モラハラをしてしまう背景には、幼少期の被虐体験が元になっているケースと、親や周囲から受け継がれた特権階級意識が元になっているケースがあるそうです。コフートの自己心理学では、理想的な親イメージが不在のため自己の発達が未発達のままになってしまっている、つまり前者が原因であると考えられています。バンクロフトは、多くの加害者は後者が原因であると考えており、被害者である配偶者以外にもDV・モラハラをしてしまうようなタイプは、被虐体験が元になっているケースが多いと考えています。
私のサイトでは、生育環境による親や周囲とのコミュニケーションを学ぶ段階で、誤ったコミュニケーション方法を身につけてしまったためにモラハラをしてしまうケースを想定しています。コフートやバンクロフトのようなケースについては、このサイトで治療方法を取り上げることはしていません。
実際にモラハラを治すことができた友人の話をまとめてみると、モラハラを治療するためには3つの段階があると考えられます。
もし、あなたがモラハラを治したいと思っているのにモラハラを治すことができないのであれば、次の内のどこかの段階でつまづいているということです。何につまづいているかを知ることで、どうすればいいのかが分かります。
モラハラを治すための3つのステップ
1.モラハラを反省する
まず、モラハラ加害者の多くの場合は、この段階でつまづいていることがほとんどです。たとえ、他人から「あなたのやっていることはモラハラですよ」と言われたところで逆上し、決して認めません。この段階でつまづいているモラハラ加害者を治すことは不可能です。配偶者がこのタイプであれば、離れることをオススメしています。
友人は、「モラハラをする父親と同じことをしたくない」ともともとモラハラに関して嫌悪感がありました。しかし、兄弟が父親を嫌っていたのに同じ振る舞いをしているのを見て、もしかしたら自分もモラハラをしているのではないかと振り返ったことで自覚をし、自分の行動を変えようと思ったのです。
このように、モラハラをしていることに気が付き、自分を変えたいと強く思わなくては改善されていきません。
もし、あなたが「モラハラを治したい」と思っている場合は、モラハラをしているという自覚があり、モラハラ行為をすることに対して反省や責任を取ろうとしていることになります。
この段階をクリアしているのであれば、訓練次第で治すことができると考えられます。
2.どんな行為がモラハラに当たるかを知る
私の友人は、自分が考えていたモラハラ行為と友人や先輩から指摘されたモラハラ行為にはズレがあったと言っていました。つまり、自分でモラハラ行為だと認識していないものについては治すことができないということです。まずは、この認識を正しくすることが必要です。
あなたのそばにモラハラを治すために力を貸してくれる友人やパートナーがいるのであれば、積極的に相手からモラハラ行為を指摘してもらいましょう。
また、こちらの記事では、モラハラ行為をまとめています。参考になると思いますので、一読することをオススメします。
3.モラハラ行為にとって代わる行動を身につける
3つの段階で一番大切なのは、この段階です。
モラハラはコミュニケーションの仕方を誤って学習してしまったために、一般的なコミュニケーションと違った行動を取ってしまうことであると解釈することができます。そのため、ただ単にモラハラ行為を抑えようとすることは、自分の不満やストレスのはけ口を抑えてしまうことにつながりかねません。モラハラ行為を抑えようとするのではなく、モラハラ行為に変わる行動を身につけることが必要です。
AのときにBという行動を取るということは、いわば思考のクセのようなもので、訓練や学習を繰り返すことで上書きすることができます。
モラハラの場合、相手にいうことを聞かせたいときに怒鳴ったり、説教をしたりしてしまいます。このモラハラ行為を「やってもらうようにお願いをする」、「やってもらう代わりに自分は別のことをするといったように交渉する」という行動に置き換わるように訓練をしていきましょう。
このときに、いきなり対峙した状態で始めてしまうと、感情的になったり、やっぱり防衛機制が働いたりしてうまくいかない場合があります。まずは、何をお願いしたいのか、そのために自分はどうするのかなど自分の欲求や考え方を紙に出してまとめ、何度かそれを声に出して言う練習をすると良いでしょう。
そして、モラハラ行為にとって代わる行動を身につけるために必要なのは、成功体験です。自分のモラハラ行為に理解があり、協力してくれる人にお願いをして、モラハラ行為をしなくても自分の意思が伝わる、自分の願いが叶うという体験を成功させていってください。
モラハラ行為をしなくても大丈夫だと分かれば、自然とモラハラ行為は終息していきます。
認知行動療法を学ぶことも効果的である
認知行動療法とは、私たちが物事を捉えたときの考え方を変えることで、気持ちを楽にしたり行動をコントロールする方法です。ひとりでモラハラ行為を変えることが難しい場合は、こういった心理療法を受けてみたり、本で学んでみたりすることが有効です。
下記の本の監修をされている大野先生は、この認知行動療法の日本での第一人者の方です。
<認知行動療法入門にオススメの本>
モラハラ行為がどうしても抑えられないのは、人に依存しすぎているから
また、モラハラ加害者は人に依存してしまう体質です。そのため、相手の行動をなにがなんでも正さないと気が済まないと思って長時間説教をしたり怒鳴ったり、相手の行動を束縛しすぎてしまうのです。
ゆうメンタルクリニックさんのサイトでは、【マンガ】で分かる依存症治療を公開しています。
【マンガ】で分かる依存症治療「依存者の世話を焼いたらダメ!」
上のマンガを読んでもらえば分かりますが、依存患者に対しては、周囲の人が「世話をしないこと」が必要であると紹介しています。私自身、夫が近所で怒鳴り散らしたときに私が謝罪に行くなど、モラハラの尻拭いをしてしまっていました。そして治るどころか悪化して言っていたのです。
このように、周囲の人間がモラハラをしたことによる尻拭いをしてしまうと、モラハラをしてもなんとかしてもらえると思い、治るどころか悪化してしまいます。周囲の人は手を貸さずに自分でモラハラ行為の責任を取らせるようにしなくては治療ができないのです。
モラハラを治すためにモラハラ加害者を精神的に支えることは必要ですが、モラハラ行為を支えていてはいけません。共依存の関係にある場合の多くは、私のようにモラハラ加害行為を支えてしまっているのです。
【マンガ】で分かる依存症治療「家族が『自分の責任』と思っちゃダメ」
またこちらのマンガでは、距離を取ることでうまく依存をやめさせられると紹介しています。
支えるほうは、依存をさせないように適度に距離を取ることが求められます。
まとめ
友人がモラハラを止めることができたのは何よりも、本人が強くモラハラをやめたいという気持ちがあったからです。
本人の意思がなくては治りません。逆に言えば、本人が治したいという気持ちがあればいくらでも変わる可能性があるということです。
また、以下のようなマンガもあります。
【マンガ】で分かる依存症治療「依存しているあなたは、本当じゃない。」
子どもがいる人こそ、積極的にモラハラを治していってほしいですね。
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