モラハラ夫は、人格攻撃や被害者の感情を認めない、被害者の周りの人のことを貶めるといったひどい行為をしてきます。
しかし、モラハラ夫と言い争いをしてはいけません。
モラハラ夫から言われたことにカッとなり、同じ土俵に立って相手を攻撃してはいけません。
なぜモラハラ夫に同じレベルで言い返してはいけないのか、その理由と正しい対処法をまとめました。
モラハラ夫が暴言を吐く理由
1.妻をコントロールしたい
まず、モラハラやDVの根底にある感情は、「相手をコントロールしたい」という気持ちです。DVやモラハラは手段で目的はターゲットである被害者を支配することにあります。
何かをするたびに怒鳴られることで、次は怒鳴られないように被害者が行動を変えます。たとえば、お金を使ったことを責められたくなければ、相手がお金の話をしだした時にいつも怒鳴るようにすると、被害者はお金の話題を出しにくくなります。
さらに、大切にされない環境に長期間居ると、自分で自分の価値が分からなくなります。自分のことを信じることができなくなると、自分のことですら誰かに決定してもらわないと不安になります。自己肯定感が下がると人からマインドコントロールや洗脳を受けやすくなり、操ることがたやすくなります。
その他にもこのような意図が考えられます。
- 妻に罪悪感を抱かせる→「悪いことをしたな」と思うと人は相手の言うことを聞きやすくなります。
- 妻の価値を値引く→上下関係を作り出し、自分が妻の主であるように刷り込んでいきます。
つまりモラハラ夫が暴言を吐いてくるときというのは、どんな言葉であろうとその裏に妻をコントロールしたいという気持ちが隠されています。このことをまずは覚えておいてください。
2.モラハラ夫にとっては相手が傷つけば傷つくほど「都合がいい」
人がコントロールされやすくなる時はいつか知っていますか?
コントロールされやすいとき、それは弱くなっている時です。たとえば、不治の病にかかった途端に藁にでもすがる気持ちで信ぴょう性の乏しい民間療法に手を出そうとすることがあります。病気になる前は、「胡散臭い」と言っていたとしても、です。
モラハラ夫は、妻をコントロールするために、「妻を弱くする」必要があります。
妻が弱くなれば弱くなるほど、自分の都合のいいように言うことを聞かせやすくなります。そのために、「暴言」を利用して妻を傷つけ、弱くさせるのです。
モラハラ夫は、暴言が相手を傷つけることをよく知っています。だからこそ、「お前がそんなに傷ついているとは知らなかった」とか「悪気はなかった」というのは紛れもなく嘘の言葉です。
暴言を使えば相手が傷つき、弱ることで自分に都合が良くなることを分かった上で利用しているからです。
その暴言がどれだけ相手を傷つけるかによって、巧妙に「使い分け」をするのが何よりの証拠です。
たとえば、モラハラ夫が妻に暴言を吐いたときに、その言葉に傷つかなければモラハラ夫はそれは使えない言葉だと学習し、今後使わなくなります。一方で、傷つけることができると分かった言葉は、「そういうことは傷つくからやめてほしい」と伝えても繰り返し使うようになります。
私の夫は、「母親失格」と言った言葉を巧みに使い、私をコントロールしようとしてきました。その言葉を言われると、私が深く傷つくことを知っていたからです。他にも「(私のにおいが)臭い」とか「(イヤイヤ期のときの子どもの様子を見て)愛情不足でこうなるんだ」と言ったことも好んで使っていました。
3.負の感情を自分で処理することができないから
たとえ妻に非がなかったとしても、会社で嫌なことがあったと言った別の理由が発端となり、暴言に繋がる場合があります。モラハラをする人は感情の処理が不得意であり、また自分の感情がどこから来ているのかを自分で分からなかったりします。
会社で上司に怒られたことについてネガティブな感情を抱えているのにもかかわらず、妻の家事の支度が遅いからだとか、妻が笑顔で迎えてくれなかったからだとか、別の理由が自分の怒りの発端だと思っている場合があります。
4.投影により自分の欠点を相手の欠点だと思っているから
自分の認めたくない欠点や現実から自分を守るためにそれを他人のものだと思い込む心の働きを「投影」と言います。
モラハラ加害者たちは小さいころにモラハラ親から暴言などで恥をかかされる経験を繰り返してきたと考えられています。恥をかかされる経験が一定以上超えると自分を守るために、本当の自分はこんなものではないと思い誇大な自己像を掲げ、「恥をかかされる自分」は自分ではなく他人だと投影します。
過去の経験により、モラハラ加害者たちは普通の人よりも自分の中で認められない欠点が多く、あらゆる場面で「投影」が働くと考えられます。
暴言の中身は、彼らの自己紹介であることが多いと考えられます。
5.争いごとを好む性格
モラハラ加害者の中には、非常に好戦的で争いごとを好む性格の人がいます。
自らトラブルの中に飛び込んでいっては、その中をかき回してトラブルを大きくします。
争いごとが無ければ、争いごとの種を作り出します。
モラハラ夫にとって暴言はゲームのようなものです。「やってはいけないこと」、「人を傷つけること」という感覚からは程遠く、息を吐くように暴言が出てきます。
6.不安定な人間関係が当たり前だから
モラハラ夫は、そもそも人間関係とは「傷つけあうもの」であり、穏やかな関係を望んでいないケースもあると考えられます。幼少期からモラハラ環境で育ってきて彼らの中ではモラハラがあるほうが当たり前です。
