加害者でどちらが被害者であるかが分からなくなってしまいます。それを客観的にわかってもらうためにはやはり、モラハラを録音した証拠が必要になります。
早い段階でモラハラの証拠を確保するために動き出し、モラハラ加害者が言い逃れができない状況を準備することです。モラハラ加害者はいい人のふりや被害者のふりがとてもうまく、周囲の人をも簡単に騙してしまいます。しかし、被害者のことを見下しているので、まさか自分のやっているモラハラの証拠が確保されているとは思っていません。そのため、隠れて録音や録画をすれば、十分な証拠を確保することができます。
また、被害がエスカレートしていくと、本当の被害者は病み、精神病や統合失調症、うつ病といった病気を患うことも珍しくはありません。
そうなる前に、一刻も早く被害から抜け出す行動を起こさなくてはいけません。
モラハラ被害を訴えるときは訴える先を考えよう!
また、モラハラを訴えるときには、モラハラ加害者の周囲の人間に言うことはできるだけ避けましょう。モラハラ加害者の周囲の人間は同じようなモラハラ加害者であったり、「いい人」というフィルタに惑わされ、正しい判断ができないケースが多いと考えられます。
人は自分で見たもの以外はなかなか信じられないという心の作用が働きます。「いい人」の面しか知らない人にとっては、「いい人」がそんなことをするからには何か訳があるだろう、とか「いい人」がそんなことをするはずがないからどこかで誤解が生じているのでは、という考え方が正しい解決の邪魔をすることがあります。
特に、モラハラ夫の場合、義両親への相談はモラハラ被害を悪化させることが多く、絶対にオススメできません。
まずは、あなたの友人や両親などあなたのつながりのある人に相談することから始めましょう。そしてその時にモラハラの証拠があれば、なお理解してもらうことができるでしょう。
モラハラ被害を無くしたい、解決したい場合は、行政の相談窓口や法テラス、家庭裁判所などの公的機関を活用しましょう。
まとめ
特に、こうした加害者と被害者が分からなくなる状況は、自己愛性パーソナリティ障害の人とのトラブルによく見られます。
モラハラ加害者の多くは、自己愛性パーソナリティ障害を抱えているといわれており、離婚においてもトラブルが大きくなりやすいといわれています。
未来の被害を無くすためにも、証拠を確保したり、文章に残すなどして今後のかかわりをなくす対策が必要です。