人間関係のトラブルで、一方的にどちらかが全面的に悪いということはないような気がしていませんか?
しかし、モラハラの場合は「被害者にも悪いところがあった」ということは当てはまりません!
モラハラ夫は「お前のせいでモラハラをしてしまう」「職場でストレスが溜まるから仕方がないんだ」「病気が原因だ」と言って、被害者のようにふるまいながら本当の被害者に対して言うことを聞かせていきます。
モラハラ夫が言う「お前のせい(周りのせい)」は、実は真実ではありません。
残念ながらこういった人の場合は、誰と結婚したところで「モラハラが出る」と考えられます。結局は本人の問題です。
しかし、モラハラ被害に遭ったことがない人の場合は、
- 夫婦は合わせ鏡
- 甘えているだけ
- 優しく接すれば、夫の行動は変わる
と考えている人も中にはいるようです。
モラハラ夫の場合はこの例には該当せず、夫を立てるというアドバイスの通りにしてしまうとますますモラハラ被害に嵌り抜け出せなくなってしまう危険性もはらんでいます。
モラハラで危険なアドバイスとは?
モラハラ被害に遭っている場合、
「夫を立てればうまくいく」
「夫を褒めてうまく操縦しなさい」
「あなたも我慢が足りない」
「人付き合いで一方的に悪いということはない」
「優しく接すれば夫も変わる」
と言ったことは残念ながら効果のあるアドバイスではありません。
むしろ、
- 夫を褒めること
- 夫を立てるために自分がへりくだること
- 優しく接すること
は、自己愛性パーソナリティ障害の人の「誇大な自己」を助長することに繋がり、モラハラを悪化させますし、
- 自分にも非があると思い込むこと
- モラハラを我慢すること
は、モラハラによる精神的被害を大きくする原因になります。
これらのアドバイスでは、モラハラが改善されることはなく、かえって被害を大きくしたりモラハラをエスカレートさせる危険性があるので、絶対にやらないでください!
モラハラ加害者の中には、被害者の感情を自分のモラハラエネルギーに変えるタイプ(エナジーバンパイアタイプ)の人がいます。彼らにとって、被害者が優しく接してくれる、謝罪してくれる、理解しようと歩み寄ってくれる、話し合いをしようとしてくれることは残念ながら、彼らに「モラハラをするエネルギーを与える」ことになるだけです。
モラハラを受けたことがない人の中には、「話し合えば分かってもらえる」「誠意を見せればいい」「お互いに悪いところがあるから受け入れるべき」だと考えている人もいます。
しかし、モラハラが始まるきっかけと言うのは、誠意を見せなければいけないほど重大な問題が起きているわけではありません!
たとえば、箸が床に落ちたとか、食卓に醤油が置いてなかったとか、メールの返信が少し遅れたと言った本当に日常の些細なことから始まることが多く、普通の家庭であれば「問題にもされないようなこと」です。ここに被害者の落ち度はありません!
こういった「何でもないことがとても大きな問題のように取り上げられてしまう」モラハラは、実際に受けたことがある人ではなければ分かりません。
被害者が本当にもらわなければいけないアドバイスは、実際にモラハラを受けた被害者からのものです。
コミュニケーションを間違っている場合は治る可能性も
もし、妻が「何も言わなくても察して欲しい」「人に本音を話すのが苦手だ」と思っていて、夫に対して自分の気持ちを伝えていない場合、夫が妻の気持ちが分からないばっかりに
本当に
「モラハラで傷ついていると知らなかった」
「冗談のつもりだった」
ということもあります。
夫は嫌がらせのつもりがなく、親しければこういうコミュニケーションをしてもいい(むしろ、夫から見たら笑顔の妻が喜んでいるのだと思っていた)ということもあるのです。
こういったコミュニケーションの手段を間違っているだけのケースでは、夫に対して、「こういうことは傷つくからやめてほしい」と正直に伝えると、劇的に改善する場合もあります。
夫が妻の気持ちを知らなかった場合、妻の気持ちや感じていることを伝えることで、劇的に改善する可能性がある!
しかし、すべてのモラハラがこれに当てはまるとは言えません。むしろ、妻側の働きかけでモラハラが治るのはごくごく少数であり、ほとんどの場合は、次のようなモラハラに当てはまっていると考えられます。
改善されないモラハラもあることを知っておこう!
一方で、何度も「やめてほしい」と伝えているのに改善されない、もしくは「やめてほしい」と伝えたことをあえて何度も繰り返してくる場合は、治すことが非常に難しいタイプのモラハラです。モラハラで快楽を感じている場合もあり、エスカレートしていく可能性が非常に高いと言えます。
こういった場合は、妻が気持ちを正直に伝えることで、かえって弱点をアピールすることになり、モラハラが悪化していくので注意が必要です。
改善が難しいモラハラでは、本人が「モラハラをしているという自覚」を持つことが非常に難しいと考えられます。
基本的には、モラハラをエスカレートさせないための対処法をし、できるだけ距離を取って影響を少なくする方法しかありません。被害をゼロにしたければ、縁を断ち切る他ありません。
モラハラが改善されにくいタイプは、できるだけ距離を取り、モラハラをエスカレートさせないための対策をするしかない!
もし、本人がモラハラを自覚することができ、さらに「モラハラを治したい」と強く望むのであれば、自己心理学やカウンセリング、DV更生プログラムやグループワークで改善される可能性もあります。
改善されないモラハラ加害者の場合、治そうとするとかえって良くない結果になることも?
モラハラ加害者の原因ともいわれている「自己愛性パーソナリティ障害」は、誇大な自己を掲げて偉そうにふるまう人たちのことです。しかし、この誇大な自己があるおかげで強い「自己否定感」にもペシャンコにならずに済んでいると考えられています。(詳しくはこちらの記事をご覧ください。⇒自己愛は、自己否定感が強く生きづらさを抱えている彼らが病気にならないための防衛反応かもしれない)
つまり、モラハラ加害者は、幼いころのトラウマをモラハラをすることによって感じなくしようとしているとも考えられます。
そのモラハラ加害者にモラハラ加害者だという事実を突きつけ「誇大な自己像」を取り払ってしまうと、抑えていた自己否定感が噴出し、抑うつ状態やうつ病といった別の病になってしまう可能性もあることを知っておかなければなりません。
まとめ
モラハラ被害は、被害者側の働きかけで治すことができないケースも多くあるということを覚えておかなくてはなりません。こういった場合では、被害者が治そうと努力すればするほど「共依存」に陥り、治らないどころか被害が大きくなっていきます。
さらには、元々はコミュニケーションを誤って覚えているだけのタイプであったとしても、年々悪化し、治りにくいタイプへの移行していくとも考えられています。
長年モラハラをやってきている人ほどモラハラは治りにくくなっているということをよく覚えておかなくてはいけません。
それらの人たちを治すことよりも大切なことは、これ以上被害を大きくしないために行動することです。
さらには、どんなタイプのモラハラ加害者であったとしても、
モラハラを治すのは本人である
ということを忘れてはいけません。
努力するのは本人であり、周りはあくまでサポートに留めておかなくてはいけません。本人が自覚なしに、努力する気もないのに「勝手にモラハラが治る」ということはありません!
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