モラハラ夫は、モラハラをした後に「俺が(俺も)悪かったよ」と反省したそぶりを見せたり、「もう絶対にしないから」と言ったりします。
しかし、これで改善されることはなく、しばらくの期間が経つと再びモラハラが始まるのがお決まりのパターンです。
一件、反省しているように見えるこの態度は、実はその場を収めるためのパフォーマンスにすぎません。
モラハラをしてしまった相手が自分を訴えたり、また離れていかないようにするための演技です。DVで言えば被害者を殴った後に「愛している」「大丈夫?」「殴ってごめんね」などと言って寄り添うふりをするのと同じです。この時期のことを「ハネムーン期」と呼びます。
モラハラを改善させようにも、この「ハネムーン期」と紛らわしく、本当に本人が「治したい」と思っているかの見分けがつきにくいのが特徴です。
「治したい」「もう絶対しないから」という嘘の言葉に惑わされずに、本当に「治したい」と思っているかを見分けるためにはどうしたらいいのでしょうか?
ハネムーン期の「もうしない」では絶対にモラハラが改善されない理由と、モラハラを治すために本当に必要なことをまとめました。
モラハラ後の「反省している」は演技だから騙されてはダメ!
「ハネムーン期」は、モラハラをして加害者がストレスを出し切りスッキリしたり、自己肯定感を回復させるエネルギーを蓄えた後、自分がしてしまった加害行為の責任を逃れるためであったり、被害者に逃げられないよう態度を急変させて被害者のご機嫌を取っているにすぎません。
モラハラをして被害者を傷つけたことで、モラハラ加害者の自己肯定感は回復したために、これ以上「モラハラをやらなくてもいいや」とモラハラ加害者の気が済んだだけです。
「もうしないから」今の加害行為を責めたりしないでくれ、見逃してくれ、という意味です。
このハネムーン期は自己保身のために動く期間でもあり、モラハラをしたことで自分に不利益が被る何かが起こったり(被害者に訴えられる等)、被害者が離れて行ったりするのを阻止するためであるということも分かっています。
モラハラ加害者は非常に演技が上手いため、泣いてみたり、大げさに落ち込んでみるなどして、「もうしない」が真実のように思えてきてしまいます。しかし、これがまぎれもなく嘘だとすぐにわかる方法があります。
それは、この時のモラハラ加害者に対して、改善の要求をしてみることです。
私の場合、このハネムーン期に夫から「気を付けるから、何でも言って。過去のことでもいいから」と言われました。
私は、「夫婦のことは二人の話し合いで決めたい。私の意見も聞いてほしい。たとえば仕事を辞めることについては、もっと話し合いたかった」と言いました。いつも夫の独断で決められることを改善してほしかったからです。
すると夫は、先ほどの言葉を言った舌の根も乾かぬうちに「それをいまさら言うのか!」と怒鳴り始めました。
また、夫が「俺も悪かった」と言ったときに私がどうしても許せなかったために、「お互いに距離を置こう」と言ったときには、「どうして俺が謝っているのに許さないんだ!」と怒鳴ってきました。
夫の「反省している」という姿勢は、私を黙らせて言うことを聞かせるためだけのパフォーマンスであり、心から「何が悪いのかを分かっている」わけではありませんでした。
モラハラ夫にとっては、「相手をなだめるための方便」なので、ここでまた被害者がなだめられない(=コントロールできない)と分かると、途端にモラハラが始まります。
モラハラ夫にとっては、反省したそぶりで「愛している」と言えば、被害者も「愛している」と言わなければいけないと思っていますし、「悪かった」と謝れば「もういいよ」と許してくれなくてはいけないと思っています。
自分の態度ひとつで、被害者をコントロールできると信じているからです。
もし、被害者がモラハラ夫の意図に反する態度を取れば、またモラハラの渦中に戻るでしょう。
反省の言葉を言ったすぐ後に逆ギレをするということは、本当に反省してはいないという証明です。
モラハラ夫が、本当に反省しているのか見分けるためには、改善の要求をしてみると分かる!
モラハラ夫の土下座や泣き落としの意味は?
またモラハラ夫は、妻から別居や離婚を切り出されると、途端に反省したそぶりをして土下座や泣き落としをしてくることがあります。その姿を見て「反省している」と勘違いした妻は、やり直せるかもしれないと別居や離婚をとどまってしまうことがあります。
なぜ妻が逃げようとすると、態度を一変させて引き留めようとするのでしょうか?
