子どもがいる場合、調停離婚や裁判離婚では必ず「面会交流」のことが話し合われます。
離婚して両親が夫婦でなくなっても、子どもと親の関係はそのまま続きます。
日本では、子どもが健やかに成長するために別居親との交流が欠かせないと考えられており、DVや虐待などのよほどの理由を除いて、基本的には面会交流は進んで行われる方向で話し合いが行われます。
面会交流とは?
面会交流には、「直接交流」と「間接交流」があります。
直接交流・・・子どもと別居親が直接会って交流することを言います。
間接交流・・・電話、手紙、写真など、別居親と子どもが直接関わるのが難しい場合に取られる方法です。
面会交流の有無の決め方
面会交流は子どもと別居親のためのものですが、小さい子どもは自分の意見を言うことができません。また、子どもが小さいうちは監護親の影響を受けやすいため、面会交流を拒否していてもそれが子どもの本心であるかどうかが判断ができません。
そのため、子どもの意見がどのくらい面会交流の有無に反映されるかは子どもの年齢に応じて決まってきます。
0~10歳ごろ・・・子どもはまだ自分の意思を言える年齢ではないと判断されます。試行的面会交流や調査官調査などにより、調査官が子どもの意見を直接聞いたり、子どもと別居親が触れ合う様子を見たりするなどして判断します。
10~14歳・・・子どもの意思も面会交流の有無の判断基準とされます。調査官調査などによって子供が拒否していることが分かれば、面会交流を無理やり行うことはできません。
15歳以上・・・子どもの年齢が15歳を超えている場合は、子どもが自分の意見を言える年齢であると判断され、子どもの意見が全面的に尊重されます。
家庭裁判所の一室で、調査官の立会いのもと別居親と子どもの様子を調査します。時間は約1時間程度です。子どもが小さくてまだ自分の意思を言える年齢に達していない場合に行われたり、面会交流を行うことが不安な場合に、安全な家庭裁判所内で試験的な意味合いで行う事もあります。
父親、母親、子どもに対して調査官が面談をします。子どもがある程度大きく、自分の意思を言える場合に行われます。通常1対1で行われ、子どもの本心を知るため、子どもの面談に親がつくことはできません。また、保育園や学校、家庭訪問などを行うこともあります。面会交流だけでなく、親権に争いがある場合も、子どもを養育する環境にふさわしいかなどを見るために行われます。
※どちらの調査の場合も、調査書の内容は重要視され、面会交流の大きな判断基準です。調査官は児童心理などを学んだ専門家の人であり、裁判になった場合でも調査官の調査書が判決にかなりの影響を及ぼします。
面会交流を拒否できるケース
面会交流は基本的には行う方向で今の裁判所は動いています。
しかし、子どもの福祉に反すると判断された場合には面会交流を拒否することができます。
①子どもに暴力をふるう
②別居親が監護親の悪口を吹き込む
③別居親が子どもを連れ去る可能性がある
④別居親に問題がある
⑤子ども自身が拒絶している
10歳程度で子ども自身が面会を拒否している場合は、面会を拒否することができると言われています。
しかし、子どもが小さい場合は子ども自身が拒絶していてもその意思は尊重されないため、面会交流を拒否することはよほどの理由がない場合は難しいでしょう。
別居親が監護親に暴力をふるっていた場合でも、子どもに対して暴力をふるっていなければ、面会交流は行う方向で調節されます。私としては、暴力を目の前で見せられること自体が虐待であると思いますが、今の家庭裁判所の判断は非常に積極的に面会交流を実施するようです。恐ろしいことですが。(現在は原則面会交流は緩まりつつあるようです。)
モラハラ加害者との面会交流はどうなる?私の実体験
では、モラハラの場合は面会交流は拒否できるのでしょうか?
