モラハラは、調停の場ですら「ただの夫婦喧嘩だったんじゃないの?」と思われてしまうほど、夫婦げんかとの線引きが難しいといわれています。
しかし、被害者からすれば、絶対に「ただの夫婦喧嘩」ではありません!
夫婦喧嘩とは何が違うのか。
モラハラなの?夫婦喧嘩なの?
と迷ったときにこの記事を参考にしてください。
モラハラと夫婦喧嘩の違い
1.ふさわしくないほどの大きな怒りを表現する
夫からの無視がかれこれ1週間ほど続いている、それはモラハラでしょうか?
モラハラ行為の中には長期間の無視がありますが、その無視の理由がどういったものであるかがモラハラかどうかを見分けるポイントになります。
たとえば、
夫が昔から大事に集めていたコレクションを間違って捨ててしまい、それを夫に伝えたところ1週間ほど無視されている
この場合、大事なものを捨てられたショックからふさぎ込み一週間会話をしたくないという気分になったとしても、その理由を多くの人が共感できるのではないでしょうか。
一方で、
妻が食事中に箸を落としてしまったことに激怒し、そこから説教が始まって、「そのくらいで怒らなくてもいいじゃない」と言ったところかれこれ1週間ほど無視されている
としたらどうでしょうか?
この場合は、箸を落としたことが一週間の無視につながることが理解できないかと思います。
このように、「モラハラ」では起こった出来事とモラハラ夫の怒りがあまりにもかけ離れている(ふさわしくないほどの激怒)が特徴にあります。
モラハラでは、「些細なことで突如激怒する」ため、妻は混乱し、夫に対して恐怖を感じるようになっていきます。
「怒りの強さ」「怒りの長さ」が起こった出来事にふさわしくないほどであればモラハラである
2.夫に対して逆らえない、逆らうことが許されない
ケンカと言うのは、対等な立場でなければできません。多対1の場合や、圧倒的な力の差がある場合は「ケンカ」ではありません。(いじめやパワハラ、モラハラです。)
夫婦関係においても、対等でない場合は夫婦喧嘩をすることはできないでしょう。
たとえば、夫が経済的に家計を支配している場合、夫に逆らうと生活が困窮してしまうために歯向かうことが許されない場合は「モラハラ」が起きやすい環境だと言えます。こういったとき、夫が「稼いでから言えよ(稼いでない場合は、発言権もない)」「専業主婦が偉そうに!」といった発言をする場合は、モラハラに当たります。
また、ケンカのときに夫が物に当たったり、大声を出す、大きな音を立てる、乱暴に運転すると言った威嚇、脅しをする場合や、「今すぐ出ていけ!」「死んでやる!」「離婚してやる!」と言って自分の命や婚姻関係を盾に「逆らうことができなくされる」場合も同じです。
夫婦喧嘩に自分の親を呼び出し、大人数を使って説教すると言ったことも「モラハラ」に当たります。
妻が夫に対して「逆らえない」という状況に置かれる、もしくはその状況を利用して夫が逆らわないよう強要してくる場合はモラハラである!
私の夫は、わざと大きな音を出して扉をしめたり、奇声のような大声で叫びだしたり、床に臥せった状態で手足をバタバタ動かし暴れまわったり、机や壁に頭を打ち付けるということをして、私が何か話そうとするのを遮ってきました。
経済力などでも妻を抑えられない場合は、こうして「恐怖」を利用し、妻を逆らえなくさせます。
色々な方法で、妻が「逆らうことができない」状況をいつの間にか作り上げられているのがモラハラの特徴です。
3.夫と妻でルールが違う
モラハラでは、「自分は良いが、妻はダメ」が基本的なルールです。同じことをしても夫は許されるけれど、妻は許されない(怒られる、禁止される)と言ったことが当たり前に行われます。
たとえば、夫は飲み会に毎週行くけれど、妻はたまに友人と飲みに行くのも許されない、夫が頻繁に実家に帰るのはいいけれど、妻は実家と連絡を取ってはいけないと言ったことです。
夫と妻が守るべきルールが違う理由は、「妻が至らないから」「嫁に来た立場だから」「男と女では意味が違う」と言ったことで正当化されます。
同じことをしても夫は許されるのに、妻は許されないという矛盾したルールがある場合はモラハラである!
4.夫が怒ると、家の中の雰囲気が変わる
モラハラがある家では、モラハラ夫の機嫌が家の雰囲気を左右します。
モラハラ夫が家の中の支配者であり、家族の行動を初め、価値観や感情までコントロールしています。
モラハラ夫の機嫌ひとつで、楽しい時間が激変するのが特徴です。
たとえば、家族旅行に出かけようとしていた時に、子どもの準備が遅いだけで怒り出したモラハラ夫が「準備しないってことは行きたくないって言うことだろ!旅行は無しにする!」と言い出し、いきなりその日の予定がキャンセルになることもあります。
また、誕生日ケーキをぐしゃぐしゃにする、できたご飯を捨てると言った「楽しみを台無しにする」こともモラハラに当たります。
モラハラ夫が怒鳴るときの恐怖から、他の家族が「もうおしまいだ」「生きていけない」「辛い、苦しい」といった絶望的な気持ちになるときも、モラハラがあると考えられます。
夫の機嫌で家族のイベント、家族の感情が左右されるのはモラハラが潜んでいると考えられる!
5.人前で怒鳴る、侮辱する
人前で怒鳴る、侮辱すると言った行為もモラハラです。
夫婦喧嘩でヒートアップしてしまったときには、お互いに暴言を吐いてしまう可能性はあるでしょう。しかし、それを人前で怒鳴りつけるとなると意味が異なってきます。
また、子どもがいる場合に「お前のお母さんは本当にバカだよ!」「お前もそう思わないか?」と言って、子どもに母親の悪口を吹き込んだり、それに賛同するように強要することもモラハラに当たります。
ケンカを夫婦の中だけで完結せず、周囲の人を「妻をバカにする」ために、巻き込むのはモラハラです。
相談や愚痴を聞いてもらうと言う形ではなく、妻を「ばかにする」「けなす」ために周囲を巻き込むのはモラハラである!
まとめ
モラハラがある場合は、その背景には必ず「支配関係」があります。
支配があるために、どんな理不尽なことであっても妻は夫の言うことを聞かなくてはならなくなってしまいます。
夫婦喧嘩ではなかったということを証明するためには、この支配関係を強調して伝えなくてはいけません。
人に相談するとき、弁護士に相談するとき、調停で話をするときに、モラハラが「ただの夫婦喧嘩」だと思われないためには、「話し方」に注意する必要があるということを忘れないでください。
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