夫に何を言っても暴言で返される。返事の代わりに、ため息や舌打ちをされる。長期間無視される。私だけ守らないといけないルールがある、生活費をもらえないなど、家庭で行われるモラハラも多種にわたります。
どんな行為がモラハラに当たるのでしょうか?
もしかしてこれはモラハラ?と思った人にぜひ読んでもらいたいモラハラの具体例と正しい対処法をまとめました。
なぜ家庭内でモラハラが行われるの?
モラハラは近いものに対して行われる可能性がもっとも高いといわれています。そのため、一緒にいる時間が長い相手がターゲットになりやすいのです。
また、モラハラが行われるのは特定の場所、特定の人しかいない空間に限られます。そのため、家庭内という密室は、モラハラ加害者がモラハラをしやすい場所だとも言えます。
家庭内モラハラの具体例は?家庭内モラハラ7選
1.突然切れる、突然無視する
モラハラ行為のなかで多いものとして、沸騰湯沸かし器のように、ある瞬間から突然怒り出し、モラハラが始まるといったことです。
たとえば、「ゴミを出し忘れている」とか「冷蔵庫のドアが開けっぱなしだった」というような些細なミスから火が付き、長時間の怒りに変わります。
もちろん、ミスがあったことで怒っているのは分かるのですが、それでも違和感が拭い去れないのは、「ミスに対してあまりにも怒りが大きすぎるから」です。
2.怒りにルールがない
また、その規則性もなく、ある時は同じミスをしても怒られなかったのに、他のある時には激しく怒られるということがあります。モラハラ加害者の怒りには、基本的に規則性がありません。
たとえば、ある時はトイレットペーパーの補充を忘れていても「このくらいのことは俺でもできる」と笑って流していたのにもかかわらず、別のときには「トイレットペーパーを補充するという簡単なこともできないのか!どういう育てられ方をしたんだ!お前はおかしい!」と強く怒りだす、といったことです。
このように時と場合によって激しく怒ったり、また全く怒らなかったりするのには理由があります。モラハラ加害者は、目の前のできごとに対して怒っているわけではないからです。
モラハラ加害者たちの怒り方には心理学でいう「投影」という心の働きが関係しています。投影とは、自分の中で認めたくない事実を、他の人にぶつけたり押し付けたりすることで心を守ろうとするメカニズムのことです。
モラハラ加害者たちは、被害者の些細なミスに怒っているように見えますが、実際は彼らの抱えている別の問題に対して怒りをため込んでおり、それを「投影」によって別の(人の)問題にすり替えて、怒りやストレスを発散しているのです。
そのため、些細なミスににつかわないほど怒ることができます。
多くのモラハラ加害者たちは怒りをため込みやすく、その怒りを適切に発散する方法を知りません。心を守るために、非のない人に向け「モラハラ」という形でガス抜きをしています。
モラハラでは、
①怒りが出来事に対して似つかわしくないほど大きく、激しく、長時間にわたって続く
②怒りのルールが不規則で相手の怒りを把握することができない
この2つに当てはまっていたら、まず間違いなくモラハラを受けています。
怒り方は、(1時間などの)長時間の説教や暴言、人格否定、物に当たる、物を壊す、舌打ちをする、大きな音を立てる、無視するといったことです。怒り方はモラハラ加害者によって千差万別ですので、怒り方よりもその「程度(大きすぎる、長すぎる)」と「不規則(怒りにルールがない)」でモラハラかどうかを判断するといいでしょう。
仮に、口調が穏やかだからと言ってモラハラではないとは限りません。
3.お金を渡さない
モラハラ加害者たちは、基本的に結果主義で、「成功」しか認めることができません。いい成果を得られなければ、それまでの経緯や努力は無かったことにします。そのため、社会的には成功している人が多く、大企業に勤めていたり、出世していることも少なくありません。
この価値観の背景には、「成功しなければ自分を認められてこなかった」ことが関係しています。愛情がもらえるのは、いい成績を収めたり、試合に勝つといった成功したときにだけで、反対に失敗した時には自分の存在までも強く否定されてきた経験があります。
