子どもの権利には「養育費」と「面会交流」があります。
面会交流は、「別居親が子どもに会う権利」と「子どもが別居親に会う権利」の両方を兼ね備えています。
しかし、相手がモラハラ加害者であった場合、別れた後も子どもをモラハラ加害者に会わせるのは苦痛ですよね。
また、2人の間で決めた約束事を守らないなど、相手側の態度に問題があった場合にどのように対応すればいいのかも、面会交流を続けていく上で問題になります。
決めたことが守られず、何度も何度も繰り返し調停するのも時間とお金がかかり、心理的にも負担となります。
第三者機関を利用することで、調停後も一定のルールに従ってで面会交流を続けることができます。
1.第三者機関を利用した面会交流とは?
地域にもよるので必ずしも第三者機関が近くにあるとは限りません。しかし、もし第三者機関があるのであれば利用を考えてみるのも一つの手です。
第三者機関では、監護親から子どもを預かり、別居親に子どもを引き渡す「受け渡し型」と、第三者機関の人の付き添いのもとで面会を行う「付添型」とあります。
どちらも両親が顔をあわせずに面会交流を行うことができます。
受け渡し型・・・監護親が第三者機関に子どもを連れて行き、子どもを預ける。その後、第三者機関が子どもを別居親のところに連れて行き、引渡しを行う。
付添型・・・第三者機関の人が面会交流の場に付き添い、決められた時間、別居親と子どもと立会人の元で面会を行う。面会交流を行う場所は第三者機関の提供している場所など限られた空間である。受け渡し型と比べ料金はやや高めで時間も限られる。この形の支援をしている第三者機関は少ない。
調停の場で面会交流を決める際には、事前に第三者機関のことを調べて、自分の方針にあった第三者機関を利用しましょう。
2.第三者機関の探し方
実際に私が利用したサイトです。
全国の面会交流の支援をしている団体を検索できます。
http://menkaikouryu.fvsnet.org/map.html(面会交流.com)
3.第三者機関を利用するときの注意点
3-1.利用規約をよく確認する
第三者機関の利用規約をよく読んでおきましょう。
利用するには、所得制限や、双方の親の同意が必要であったり、別の第三者機関で利用を断られた場合では利用ができないなどの決まりがあることもあります。
いざ、利用しようとしても利用できなくては意味がありません。
3-2.問い合わせをする
第三者機関を利用するにしてもやはり不安はつきまといます。
どういった団体であるのか、実際にどういった人が面会交流中に立ち会うのか、面会交流を行う場所はどういうところなのかなど、第三者機関の利用を決定する前に、あらかじめ第三者機関に問い合わせをして不安を払拭しておくとよいでしょう。
3-3.料金を確認する
利用には料金がかかります。(だいたい1回につき5,000~10,000円ほど)
また、利用料金だけでなく、最初にかかるお金や利用更新にかかるお金なども事前に把握しておきましょう。
3-4.支払いをどちらが負担するのかを決める
料金をどちらが負担するのかを必ず調停の場で決めた上で、調停証書にも支払いについての一文を盛り込みましょう。
きちんと文章に残しておかないと、のちのち揉める原因となります。
3-5.面会交流に関わる取り決めを調停証書に盛り込む
第三者機関では、「面会交流に必要なルールは調停証書にあらかじめ盛り込んでください」というところもあります。
のちのち、「こうして欲しい」「ああして欲しい」と訴えても、双方の同意がなければ実施ができないこともあります。
・面会交流を行う頻度(平均して月に1回程度)
・料金の負担割合(一般的には折半)
・その他、必ず守ってほしいルール(同伴相手の指定)
は、調停証書で明文化しておきましょう。
4.第三者機関を利用するメリット
4-1.父母双方が顔を合わせることがない
実際に私が利用している第三者機関では、まず元夫が先に部屋に入ります。その15分程度後に私と子どもが到着し、子どもが落ち着いたときに、立会人が子どもを元夫のいる部屋に連れて行き、元夫、子ども、立会人の3人で面会を行います。その間、私は別室で待機をしています。
面会が終わると、立会人が子どもを私のところまで連れてきてくれます。
面会中一切、父母が顔を合わせることがありません。
4-2.父母双方が連絡を取ることがない
私が利用している第三者機関では、連絡等もすべて第三者機関が仲介してくれ、父母が直接連絡を取る必要がありません。
モラハラ加害者と連絡をすると、面会交流に関係ないことで嫌なこと言われ、嫌な思いをすることもあるでしょう。
