何とか分かってもらおうと、言葉を尽くして相手に気持ちを伝えたり、解決策を探すために話し合おうとすること。
これは人間関係においては物事を解決する基本ですが、残念ながらモラハラ加害者には通用しません。モラハラ加害者との話し合いでは、話の論点をずらされたり、ちょっとした言葉の揚げ足を取られたり、罵倒されたり、傷つけられたりします。
まともな話し合いにはなりません。
さらには、あなたが話した言葉の綾をとり、それについて謝罪をさせようとしたり、あなたに非があるとでっち上げてあなたへの制限やルールを課すということもします。
モラハラ加害者と話し合いをしてしまうと、結果、
物事が解決しないばかりではなく、
あなたが我慢することをさらに強いられるなど物事はさらに悪い方へとエスカレートします。
モラハラ加害者とは、話し合いは成立しません。そして、決して話し合おうとしてはいけません。
なぜ話し合ってはいけないのか。
その理由をお話します。
1.モラハラ夫に話が通じないのはなぜ?
あなたは夫と話し合いをしているとき、話し合いをしたいと思ったときに、次のようなことを経験したことがありませんか?
- 話し合いをしたいはずなのに、怒鳴られたり、こちらも大声を出してしまうことがある
- いつの間にか本来の主題から逸れた話にすり替わっている
- どんなに時間をかけても解決できない
- 相手に避けられて話し合いができない
モラハラ夫と話し合うことは多くの場合非常に難しいと考えられます。なぜなら、モラハラ夫は話し合いをする必要がないと感じているからです。
話し合いが成立するのは、お互いが「解決したい」気持ちがあるときだけ
家庭内、友人内、職場内など、人間関係でトラブルがあった場合はまず、双方の話し合いが必要になります。
お互いの言い分を言い、相手の言い分を聞くことで状況を違った側面からも判断し、解決方法を提示し、お互いが納得できるように歩み寄っていくことが求められます。
しかし、このような話し合いが成り立つ背景には、双方が「解決したい」と言う気持ちがあるからです。
お互いの目指す先が「解決」という同じゴールであるので、お互いが別々の立ち位置であり、別の価値観を持っていても、同じ場所に向かって歩み寄りを図ることができるのです。
このように、ゴールが同じだからこそ話し合いで解決ができるのであり、そうでなければ決して話し合いは成立しません。
モラハラ加害者が「話し合いがしたい」と言うときは、支配・コントロールが不十分だと感じている時です。 彼らの言う「話し合い」とは、自分の言うことをもっとよく聞くように、被害者に立場を分からせる、しつけし直すことをいいます。
2.モラハラ加害者と話し合ってはいけない理由
理由①モラハラ加害者は「解決」を望んでいない
モラハラ加害者との話し合いが全くの無意味なのは、モラハラ加害者が「解決」を望んでいないからです。
モラハラ加害者が望んでいるのは、相手からいかに搾取できるかということだけです。
搾取する相手の言い分を聞く気はありません。
自分が気持ち良ければそれでよく、相手の気持ちなど全く関係ないのです。
彼らとの話し合いは基本的に、
- 論点のすり替え
- 揚げ足取り
- 屁理屈
でできています。別のことに話を変えられていることに気が付かなくてはいけません。
モラハラ加害者が話し合いで求めているのは、いかに相手を屈服させて自分の言い分を飲ませるかどうかです。
自分が譲って物事を解決しようという気はありませんので、屁理屈をこねてでも自分の正当性を主張し、自分が100%正しいことにします。
モラハラ被害者の言い分はすべて間違っているので、自分にあわせるのが正しいとモラハラ被害者の性格の問題点を挙げて、人格攻撃をしてきます。
話し合いは物事を解決することからどんどん離れて行って、罵倒や暴言に変わります。相手を屈服させるために、相手に対してひどい言葉を吐きます。「お前がバカだから分からないんだ!」「まともな教育を受けてきたのか?」「どうしてそんなに理解力がないんだ!」と言って、自分の意見を聞き入れないのは、相手がバカだからだとし、反論を防ごうとします。次第に被害者は話し合いをしようとする意欲がなくなります。
被害者が黙ったら「自分の言うことをききいれた」「言い負かした」と思い、満足するのです。