お互いに傷つけあい暴言を吐き合う人間関係の方が穏やかな関係よりも安心感を覚えるのかもしれません。
幼いころから見てきた父親母親と同じような夫婦関係を作り、新しい家庭でも支配的、独裁的な家庭像を作り上げます。
被害者に傷つくことを言い、被害者を挑発し、妻を同じ土俵へと引きずり出そうとします。
暴言を言い返してはいけない理由
1.もし暴言を吐いてしまえば、必ずその事実を利用してくる
そしてモラハラ夫は、妻がカッとなって言い返したり、その時にモラハラ夫にとって暴言を吐けば、そのことを必ず利用してくるでしょう。
被害者が暴言を吐くひどい人間だという既成事実を作ることができれば、それが被害者の弱みとなることをよく知っています。
周囲に「妻からこんなことを言われた」と言いふらすでしょう。
「俺は家族のためにこんなにも頑張って働いているのに」
「家事や育児だって、できる限りでやっているのに」
「妻からは感謝されるどころか、ひどい言葉を言われるだけだ」
と。
そして、周りから同情を集めれば、モラハラ夫は満足し、またそのことが周りの同情を引くと分かれば、どんどん度被害者である自分をアピールするようになります。
被害者は加害者に仕立て上げられ、ひどいときには周囲から孤立させられることもあります。
あなたはそのことで傷つき、さらには自分のことを「ひどい人間だ」と自己否定してしまうことになります。
2.優しい人は、暴言をつくことで負ける
また、モラハラ夫と優しい妻であれば、暴言の言い合いや罵り合いになった時に必ず妻の方が負けます。なぜなら、相手が傷つくことが分かっているので、そこまでひどい言葉を言うことができないからです。
しかし、罪悪感のないモラハラ夫であれば、どんなひどい言葉も平気で言い放つことができます。
どう考えても妻の方が不利であり、言い争ったところで勝てる見込みはありません。
モラハラ夫の暴言への対処法は?
モラハラ夫は無関心が一番堪える
対処法で一番大切なことは、モラハラ夫が暴言を吐いた時にあなた自身が動揺をしないことです。
モラハラ夫は、相手を責められると分かった材料は、モラハラをするために必ず利用してきます。たとえ、それが事実と違う事であっても、あなたが言われた言葉にショックを受けようものなら、同じ言葉を何度も吐き、あなたをさらに追い詰めていくでしょう。
言葉の内容自体よりも、自分が大切だと思っていた人から暴言を吐かれることに傷つきますが、その傷ついたという事実を表に出してはいけません。
冷静に、「この人は実はこんな人だったんだ」と受け止めましょう。
モラハラ夫が一番堪える反応は「無関心」です。
暴言に対して、「それは違う!」と反論したり、傷ついて泣くことはモラハラ夫を喜ばせるだけです。感情を表に出さずに無関心を装いましょう。(ただし、無視をすると激怒する可能性があるので、相手に反応はしてあげましょう。)
自己紹介だと割り切る
モラハラ夫が妻を責めてくる内容というのは基本的に、モラハラ夫自身のことを指しています。こういった自分の欠点を相手に押し付けることを専門用語で「投影」といいます。自己愛性パーソナリティ障害の人がする特徴的な行動のひとつとして知られています。
モラハラ夫が何か言ってきたらそれはあなたのことではなく、モラハラ夫自身のことなのだと正しく認識しましょう。
思いがけないことで責められたとしたら、
「なるほど、この人はこんな欠点があるんだな」
と思うようにしましょう。
モラハラ夫はそういう人間であることを分かっておく
自分の好きな人や大切な人が、自分に向かって暴言を吐いてくるのはとても悲しいことです。しかし、残念ながらモラハラ夫はそういう人であり、それが現実です。
そして、何より気をつけなくてはいけないのは、モラハラ夫はさも自分は良い人のふりをして、あなたのために暴言を吐いているようなそぶりをしてきます。
モラハラ夫は良い人なのに、そんないい人にこんな悪いことを言わせる自分はなんて悪いんだ…と思うことがないようにしましょう。
暴言を吐いているのは、モラハラ夫の人柄であり、あなたと出会う前からそういう人間でした。あなたと出会って暴言を吐くように変化をしたわけではありません。もともとがそういう人間性であり、隠していた本性が露呈しただけです。
暴言は決してあなたが言わせているのではありません。
モラハラ夫の性格が言わせています。
「お前が怒らせるからだ」「お前がとてもだらしがないからだ」「別の人が妻だったら、俺はこんな性格にはならなかった」という言葉は紛れもなく嘘であり、原因はすべてモラハラ夫の方にあります。
妻がやるべきことはたった一つです。この人は性格が悪いという現実をきちんと受け入れましょう。
まとめ
モラハラ夫に言い返してはいけません。
そして、モラハラ夫と同じ土俵に立ち、同じ人間になってはいけません。
あなたは、人を傷つけるようなことを言うひどい人間ではないはずです。
モラハラ夫があなたを変えようとしているという事実に気づかなくてはなりません。
- 自分をコントロールしようとしているというモラハラ夫の意図を分かっておく
- 悪いのは、まぎれもなく暴言を吐くモラハラ夫の方
- モラハラ夫は「無関心」が一番堪える
- 暴言の内容はあなたのことではなく夫の自己紹介
- 性格が変わったのではなく元からそういう人間
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