一緒にいると心地よい存在、それがパートナーとの理想の関係ですよね。お互いが支え合い、得意不得意をうまく補いあえるそんな夫婦の形、実現できていますか?
もし、自分の欠点ばかりを相手に埋めてもらおうとパートナーに寄りかかるように生きていたとしたら…?
「相手なしでは生きられない」と思いつつも、実はその関係があなたにとって負担になっているのかもしれません。
支え合う関係ではなく、「お互いに依存しあう」共依存夫婦になっていると危険です。
共依存夫婦に見られる特徴やその原因、対処法をまとめました。
共依存夫婦に見られる特徴とは?
共依存夫婦の特徴①常に行動を一緒にしようとする
愛し合い、恋に溺れている恋人関係を「一心同体のよう」と表現することもあるかもしれません。しかし、いつまでたっても2人で1人の関係を続けようとするのは、不健全な関係と言わざるを得ません。
一緒に居なければ外にも出かけれない、出かけるときにはパートナーにいつも付いていくという傾向がある場合は注意してみましょう。
共依存夫婦の特徴②相手の機嫌を取ったり、気持ちを察するようになる
共依存では、「自分で自分の機嫌を取る」ことができなくなっていきます。不安、苛立ち、悲しみ、心配といった負の感情を相手にぶつけたり、相手に自分のイライラを察してもらい、機嫌を取ってもらおうとするようになります。
あからさまに不機嫌な態度を取り、「どうしたの?」「大丈夫?」という声をかけてもらうことを待ちます。もし、パートナーからの働きかけがなければ「なんで何も言わないんだ!」と怒り出します。
そのため、パートナーは相手の機嫌に敏感になり、小さな気分の変化にも機敏に対応し「空気を読む」ようになっていきます。
共依存夫婦の特徴③相手の気持ちと自分の気持ちの境がなくなる
「好き」や「嫌い」、「嬉しい」「悲しい」といった感情は例え夫婦であろうともお互いが別々の感情を抱くのは当たり前のことです。もちろん、価値観が近い相手と結婚したのならば、友人と比べてパートナーとの方が好き嫌いが似ていたり、同じ気持ちを共有する機会も多くなるかもしれません。しかし、それがより過ぎてしまうこともまた問題です。
共依存では、相手に合わせようとするばっかりに「相手の気持ちをさも自分の気持ちのように錯覚する」ことが起こります。
本当の気持ちは違うのに、「相手に合わせなくては」という深層心理から、自分の気持ちを押し殺しているかもしれません。
共依存夫婦の特徴④相手を過度に束縛する
心理的なつながりよりも、目に見えるもので絆を確認するため、過度なルールや束縛をします。
ひとりで出かけることを禁止したり、親しい友人と会ったり連絡を取ることを禁止したり、どこで何をしているのかを報告させようとしたりします。また、着る服や髪形などの外見、何にお金を使うのかまでコントロールしようとする場合もあります。
共依存夫婦の特徴⑤相手の感情を自分のせいだと思い込む
共依存に陥っていると、世界が狭くなり、まるで世界には二人だけしかいないように錯覚していきます。そのため、お互いがお互いへの影響力が強くなり、相手の感情や気分まで自分の責任であるように思い込むようになります。
相手が怒っているのは、自分が何か悪いことをしたからに違いない
相手が悲しんでいるのは、自分がひどい言葉を言ったからに違いない
共依存では自分の一挙一動が相手を刺激し、怒らせてしまっているのだと本気で思ってしまっています。
共依存夫婦の特徴⑥相手に尽くしすぎる
妻であれば母親のように相手に尽くしすぎる場合、注意が必要です。共依存では、相手に尽くしすぎたり、本来であれば本人が責任を取らなければならないことでも責任を肩代わりすることで、共依存がエスカレートし、抜け出しにくくなります。
共依存夫婦の特徴⑦支配関係にある
共依存では、共にお互いがいなければ成り立たない依存関係にありますが、同じようなタイプの人が共依存に陥っているということは稀で、多くの場合は、支配する側と支配される側で成り立っています。
たとえば、自分のストレスをぶつけ、暴れたり暴言を吐いたりする夫、それを自分の責任だと思い、我慢する妻という関係が出来上がっています。この場合、暴れるほうが支配する側で、我慢するほうが支配される側です。
共依存夫婦の原因は?共依存になりやすい人もいる
正常な関係とはいいがたい共依存。原因は何があるのでしょうか?