ケンカにならないよういくら冷静に話し合おうとしても、無駄です。モラハラ加害者は折衷案すら聞き入れる気はありません。
理由②話し合いをすると傷つく
こうしてモラハラ加害者はすべての問題はモラハラ被害者の中にあることにして、被害者に全責任を押し付ける言い方をします。
例えば、子どもが学校で友人関係とトラブルがあった場合でも、
「お前がそんなんだから子どもがちゃんとした友人関係をつくることができないんだぞ」のように話すのです。
子どもが言うことをきかないければ、
「お前がダメな母親だからなめられているんだ」と言います。
話し合いをして問題を解決しようとしても、相手からの人格攻撃を受けるだけです。
問題が解決しないばかりか、話したことによって被害者は傷つきます。
問題が被害者のせいではないことでも、すべて被害者の性格や人格の責任になってしまうのです。
理由③モラハラ加害者に弱点を知られてしまう
モラハラ加害者は被害者に言うことを聞かせるために巧妙に被害者の弱点を突いてきます。そのため、被害者の弱点がなんであるかを知ろうとしてきます。
話し合いの際にモラハラ加害者が言った一言に傷つくと、モラハラ加害者はそれが被害者の弱点であると学習し、言うことを聞かせたいときはその弱点を突けばいいと何度も口に出すようになります。
たとえば、「母親失格」という言葉に傷つくということがわかれば、ことあるごとに「母親失格」というようになるのです。そうすれば、被害者が黙ることを知っているからです。
「こういうことは傷つくからやめてほしい」と言ったことこそ、何度も繰り返してやるのがモラハラ加害者です。そして次第に、モラハラ行為がエスカレートしていきます。
モラハラ加害者に弱点を知られてしまうと、弱点を執拗に攻撃され、さらに被害者は傷つき苦しめられることになってしまいます。
理由④モラハラがエスカレートする可能性がある
話し合いをすることでモラハラ行為がエスカレートすることも考えられます。
モラハラ加害者は、被害者を屈服させていくうちに、それが気持ちいいと感じるようになります。被害者に言うことをきかせたことで、支配欲が満たされるためです。
そして、モラハラ加害者は次第に「モラハラ行為をしたときに快楽を感じる」ようになるのです。この時にモラハラ加害者の脳からは、モラハラをすると快楽物質が分泌されるようになります。
こういったことを繰り返ししていくうちにモラハラ加害者は「快楽を感じる」ためにモラハラをするようになっていくのです。
そして、同じ刺激では次第に快楽を感じなくなるため、強い刺激を求めてモラハラをエスカレートさせていきます。
理由⑤モラハラ加害者は「言い負かせる相手」を見分けている
モラハラ加害者は、相手を選んでモラハラをしているということをこのサイトでも何度かお伝えしてきました。モラハラ加害者が、話し合いの場でモラハラをするとき、それは相手が「言い負かせる相手」だと思っているからです。
反対に、強く言い返されたり、弁の立つ相手にはしり込みをし、最初から話し合いをしようとはしません。自分が負ける相手とは勝負をしないのが、彼らの基本です。
相手をよく観察し、相手の性格を見抜いている彼らは、誰に対して攻撃をすれば言い負かせるかをよく分かっています。そして、話を捻じ曲げたり、屁理屈をこねたり、大きな声を出しさえすればいいとも思っているのです。
理由⑥話し合いを拒否する
もしモラハラ被害者が100%モラハラ加害者の言い分を飲まないのであれば、そもそも話し合いをさせないようにあらゆる手段を使ってきます。
- 大声や大きな音を出して威嚇する
- 長時間無視をする
- 大勢で怒鳴りつける
- 寝込んだり仮病を使う
などの行動で話し合いを拒否します。
そうすれば問題はうやむやにされ、結局モラハラ加害者の今まで通りの行為がまかり通るからです。改善をする気もなければ、「努力する」とさえも言いません。不誠実なモラハラ加害者は、相手から逃げれば問題がなくなる(もしくは、相手だけが解決の努力をしてくれる)と思っています。
モラハラ被害者は結局は根負けし、自分だけが我慢する生活がまた始まります。
3.モラハラへの適切な対応とは?
このような理由からモラハラ加害者とは話し合いをしてはいけません。
では、モラハラ加害者に対しては、話し合い以外でどのような対処をすればいいのでしょうか?