働いたときにその頑張りに応じてもらえる報酬は、「出世」や「給料」です。そのためモラハラ加害者たちは、「地位」「ブランド」「経済力」といった目に見えるステータスに固執します。
つまり、彼らにとってお金とは、自分の価値そのものでもあります。自分の価値を高めるためだけにお金を使おうとします。
さらには家族が豊かに暮らせることよりも、お金を握り、お金をコントロールできる立場につくことで家族をコントロールしようとします。
妻がお金が足りないといえば、「お前のやりくりが下手なせいだ!」と言ったり、「お金が欲しかったら土下座しろ」と強要したりします。
モラハラをする人は、稼ぎがいいにもかかわらず必要なお金を渡さないなど「経済的DV」をする人が多いといわれています。また、妻が経済力をつけてしまうと家族をコントロールできにくくなるため、妻が働くことを嫌がる傾向にあります。
4.ひどい暴言を言う
人間は誰しも、カッとなった時に思わぬ一言が飛び出してしまうこともあります。しかし、モラハラ加害者は、「つい、カッとなって」ではなく、悪意を持って暴言を突きます。
「人間失格」
「お前は人間のクズだ」
「生きている価値がない」
「死んでしまえ」
「お前なんか家族じゃない」
のような発言をすることがあります。
これらの言葉は、被害者を懲らしめようと「罰」と称して言ったり、相手を弱くしたり、潰すことで上の立場に立とうとするために行われます。
被害者が嫌がる言葉を積極的に使おうとしたり、「言わないで」と言った言葉を繰り返し言うといった特徴があります。
5.嘘をよくつく
モラハラ加害者は、自分の行動を反省することができません。そのため、誰かから追及された時には、自分が反省しなくても済むように事実の方を捻じ曲げます。自分がやったことを他の人がやったことにするなど、結果的には他の人を貶めるような嘘をつくことがあります。
また、人の手柄を横取りするために、人のいい行いを自分がやったことにすることもあります。
たとえば、毎日夕飯を用意されているのにもかかわらず、あえてそれを食べずにカップラーメンで済ますなどし、周囲には、「妻が家事を全くしない、疲れて帰ってきているのにご飯がないからカップ麺だった」と嘘をつきます。他にも妻が作っているお弁当を「自分で作っている」と言ったり、さらには家族の分まで作っていることにしたりします。
他にも、人に対して誠実に生きようという意思が弱く、つかなくてもいい嘘をサラッとつくこともあります。そのため、嘘の回数が多いという特徴もあります。
嘘で自分の非を無かったことにし、決して反省することはありません。
6.人との縁を切らせようとする
モラハラ加害者は、妻や家族からの興味関心をすべて集めなくては気が済みません。「自分だけを見てほしい」と思いが強く、家族の中心にいなければ腹を立てます。
自分の言うことがすべてで、それに従う妻や家族が理想の家族です。家族に対し、社会との縁を切らせ、自分だけの関係を大切にするように仕向けます。
「俺の家に入ったのだから、実家とは縁を切れ」
「友達と家族とどっちが大切なんだ」
「母親の自覚を持て!家族を大切にしろ!」
「家のことを疎かにするなら仕事を辞めろ」
という言葉で家族の社会的なつながりを制限しようとします。
7.他人を巻き込む
妻や家族を責めるときに、友人や知人、親族などを巻き込むのもモラハラ加害者の使う手口です。
たとえば、
- 夫婦喧嘩に義両親が介入してくる
- 夫の親族から説教の電話がかかってくる
- 友人や知人の前で罵倒される
- 他の人が悪口を言っていたと伝聞する
と言ったことが行われます。
他にも、真実かどうかは分かりませんが「○○もお前のことが嫌いだと言っていた!」「○○もお前がおかしいと言っていた!」と他人の意見を味方につけるような発言をします。1対1で対等に人と向き合う気がなく、多対一の構図を作り上げ、自分に有利なようにしたり、数の力で負かそうとします。
また「○○さんがお前の悪口を言っていたぞ」と悪口を伝聞し、人間関係をこじらせようとすることも特徴の一つです。
家庭内モラハラへの対処法は?