心身の健康のためにも第三者機関を利用してよかったと思います。
4-3.中立である
第三者機関は、どちらかの親や友人、親戚等と違って中立の立場です。また、離婚問題を経験した人や、元調停員や元弁護士などの紛争を解決してきた人が多いのも特徴です。
面会交流もどちらかの親に肩入れをしてしまってはうまくいきません。
私自身、元夫との面会交流に関してはマイナスの感情を抱いてはいますが、第三者機関の人が私自身の気持ちを汲んでくれることが、唯一の救いとなっています。
4-4.第三者の目があることでモラハラ行為が収まる可能性がある
離婚をしてしまえば、夫婦間の関係はなくなり、連絡を取らなくなることであなたへの被害は少なくなる傾向にあります。
あとは、唯一の接点である面会交流が心配ですが、モラハラ加害者がモラハラを行うのは空間や人間関係を含めた、いわゆる「密室」です。第三者の目があることで、モラハラ加害者はモラハラを行えず、子どもがモラハラ加害行為に遭わずに過ごせる可能性が高まります。
モラハラ加害者からモラハラ行為を無くすことはできませんが、接点のある間だけモラハラ行為をしなければいいわけです。
子どものためにもモラハラが行われない環境を整えることは重要です。
特に、外面がとてもいいモラハラ元配偶者の場合は、第三者の目があるということでモラハラが高確率で抑えられます。反対に、外ではクレーマー、子どもの通う学校ではモンスターペアレントなど、どこでもトラブルを起こすタイプの場合は、第三者の目があろうとも関係なくモラハラが発動すると考えられ、援助機関を挟むからと言って穏やかに交流できる確率は低いでしょう。
4-5.決めた面会条件での面会交流が保証される
子どもをそのまま相手に引き渡してしまうと、面会交流中にきちんと二人で取り決めた約束が守られているかが分かりません。
面会後に子どもの口から「今日は、パチンコに行った」と聞かされて相手に抗議しても、モラハラ加害者が反省することは期待できませんし、次の面会交流も前向きな気持ちで迎えられません。また、決められた面会時間を過ぎても子どもが帰ってこずに、不安な時間を過ごさなくてはならなくなるかもしれません。かといって、一方的に面会交流を取りやめてしまうと、モラハラ加害者ですので慰謝料を請求してくる可能性は十分考えられます。
モラハラ加害者の中には、子どもとの面会を嫌がらせの手段につかってくる人もいます。わざと、不安をあおるように面会時間をオーバーして見せたり、子どもに監護親の悪口を吹き込んだりします。モラハラ加害者にとって、子どもはいわば物。良心のないモラハラ加害者は、そういった行為の末、子どもがどのように成長するのか、子どもがどんな不快な思いをするのかなど関係ありません。監護親がモラハラ行為を注意すると、反応があったことを喜び、次の面会交流でもモラハラを行います。
第三者機関では、面会交流の条件を調停証書に記載しておけば、そのルールに則って面会交流を行ってもらえます。
また、調停証書に何の記載もなくても、モラハラ加害者が監護親の悪口を吹き込んでいないかなどは注意してもらえますし、注意してもそういった行為がやまない場合は援助を打ち切ってくれます。
5.第三者機関を利用するデメリット
5-1.お金がかかる
私が利用している第三者機関は1時間10,000円かかります。もちろん、子どもの安全のために立ち会いは必要だと考えているので、料金を支払うことに不満はありませんが、月に1回の面会交流であれば、年間12万のお金を支払う必要があります。
これに加え、支援の延長の際には更新料として一年ごとに別途お金がかかります。
決して安くない金額です。
5-2.いずれは第三者機関を卒業しなければならない
第三者機関を使った面会交流は、いずれ父母双方のみでの面会交流を実施するためのサポートをしているというスタンスのところが多くあります。だいたい1年更新で、おおよそ2~3年で卒業をしていくのが一般的なようです。
そうなると、いずれは父母双方で連絡を取り合わなくてはいけません。
その時のことを考えると、頭が痛いです。
まとめ
面会交流は、基本的には実施の方向で調停員や裁判官から話をされます。
DVや虐待などのよほどの理由がない限り、面会交流は拒否することができません。
面会交流を行わなければならないのであれば、少しでも子どもや監護親が安心できる環境で行うのがベターです。
別居親、監護親双方が安心して面会交流ができることが望ましいです。
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