3-1.決まったことだけを報告する
しかし、モラハラ加害者はプライドが高いばかりに報告をされないことに激怒します。
家庭や職場で自分だけが知らないことがあるとのけ者にされたと思い、被害者ぶって人を攻撃します。
家庭内のことが相談できないのはモラハラ加害者の態度のせいであるのに、自分の態度は平気で棚に上げて攻撃してくるのです。
相談すれば、
「そうなったのはお前にも責任があるのではないか」
「お前はどんなことも1人で決められないのか」
と言い、
相談しなければ、
「どんなしつけを受けてきたんだ」
「親の顔が見たい」
「誰に食わせてもらっているんだ!」
と暴言を吐きます。
相談は決してしてはいけません。しかし、無視した、ないがしろにしたと難癖をつけてくる可能性がありますので、報告だけはしておいたほうがいいでしょう。
「こう決まったから」と、決まったことだけを伝えるようにしましょう。
3-2.根回しをして、責任の所在が分からないようにする
そして、決めた責任を被害者に押し付けられないように、先に根回しをしておくといいでしょう。
職場であれば、上の上司にあらかじめ相談し、決定したうえで報告をしてください。そしてモラハラ加害者から何か言われたら「○○さんの許可をもらっています」と言ってください。
家庭内では、両親や親族、友人などにあらかじめ報告をし、同意を得ておくといいでしょう。
3-3.モラハラ加害者が怒り出したら、その場をさっと離れる
モラハラ加害者は、長時間意味のない説教をして、自分がさも賢く偉い立場の人のようにふるまおうとします。なぜなら説教をすることが気持ちよく、説教をしている自分に万能感を感じるからです。被害者はただ無意味で非建設的な話を延々と聞かされるだけです。
そして、モラハラ加害者は、その話を聞いてくれる人を好み、説教を聞く姿勢のある人にさらに積極的にモラハラをぶつけてきます。
もし、モラハラ夫が長々と説教をしてきそうになった場合は、その場をさっと離れましょう。
たとえば、
- 電話がかかってきたふりをする(電話がかかってくるアプリなどを利用してみましょう。)
- 外に出る、大勢の人がいる場所に移動する
- 買い物に出かける
- 冷静に話すために時間を置こうと提案する
- とりあえず、その場を離れる
と言ったことです。
説教を断ち切ったところで、相手は負けじと話を続けてくるでしょう。顔を合わせないようにするか、モラハラができない空間へと移動しましょう。
私の場合ですが、モラハラが始まった時に「外に出る」だけでさっきまで熱弁をふるっていた夫がぴたりと言葉を止めました。きっと、他人に自分のモラハラを聞かれるのが嫌だったのだと思います。
場所が変わるだけでモラハラが治まる可能性があります。逆に言うと、いつまでも同じ場所に居続けたら、延々と意味のない説教を聞かされる羽目になります。
モラハラ加害者は、「自分の話をずっと聞いてくれる人が大好き」で、そういう人を好んでターゲットにします。だからこそ、人に対して誠実な人ほどターゲットにされやすいと言えます。
モラハラ対策では、「相手の話を聞かない」ことはモラハラをエスカレートさせないために有効です。
4.モラハラ加害者が聞き入れてくれないときは?
モラハラ加害者が報告を聞き入れてくれないときは、モラハラ加害者にとって上の立場である人がこう言っていた、大多数の意見である、世間の常識であるように第三者の言葉として伝えるのが効果的です。
例えば、子育てのやり方で衝突したときなどは、
「今はこういうやり方が一般的だ」「保育士さんがこういっていた」「専門書にはこう書いてあった」などというと聞き入れてもらいやすくなります。
また、職場では「○○さん(上司)からの指示です」「お客様からの要望です」のように話しましょう。
5.子どもが被害を受けそうなときは?
家庭内では、モラハラ親と子どもの意見が違う場合、子どもがモラハラ行為の被害に遭います。子どもはまだ自分の意見の理由をうまく説明できない可能性もありますし、大人と子どもでは圧倒的にパワーに差があり、親が言うことを無条件に聞き入れざるを得ないときもあります。
子どもがモラハラにさらされそうなときは、非モラハラ親として、盾になってあげることが必要です。
他にも、モラハラ加害者の言っていることが「正しく」ないことを子どもにも教えてあげてください。たとえば子どもの人格を否定したり、子どもの欠点をあげつらうような行為を見かけたときには、子どもの人格を認めてあげ、欠点をあげつらう行為が良くないと言うことです。
子どもは悪意のある言葉に脆く、それが本当のことでなかったとしても傷つき受け止めて、人格や人生にまで大きな悪影響をもたらします。またその時に傷ついた気持ちが人格を変容させ、将来モラハラ加害者へと成長してしまう可能性もあります。
子どもの被害は、一番見過ごしてはならないことです。あなた一人で守れない場合は、周りの人や相談機関を頼りましょう。
まとめ
モラハラ加害者とは対等な立場を築き上げる努力をしてはいけません。あたたかく、安らぎのある人間関係を築くことは不可能だということを覚えておかなくてはいけません。
モラハラ加害者にはモラハラの特性を分かった上での対応が必要となります。
感情を出さず、事務的に、一定の距離を取った対応をしましょう。
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