共依存の原因①男尊女卑の考え
もともとの価値観に、妻は夫に尽くすべき、嫁いだのであれば婚家先を立てるべき、という考えがあり、それが行き過ぎてしまうことで共依存に嵌ってしまうことがあります。特に、男性だけでなく女性側も男尊女卑の家で育ってきている場合、相手の過度な要求を疑問に持つことなく従ってしまい、エスカレートしていくことがあります。
共依存の原因②人から必要とされたいという心理
人に尽くし「誰かから必要とされている」ことが自尊心を満たすことに繋がります。共依存では、相手から束縛されたり、要求を突き付けられたり、その要求に応えて相手が喜んでくれることで「人から必要とされる」という欲求を満たしてくれます。
誰かから必要とされたいと思っている人ほど、共依存に嵌りやすい傾向があります。
共依存の原因③親からの愛情不足
共依存では、誰かからのゆるぎない愛情が欲しいという気持ちが根本にあります。その原因は、幼少期に得られるはずだった親からの絶対的な愛情をもらえなかったことにあるかもしれません。
幼少期の愛情不足は大きくなってから、不足した愛情を求めようと友人や恋人、パートナーへの要求となって現れます。
共依存の原因④人を信用できない
共依存では、基本的信頼感がない人が、恋人やパートナーを信頼できないばっかりに過度な束縛やルール作りに繋がる場合があります。
異性の友人と会うことや連絡を禁止したり、メールやLINE履歴をチェックする背景には「浮気をするかもしれない」という気持ちがあるからです。
また、「見捨てられるんじゃないか」「裏切られるんじゃないか」という気持ちがあるために相手の行動を監視したり、相手が自分から離れていないかどうかを見るために試し行動をしたりします。
共依存夫婦はどうなる?その恐ろしい末路とは…
子どもへ依存しやすい
共依存夫婦には支配関係がありますが、この支配関係は子どもにも及ぶこともあります。いずれの親も子どもに対して支配する側となり、子どもの人生にあれこれと口を出すようになります。
きびしい門限を定めたり、子どもの進路を勝手に決めたり、子どもの交際関係を制限させるなどします。
本人は、「子どものためを思って」「私がいないと子どもは何もできないから」と言いますが、やっていることは支配と変わりません。子どもの自立を妨げます。
心の病気になったり、共倒れになる
共依存では、相手がいることによって心の平穏が保たれているかのように思われますが、実は寄りかかる相手がいることでどんどんと自立する心がなくなり、結果的に人としてダメな方向に進んでいくことになります。
自分で立たない人の筋肉はどんどん弱くなって、次第に自立できなくなるのと同じです。
誰かに何かをやってもらおうとするのは、自分でやるよりもストレスがかかります。思い通りにいかないこともありますし、すぐにやってほしいことをすぐにやってもらえないこともあるでしょう。
人に寄りかかっている支配側は、無自覚のうちに自立していれば受けなくてもいいストレスを受けています。
さらには、自立が困難になった後、寄りかかっている相手に逃げられたらどうなるでしょうか?ひとりで立てない人間が生きていくのは困難を伴います。そこで、どうしても相手を逃がしてはいけないと相手にしがみつきます。
「もし見捨てられたら…」という不安を強めていくことになります。
また、支配されている側は常に支配が分から寄っかかられて、いつも支え続けなくてはいけないというストレスやプレッシャーを受け続けています。
寄りかかるほうも寄りかかられる方も、余計なストレスを抱え生きているため、心の病気にかかりやすくなります。どちらかがつぶれると共倒れになることもあります。
人生が台無しになる可能性も
共依存では、支配する側は支配される側がいることで、本当はできもしないことや責任も取れないことをできると勘違いし、思いがけないことをしでかしてしまうこともあります。
ときに犯罪行為に繋がることもあります。
共依存では、加速度的に悪い方向に転がり落ちてしまい、人生が台無しになる可能性もあることを覚えておかなくてはいけません。
共依存から抜け出すためには?
精神的に自立する環境を整える
「相手がいなければ何もできない」
それは思い込みにすぎないかもしれません。
依存を抜け出す第一歩は、「依存している相手のいない環境で、自分1人でもやっていけるという自信をつけること」です。そのためには、依存相手との距離を取ったり、依存相手のいない環境(職場など)での生活を送ってみることです。依存相手のいない場所で、他の誰かに頼ることも悪いことではありません。ただ一人に強く依存する、それが問題なのです。
成功体験を重ねていけば、依存相手がいなくても生きていけるという自信がつくでしょう。
相手がそばにいる限り、依存状態は続いてしまうので、思い切って離れてみることが大切です。
自分1人で過ごす時間を作る
共依存に陥っていると、「相手がすべて」という価値観になってしまっています。そこから脱却するためには、自分を見つめ直したり、好きなことをして楽しむひとりの時間を持つことです。
自分が何が好きなのかを再確認したり、どう感じるか、どういう人間なのかを「相手抜き」で見つめ直してみてください。本当の自分を失いかけているときの解決の糸口になるでしょう。
出来ないこと、やってはいけないことに「NO」を突きつける
共依存では、責任を取らなくてもいい、(命令したら)他の人がやったことだ、のように自らの責任を放棄し、そのために大きなことをしでかしてしまうことがあります。
そうならないためにも、できないことややってはいけないことには勇気を出して「NO」を突きつけましょう。
おおよそ口ばっかりで、できもしないことを吹聴しているだけの可能性もあります。責任を取らなくてはいけないと分かれば尻込みし、逃げ出すかもしれません。
ハッキリと「NO」ということは、迷惑行為や犯罪を止めるためにも必要なことです。
夫婦でカウンセリングを受ける
自分たちだけでは解決が難しい場合、第三者の意見を取り入れることも重要です。クリニックによっては夫婦カウンセリングを行っているところもあります。カウンセラーから適切なアドバイスをもらい、夫婦関係改善に役立ててみましょう。
ただし、関係改善の大前提は「お互いが改善を望んでいる」ということです。一方だけが改善を求めていたとしても、もう一方が変わることを良しとしていない場合は、関係が良くなることはないでしょう。
まとめ
自分にとって大切な人と依存は違います。依存している人間関係は悪い方に転がっていくことが多く、結果的に人間関係をも壊してしまうことがあります。
そうなる前に、依存から脱却し、自立できるのがベターです。
特に子どもがいる場合は、子どもも依存体質になったり、将来の配偶者との間に問題が生じることにもつながりかねません。早めの解決の一歩を踏み出しましょう。
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