モラハラ被害者の多くが、話し合いや相手に改善の要求をするなどしたときに、相手から「じゃあ、家から出てけよ」とか「それなら別れよう」と言われる経験をしているかと思います。
私の場合も、元夫から諍いの度に離婚を切り出されました。
ときには、夫は部屋に閉じこもって話し合いを拒否したり、家出をしたこともあります。また、私と話し合いを避けるためにその場で義両親に電話をかけ、義両親と話をしだすこともしょっちゅうでした。とにかく話し合いから逃げる行動を取っていました。
なぜモラハラ夫は人間関係を切り捨てる行動をするのでしょうか?そして話し合いを拒否するのでしょうか?
その原因を私の経験をもとにお伝えします。
なぜすぐに離婚と言うの?
いうことを聞かせるため
まず、話し合いを拒否する姿勢は、話し合いで関係を改善をすることを拒否していることの表われです。
モラハラ夫が譲る、折れることはありません。
自分が常に正しく、相手は常に間違っているので、話し合いをすることにそもそも意味を感じていません。
分かり合えない余地を残して分かり合う必要はなく、「自分の言うことを聞け!」「お前が俺に意見するな!」が彼らの信条です。
モラハラをする人は条件付き愛情しか持たないから
DV・モラハラ加害者の特徴として、「条件付き愛情」しか持たず恒常的に人を愛することが難しいと考えられています。
条件付き愛情というのは、「自分の望み通りの妻、子ども、家族であれば愛してやる」ということです。
もし親子関係であれば、
いい成績を取ったときだけ愛してあげる
親の言うことを聞いた時だけ愛してあげる
といった愛情が彼らの愛し方です。
親の言うことを聞いている間は愛してもらえますが、もし、モラハラ親に逆らったり、気に食わない言動をしたと思われたり、モラハラ親の言う通りのことができなかったり、機嫌が悪い時には、愛情は撤回されます。
同じようにモラハラ夫も、自分の家に王様のように君臨し、「この家に住み続けたかったら俺の言うことを聞け」をナチュラルにやってのけます。
人間関係を維持するものは脅迫や支配だと思っているから
DVやモラハラをする人は一貫して同じような人間関係を繰り返すことが分かっています。
たとえば、何度も結婚歴がある人のその離婚理由が毎回すべて「(自身の)DV」であった、ということはよくあるそうです。DVやモラハラは、被害者の落ち度によって始まるものではなく、加害者はあらゆる人間関係(一度きりの関係や浅い付き合い以外)で基本的なパターンを繰り返すからです。
その人間関係の基本となるのは、親子関係です。親との関係が支配と脅迫で成り立っていた場合、それが誤りだったことに気付くことができなければ、親と自分以外の人間関係でも支配と脅迫のスタイルを貫くことになります。
私は夫と義両親から「明日にでも家を出ていけ」と住んでいる場所を翌日には追い出され、離婚に至りました。都合の悪いものは追い出したり、自分の目の前から遠ざければ問題が解決すると思っていたのかもしれません。この行動はまさに、元夫がすぐに「離婚だ」と言ったり、話し合いをしないためにその場からいなくなるのと同じであり、問題解決の話し合いを拒否する姿勢とよく似ています。
この義両親の行動はたまたま私に対してだけ行われたものではなく、義両親の価値観の根底にあるものが行動に移っただけであると考えられるのです。つまり、義両親は子育てにもこのような話し合いを拒絶する姿勢を貫いていたのではないか、と私は考えます。
夫は、義両親に対して何かを反発しようものなら、「それなら家を出ていけ」といった話し合いを拒絶されるような経験を積み重ねてきたのではないかと思います。
価値観が違うとき、衝突が起こったときなど関係が悪化したときには、相手との関係を積極的に拒絶することしか学んでいなかったのかもしれません。
人を切り捨てることに躊躇がないから
モラハラをする人の中には、自分のニーズを叶えてくれる人をターゲットに選び、付き合う前などに猛烈なアピールをしますが、その人が自分のニーズを叶えてくれないと分かるとあっさりとその関係を解消する人がいます。
彼らは、人に対して特別な感情を持つことがなく、自分に「役に立つか」「役に立たないか」が人と付き合いを決める基準です。
役に立つ存在としてパートナーに選ばれた人であっても、常に彼らのニーズを満たすことはできません。特に、子どもが生まれたりすると子育てに手がかかるため彼らのニーズは優先順位が下がります。(もちろん大人なのだから自分のニーズを自分で叶えることができます。)
自分を優先してくれないパートナーは、彼らにとって「やるべきこともやらない」人だと見なされ、役に立たなくなった家電のように捨てられます。
後先のことを考えられないから
DVやモラハラ加害者は「未来を見通す力」が圧倒的に欠けています。トラブルが発生したときには総合的な利益ではなく、その場の勝ち負けに強くこだわり、最終的に悪い方向に転ぶとしてもそれを見通すことができません。
その場で相手を言い負かす言葉目的なので、その場限りの力の強い言葉を繰り返します。
あとから離婚を撤回をしてくるのも彼らの特徴です。
親子間で継承されていくのは良いものばかりではない
親からたくさんの愛情を受けて育ってきた子どもは、次に自分が子育てをするときに我が子を愛情深く育てることができるでしょう。自分が親もらったものを次の世代に継承していくのは生命として自然の流れです。
しかし、親から子どもへ継承されていくのは何も愛情ばかりではありません。
DV加害者は幼少期に両親からDVを受けてきていたり、暴力がなかったとしても心理的に支配されていたと言われています。親からもらったものは、それがたとえ悪いものであったとしても知らず知らずのうちに継承し、引き継いでしまいます。暴力、生きづらさ、依存症、孤独感、精神的不安定さ、価値観、そしてかけられた言葉さえも。
人との愛着スタイルは生涯を通じて変えることは簡単ではありません。
親から離れ自立した後も植え付けられた人間関係のパターンは繰り返されます。
それは親にかけられた呪いのようだと私は思います。
まとめ
自分という存在そのものを愛してもらったという経験がいかに大切で、いかにのちの人生を決めてしまうのかということは、親になる人間は知っておかなくてはならないことだと思います。
不安定な養育は子ども時代を苦しめるにとどまらず、大人になってからも生きづらさの原因を作ってしまいます。そして人間関係は破綻を繰り返します。
モラハラ夫を観察していると彼らの言葉の端々に過去の不適切な養育が見て取れます。
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