その大きな理由は、彼らはターゲットから何かを得るメリットがあって一緒にいると考えられ、そのメリットを手放すのが惜しいからです。
自分のためにメリットがあるうちは使える奴隷を逃してはなるものかと、ターゲットに執着し引き留めようとします。
この時には、妻を引き留めるために「反省」しているようなそぶりを見せますが、土下座や泣き落としも自己保身など「自分のため」にやっているにすぎません。
モラハラ夫の真の反省を見抜くためには?
モラハラ夫が、本当に自分の悪いところに気が付き、真にモラハラを改善しようとしているとしたら、「あることに気づく」はずです。
私の友人がモラハラを自覚したきっかけになったことが、まさにそれでした。
それは、
自分のモラハラの原因が、自分の根本的な部分に原因があると気づくこと
です。
友人の場合は、「父親のモラハラを受け継いでいた」ことがモラハラの原因で、自分の兄弟が父親と同じ行動をしていることに気づいたときに「もしかして自分もしているのでは?」と我が身を振り返ってみたことで自覚をしました。
モラハラ夫たちはみな、自分のモラハラの原因を「お前が怒らせるからだ!」と目の前の被害者の責任にします。しかし、多くの人は怒ったときにモラハラをしません。それが普通です。
普通の人は、怒ったとしてもモラハラをしません。
つまり、怒ったときにモラハラが出るということは、「その人の根本的な部分にモラハラが根付いている」ということです。
これは、本人の問題です。
しかし、モラハラ加害者は、「モラハラをすること」が普通ではないことに気が付いていません。なぜなら、幼少期から「モラハラをする」人がそばにいたためにモラハラが当たり前になっているからです。
モラハラを自覚し、真に改善したいと思うのであれば、
「モラハラをすることは当たり前」だという幼少期からの価値観を覆さなくてはいけません。
パーソナリティを改善させることに成功した例では、ヴァン・デア・コーク博士の著書にその症例が出てきます。
私はピーターに、少年にその経験がどれほどつらいものだったかがようやく理解できたと伝えるように勧めた。
(中略)
それから、しばらく間を置いて、私はピーターにその場面に戻って、少年をそこから助け出すように促した。
ピーターは、一人前の男として父親と対峙する自分を想像し、父親にこう告げた。
「もしこの子にまた手を出したら、私が駆けつけて殺してやるからな」。
この時にも患者であるピーターは自分の子ども時代と向き合い、両親から拒絶されみじめだった子ども時代の自分を受け入れ慰めてあげたことで、自覚、改善されていったそうです。(本文中の少年は幼少期のピーター自身です。)
このように、過去にあるモラハラの根本的原因に気づかなくては決して改善されていきません。
「怒ったときにモラハラをしないよう自分を制御する」と言う表面的な対応では、数カ月程度であれば我慢できるでしょうが長期的にモラハラを無くすことは難しいでしょう。
モラハラを真に改善させるためには、幼少期の体験を振り返り、根本的な問題に本人が気づき向き合うことが必要である。
モラハラの改善は当人の力だけでは難しい
モラハラが起こる原因には様々なものが考えられますが、加害者本人や被害者だけがこの問題を解決しようとしても難しいと私は考えています。
モラハラの一因としてモラハラをすることにより脳が刺激を受けたり、安心感を感じるなど「行為依存症」が背景にある場合があります。依存症は当事者だけでは改善が難しく、専門家の知識を頼ることが必要不可欠ですが、モラハラの場合も同じように専門家にかかることが必要だと考えられます。しかし、モラハラ加害者への治療を行っている機関などは少なく、探すのも難しいのが現状です。
まとめ
モラハラ加害者に「あなたの問題はあなたの根本的な部分にある」と言ったところで自覚することは難しいでしょう。
モラハラ加害者は、自分の弱い部分を他人にさらけ出すことを嫌いますし、何より自分は完璧な存在だと思っています。
「自分はそんな人間ではない!」と必死になって、尊大な自己の殻に閉じこもるようになってしまう可能性の方が高いのです。
「自分が弱い人間だ」と認められないので、過去のトラウマと向き合うことなどあるはずもありません。
コメント