モラハラ加害者にとって、子どもは自分の持ち物のようなものです。自分の持ち物を奪われたら誰だって怒ります。それと同じようにモラハラ加害者は、なにがなんでも子どもを引き渡すように要求してきたり、親権を主張してきます。親権が取れないと分かると、面会交流の権利をなるべく多く勝ち取ろうとするのがセオリーです。
そして、現在の家庭裁判所の考えではなかなか「モラハラ」自体が認められにくいのが現状です。
モラハラの内容は一つ一つだけ見れば、「少し変わった人」「扱いにくい人」程度のことに捉えられ、子どもの福祉に反する悪影響のある人物であることがなかなか理解されにくいためです。
さらには家庭裁判所の家族観は、「親が離婚した後も親と子どもの交流が続くことが子どもにとって利益になる」と考えています。
そのため裁判所も面会交流は行う方向で調整をしてきます。
私自身も調停の場で、調停員から「どのみち面会交流は実施することになりますよ」と言われ、裁判官からは「裁判になると大変ですよ」と圧力をかけられるような形で説得をされました。
一方で弁護士の先生からは、「結局何かあっても裁判所は一切の責任を取ってはくれないよ」と言われました。家庭裁判所は積極的に面会交流の実施を進めてきますが、何かあった時に被害を被るのは、一番に子ども。次に自分です。
家庭裁判所が面会交流の実施の判決を出したからと言って、面会交流中の安全が保障されているわけではありません。
しかし、モラハラだけでは面会交流を拒否できるほどの理由にはならないのが現状です。子どものために非モラハラ親ができることは「面会交流を安全に行うための条件を付けること」です。
私は面会交流中に第三者が立ち会い、別居親と子どもの様子を見て把握してくれる『第三者機関の利用』をオススメしています。
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第三者機関を利用しても面会交流が実現しないことも
第三者機関を利用するケースと言うのは、監護親と別居親に強い摩擦や紛争がある場合です。誰しも離婚相手に好感情は抱いてはいませんが、子どもとの関係にも影響を及ぼすほどの悪感情でなければ、面会交流の実施にまで影響はないはずです。
過去の判例で、別居親が監護親に暴力をふるっていたケースで第三者機関を利用して面会交流を行うように判決が出ました。
しかし、そのケースの場合は子どもが強く拒否し、面会交流の場に来ても別居親と頑なに会おうとしなかったため、第三者機関の利用でも面会交流の実施は実現しなかったそうですが。
「本当に面会交流を行うべきでない場合でも、面会交流を行うよう判決が下る」ことがあるようです。
家庭裁判所の判断は個々のケースに細かく対応しているとは到底考えられません。強制的に面会交流を行うことは、果たして自然な親子関係と言えるのでしょうか。子ども本人が強く面会交流を拒否しているのにもかかわらず年齢が達していないというだけで強制的に面会交流を行わせる、とても子供の福祉が考えられているとは思えません。
面会交流ありき、結論ありきで機械的に判決を下しているような気がしてなりません。
私の子どもの場合も、調停で第三者機関を利用しての面会を行うことになりましたが、本人が強く拒絶したために、今現在は『間接的な交流』に留め、直接の面会を行っておりません。
直接の面会交流が難しい場合は、間接交流という手もある
モラハラで面会交流を拒否するのが難しい場合、面会交流を制限して行う方法が最も現実的な解決方法でしょう。
第三者機関を使って、第三者立会いのもと面会交流を行う方法もありますし、それでも不安な場合は、直接面会交流をせずに、手紙や写真を送ったり、メール、電話で連絡を取るといった間接的な面会に留める方法もあります。
私の場合では子どもが10歳未満であり、本人が面会を拒否していたにもかかわらず、その意見を認めてもらうことができませんでした。そこで、直接交流ではなく間接交流に留めた面会交流という形で面会を続けています。
まとめ
私自身はモラハラも虐待に当たると思っていますが、現在の家庭裁判所の考えではモラハラでは面会交流を拒否する理由として十分ではないようです。
面会交流は子どものためのものだと私自身は思っています。子どもが、本当に面会を望んでいるのか、面会を望んでいるのであれば、どのような面会方法が子どもにとって安全で、安心して行うことができるのか。
「モラハラで面会交流をしたくない」と思ったときに、ただ拒否するだけではなく、面会交流にもさまざまな方法があると分かれば、その中から納得できる形の面会方法が見つかるかもしれません。
この記事が少しでも参考になれば幸いです。
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