家庭内でのモラハラは、第三者に常に介入してもらうのが難しくもあります。また密室のため、モラハラがエスカレートしやすい環境です。出来るだけ早めにモラハラがエスカレートしないように対策をしていかなくてはいけません。
1.モラハラの証拠を確保する
まず、モラハラ加害者は平気で「そんなことはなかった」と嘘をつきますので、録音しモラハラの証拠を確保することは必ずしておかなくてはいけない対策です。
モラハラが無かったことにされるだけではなく、ひどい場合はあなたが加害者に仕立て上げられる可能性すらあります。
録音、録画で言い逃れができない証拠を確実に作ることは必須と言えるでしょう。
モラハラの証拠を握ったからと言って必ず離婚をしなくてはいけないわけではありません。ただし、「証拠がある」というだけで、次からのモラハラを減らす一定の効果があります。モラハラは本人自身が、自分の行いを反省し治そうとすることはほとんど望めません。その代わりにモラハラが暴露されるかもしれないという怖さから家庭内でのモラハラをやめようとさせることはできます。
2.風通しを良くする
すべてのモラハラ対策に共通していますが、モラハラを隠さない、暴露する姿勢はモラハラ対策としてとても有効です。特に密室で行われる家庭内でのモラハラは、外からは見えにくいため、被害者側が外に向けて被害を発信する行動が求められます。
相手の長時間の説教が始まったら、窓や玄関を開けるなどして、外に声が伝わるようにしたり、外に出る、人が大勢いる場所に移動することも有効です。
我が家の場合は、実際にこの方法で夫のモラハラを一時的に抑えることができました。
3.親や友人、社会とのかかわりをとる
モラハラがエスカレートする背景には、被害者が孤立すること、また孤立したことによりモラハラ加害者の言っていることが正しいと思い込むことが挙げられます。モラハラ被害者がマインドコントロールにかかってしまえば、被害から抜け出すことがより難しい状況へ追い詰められていきます。そうならないためにも、情報が遮断されない、助けを求められる環境づくりが必要です。
モラハラ加害者は周囲との縁を切らせようとしますが、あくまでも「被害者自らが選んだこと」にしようとしてきます。自分が責任を負いたくないからです。
つながりを断ち切るように言われても、モラハラ加害者からの言葉を実行せずに「そのまま」にしておきましょう。
もし、モラハラ加害者が周囲に嘘を吹き込んであなたを孤立させようとしてきたら、1のモラハラの証拠を出し、嘘を暴露しましょう。
4.経済的に自立する
モラハラ加害者は、本当は関わってはいけなかった人物であった可能性もあります。このまま関わり続けるよりも、縁を断ったほうがいい場合もあります。
なにかあった時にすぐに行動に移せるかどうかは、なによりも「お金」があることに左右されます。
経済力がネックになり別居や離婚ができないケースは多くあります。そうならないためにも、仕事や資格、スキルを身につけ、経済的に自立できるように準備を始めましょう。
モラハラにやってはいけないことは?
一方で、モラハラが始まった時にモラハラをエスカレートさせてしまう行為もあります。モラハラ加害者に対してやってはいけないことは何があるのでしょうか?
1.モラハラ加害者の機嫌を取る
モラハラ加害者がモラハラをする原因は「基本的に被害者にはありません」!
なので、被害者が謝罪をしたり、機嫌を取ろうとなだめたり、モラハラ加害者の言うとおりにしたところでモラハラは収まりません。
最悪なことに、モラハラをしたことによって周囲をコントロールできると学べば、モラハラは治るどころかエスカレートしていきます。だからこそ、モラハラ加害者の機嫌を周囲が取るようなことはあってはならないのです。
謝罪、モラハラ加害者の指示の通りにする、なだめる、はNG!
2.気持ちよくモラハラをさせる
モラハラが始まった時に黙っていることはモラハラ加害者に対してNGとも言い切れません。
しかし、黙ってモラハラ加害者の説教を聞き続けたり、モラハラ加害者のそばに居続けることは危険です。
モラハラ加害者は、モラハラをしているときに周囲の人間がそばにいてくれたり、話を聞いてくれたり、話題を変えないこと、うなづいてくれるといった反応を自分のしていることに対して「肯定的」に思ってくれていると受け取ります。つまり、「モラハラが間違っていないことだ」とあなたからお墨付きをもらったと思っているのです。
モラハラはしてはいけないことだと分からせるためには、モラハラをしているときには、態度で「NO」を出すことです。
- 目を合わせることは、相手の話を聞こうとする意志があることを示してしまいます。→目を合わせずにそらしましょう。
- そばに居続けることも良くありません。→部屋を移動する、外に出るなどして離れましょう。もし、移動することが難しければ、相手に対して背を向ける、顔をそらす、距離を取り続けましょう。
モラハラをしない人間が多い環境では、モラハラが始まったら「笑う」ことも有効な手です。
まとめ
モラハラ対策には、脅しに屈しない、相手の言うとおりにしないなどの対策も有効です。しかし、この対策はモラハラ加害者に対抗しなくてはいけないので、できる人とできない人がいます。マインドコントロールを受けて入ればまず間違いなくできません。
モラハラ加害者への対応を変えようとしても、「出来ずに終わってしまう」ケースは多く、モラハラ被害が長いこと続く原因になってしまいます。そのためには、自分自身と周囲の関係づくりや、自分の経済的な基盤を作るなど「モラハラ加害者」と切り離したところでの対策が現実的です。
もし可能であれば、モラハラをエスカレートさせない態度もとれるとなお良いでしょう。
参考までに、モラハラ加害者が苦手なタイプの人の特徴を載せておきます。こういう人になれるようであれば、モラハラ加害者から避けてもらいやすくなり、被害も遠のくでしょう。
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