私は、弁護士の先生にお願いして、最初から弁護士同伴で調停を進めてきました。
調停は必ずしも弁護士にお願いしなくてはいけないわけではないので、弁護士に依頼するかどうかは個人の自由です。
私が弁護士の先生に依頼をしたときには先生から、「思いきりましたね」と言われました。それだけ、調停の段階ではまだ弁護士を雇う人は少ないということだと思います。調停の段階で相談しに来ても、裁判になるまでは雇わないという選択肢もアリです。
調停は、家庭裁判所に置いてある書式に記入して、代金を支払えばだれでも申し立てをすることができます。分からないところがあれば、窓口の方が丁寧に教えてくださいます。
調停の流れはこちらの記事(離婚調停ってどんな流れで進むの?申し立てから調停成立まで)で紹介しています。
調停をするメリットは書面にして残ること 法的な強制力があること
私は、子どもがいる場合は調停をして、話し合いの結果を調停調書に残すのが良いと考えています。夫婦は離婚をすれば赤の他人になり、それ以降のつながりは無くなりますが、子どもがいた場合はそれ以降も養育費や面会交流で関わる必要があり、離婚の条件がハッキリと形に残っていることがのちのち役に立つからです。
また、未払いが発生した場合は、強制的に取り立て等ができるのも調停調書のメリットです。
調停の雰囲気は?調停経験者である私が感じたこと
さて、調停が始まると話し下手な人はきちんと調停委員に伝えたいことが伝えられるかは非常に不安になるところです。
弁護士の先生からは、「裁判と違って、話し合いの場です。何かまずいことを言ってしまったから不利になるということもありません。気負って挑まなくても大丈夫です。服装も普段着で大丈夫です。」と言われました。
イメージとしては、弁護士の先生に相談に行く感じと似ています。自分が伝えたいことをまとめていけば、調停委員も問題解決のプロなわけですので、向こうからいろいろと質問をしてくれます。その質問に対して正直に答えればいいのです。
調停では、白黒決着をつけるというよりは、解決の方法が分からないので(もしくは当事者同士では解決ができないので)、知恵を借りに行くという気持ちで行って大丈夫ですよ。
- こういう解決方法がありますよ
- こういう解決方法が妥当ですよ
- 相手はこう言っていますがどうしたいですか?
話される内容もこんな感じです。「ああしなさい、こうしなさい」とは言われません。自分の気持ちがまとまらない場合は、調停委員や弁護士の先生と話し合いながら解決していきます。
私が調停で話すときに気を付けたこと
調停では、話し方が上手いか下手かどうかというよりは、話し合いに挑む姿勢が大事です。知恵を借りるという気持ちで行けば、問題はないかと思います。つまりは、調停委員の話をよく聞き、持ちうる選択肢の中で合理的な判断をすることが必要です。自分の主張ばかり繰り返し、解決しようとする意志が見られない場合は、調停で決着をつけることができなくなります。
調停でやってはいけないこと
1.出さなくてもいい主張書面を出すこと
あなたが出そうとしている主張書面は、本当に出す必要があるものかどうかをよく考えてみてください。
特に調停1回目のときは、お互いに頭に血がのぼっていることが多く、その時に書いた文章というのは独りよがりで攻撃的になっていることが多いものです。
それを見た相手側は公平でない文章が出たことによって怒り、問題解決が長引いてしまう可能性があります。
文章で出てきたものは形に残るので撤回することが容易ではありません。解決するための調停の場が、お互いにいがみ合ったり罵り合ったり、愚痴を言う場になってしまってはいけません。
どうしても書面を出したいという考えがあった場合でも、とりあえず第一回調停では我慢してみてもいいかと思います。
私の場合は、弁護士の先生と相談した結果、夫が病気であり精神的に不安定でもあったため、夫の健康面を考慮して主張書面を出さないことに決めました。しかし、相手側からは嘘の主張書面が出てきて、病気も治ったという医師の診断書も提出されたため、その後の調停で主張書面を出すことに切り替えました。
2.コロコロと主張を変えて周りを翻弄すること
調停で最もやってはいけないことがあります。元夫はそれをしたために、相場以上の金額を払わなくてはいけなくなりました。
弁護士の先生も「まさかあんなに高い金額になるとは思わなかった」と言っていました。それだけ、元夫は調停委員から嫌われることをしてしまっていたのです。
元夫が調停委員から嫌われてしまった原因…それは、自ら提示した解決の条件を撤回したことです。
たとえば、前の調停であなたが「面会交流の条件を○○にしてくれるのなら、他の条件は夫側が提示した通りにしてもいい」と言ったとします。調停委員はその意見を夫側にも伝え、「次回の調停までにどうするか決めてきてください」と言ったとしましょう。夫は、次の調停で「面会交流の条件は妻側の言い分でいいです」と言いました。そうすれば、お互いに決着がつくはずでした。
しかし、夫側が折れた事を知ったあなたは「面会交流の条件は○○にしてほしいが、やっぱり他の条件は譲れない」と撤回してしまいました。
こうした行為を見て、調停委員や夫はどう思うでしょうか?あなたの言い分に合わせて調節をしてきた夫側や、説得を試みてくれた調停委員のどちらからも反感を買うことは普通の人であれば想像できると思います。
解決するためには双方の歩み寄りが必要なのは、調停の場でも同じです。
自分の主張をすべて通そうとして、相手が自分の条件を飲んだら、他の条件を自分の都合の良いように撤回する行為は、非常に悪質で解決する気がないとみなされても仕方がありません。
夫は、調停の場でもこうして自分の主張のみを通そうとして、調停委員からの不評を買い、結局は高い金額を支払わされる羽目になりました。
3.結論を出すのを先延ばしにすること
次の調停までは、だいたい1~2か月ほど間が空きます。その間によく考えて自分なりの結論を出すことは必要です。1か月悩んで答えが出ないことは、もっと長い期間悩んだからと言って答えが出るわけではありません。
自分にとってばかり都合のいい結果にするために、わざと解決を先延ばしにするという行為も良くありません。
調停が不調に終われば、次は裁判です。裁判になってしまえば、法律の元に結論は下され、結局は何も得ることができなくなってしまう可能性だってあるのです。
覚えておかなければならないのは、相手が調停で納得できなければ、審判、裁判に移行していくということです。相手から不当に悪い条件を突き付けてられていて審判や裁判になった方が自分にとってメリットがあるのであれば、調停で解決をしなくてもいいでしょう。
調停では法律に則っていなくても双方が納得しさえすればその条件で決まります。審判や裁判の結果がどうなるのかを調停の段階で見据えて話し合いをする必要があります。
自分の気持ちの整理がつかないことは、正直に調停委員に打ち明けるべき
人の心は変わります。離婚すると決めていても、やっぱり離婚をしたくなくなったというように心が変化することもあります。
しかし、自分の意見がコロコロと変わり、調停を長引かせたり、解決から遠ざかるような行為をすることは嫌われてしまいます。
自分が決めかねていることは正直に、「悩んでいる」「迷っている」と伝えることが必要です。
いずれは決めなくてはいけないときがくる 次の調停の期日までによく考えて結論を出すことも必要
そして、「悩んでいる」「迷っている」ことでも、いずれは結論を出さなくてはいけません。
調停では解決するための方法を提示してはもらえますが、どういう結論にするかを決めるのはあなた以外にはいません。
離婚の条件をどうしたいのかは、自分の人生をどうしたいのかということです。
よく考えて、結論を出す必要があります。
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