自己愛性パーソナリティ障害(モラハラ)は鏡を見るのが嫌い?

自己愛性パーソナリティ障害(モラハラ)は鏡を見るのが嫌い?

自己愛性パーソナリティ障害は、しばしば「ナルシスト」とも言われることがあります。

ナルシストと聞くとどんな人物を想像しますか?ナルシストはいつも鏡を見て自分の顔が大好きで、自分自身を誰よりも優れていると思い、自己陶酔に浸る、それがナルシストのイメージではないでしょうか?

もちろん、夫はそんな人物ではありませんでした。

実は自己愛性パーソナリティ障害(ナルシスト)は、鏡を見るのが他の人よりも嫌いであるという傾向があるそうです。

そしてそのことが、自己愛性パーソナリティ障害を治りにくくしている原因でもあるのです。

目次

なぜ自己愛性パーソナリティ障害の人は鏡を見るのが嫌いなのか?

オーストリアで行われた実験です。600人の被験者にナルシシスティック・パーソナリティテストを使ってナルシシズム傾向を調べました。その中でナルシシズム傾向が高い人と21人と、ナルシシズム傾向が低い22人を無差別に選び出し、「自分自身の写真」「親しい友人の写真」「知らない人の写真」を見せて脳の働きを調べました。

すると、ナルシシズム傾向の高い人は「自分自身の写真」を見たときに「ネガティブ」や「葛藤」の反応を示したそうです。つまりナルシストな人ほど、自分の姿を見ることが嫌いだったのですね。実験の結果は、私たちが考えているナルシストのイメージとは真逆だったのです。

ナルシストの人は、ネガティブな自分に苦しんでいる可能性があります。もしかすると、現実の自分を受け入れることができないあまりに、理想化した自分を本物であると思い込もうとした行動の結果がナルシストなのかもしれません。

自分の顔を見ない人は自分の顔のいい点や欠点を正しく分からない

ある時鏡を見て、こんなところにシミができてしまったと気づくことがあります。また、大泣きをした翌朝は目が腫れていることもあります。自分の顔の悪い状態は、鏡を見て気づくでしょう。反対に、今日は肌の調子がいいなというときや、顔色がいいことも鏡を見て気づくことが多いものです。鏡を見ることは自分の状態を正しく把握することにつながります。もし、シミを発見してしまったときは、シミを消すクリームを使ってみたり、目が腫れていると思ったら冷やして腫れを少しでも良くしようとすることができます。自分の状態を正しく知ることで、改善のための行動を取ることもできるわけです。

しかし、鏡を見るのが嫌いな自己愛性パーソナリティ障害の人は、自分自身を正しく把握することができません。

そのため本当の自分からかけ離れた「理想化された自己イメージ」を作り出します。

モラハラをしている人が自分がモラハラをしていることが分からないのは、自己ついても鏡を見ることができないからだと考えられます。彼らは本当の自分に対して強い自己否定を抱えており、ネガティブな自己像を見ることには強い恐怖や否定が伴います。自分が壊れないように防衛機制を働かせ、等身大の自己像は見ようとしません。空想の自己イメージだけを見ています。それは、本人にとって都合のいい「理想の自分」です。彼らのイメージの中では彼ら自身はモラハラなどするはずがない人物だと思っているのです。そしてモラハラをする自分は「否認」して、なかったことにします。しかし、モラハラをしていることに気づけないために、改善するための行動もとることができないのです。

私の友人が「自分がモラハラをしているのでは?」と思ったのは、兄弟が父親と同じモラハラ行為をしていることに気づいたことがきっかけでした。この場合、兄弟の存在が自分の鏡としての役割を果たし、正しい自己像を見つめることができたといえます。

自己愛性パーソナリティ障害の人は本当の自分が好きになれない体験をしている

この実験から自己愛性パーソナリティ障害の人は、かえって本当の自分が好きではないということが分かりました。この結果は私にとっては納得のいくものでした。

つまり自己愛性パーソナリティ障害の人の過去には、「自分を好きになれない」体験が必ずあるハズです。自己愛性パーソナリティ障害を生んでしまった原因には、「高い理想を押し付けられた経験」や「見放された経験」「本来の自分を認めてもらえなかった経験」があるのかもしれません。

さらに多くの自己愛性パーソナリティ障害の人の幼少期は、「親から見ていい子」であったと言われています。

私が、夫から「モノ」のように扱われていたワケ

自己愛性パーソナリティ障害の人は、「自分が人間であるという体験がない、もしくは少ない」という医師による分析もあります。

人間的な体験がないと脳の働きも原始的な部分ばかりが活発になり、顔つきからも人間らしさがなくなるそうです。

夫はいつも瞬発的に怒り出していましたが、その時の表情が今でも忘れません。怒った時の夫の表情は目をぎょろりとむき出して、顔を真っ赤にしていました。体は背中を丸め、肩を怒らせて、呼吸は荒くハァハァと息をしていました。その時の夫は全く人間らしさがなく、まるで動物のよう、鬼のようだと思っていました。

他人から人間的な扱いをされていなかった人からは人間らしさがなくなってしまうなんて悲しいことです。そして、モラハラを受け続けた結果、自分自身もそういう人間になっていたかもしれないと今になって思います。

自己愛性パーソナリティ障害にとっての鏡になるものは?

白雪姫に出てくる継母は、「鏡よ鏡、世界で一番美しいのはだあれ?」と鏡に聞きます。鏡から「それはあなたです」と言われれば喜び満足しますが、「それは白雪姫です」と言われれば激怒し、求めていた答えを言わなかった鏡を割ってしまいました。

自己愛性パーソナリティ障害の人は、自らを正しく映す鏡を見ることを嫌がります。もしそれを、「あなたの本当の姿ですよ」と言ってくる鏡があれば割ってしまいます。

彼らは鏡に映った自己像は自分のものとして認識できないため、その役割を他人に求めます。これを心理学用語で「投影」と言います。自分の悪い部分は、人の悪い部分だと誤って認識しているので、しつこく他人のほうを正そうとします。本当は鏡に映った自分に向かって「お前はおかしい!」「お前が変わるべきだ!」と叫んでいることになりますが、本人はそのことに気が付けません。

モラハラ加害者に鏡を見せることでモラハラを防ぐことができる?

ある人は、モラハラ加害者がモラハラ行為をしているところを撮影して本人に見せたところ、モラハラ行為が止んだそうです。その時加害者であった人は、「まさか自分がこんな行動をしていただなんて」ととてもショックな様子だったそうです。自分がモラハラをしている様子を見たことで、「投影」が強制的に取り払われたのかもしれません。

私自身はこの方法を試したことはないので、効果があるのか、また逆効果にならないかについては保証ができません。もしモラハラ加害者に一矢報いたい場合はリスクを分かった上で試してみるのもいいかもしれません。

※効果は保証できませんのでお気を付けください。モラハラが悪化する可能性もあります。

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