モラハラ夫は、本当はとても弱い人ですが彼ら自身は自分の弱さを認めることができません。自分を過度に守るためにモラハラをするとき、彼らの弱点がその場面に隠されています。
あなたのモラハラ夫がモラハラをするのはどういうときですか?その場面を思い起こしてください。
モラハラをする場面に彼らの「弱点」が隠れている!
モラハラをするとき、それは、幼いときに親からモラハラを受けていたのと同じ場面で主に発動すると考えられます。モラハラ夫は、幼い時に受けたモラハラがトラウマになっています。同じような場面に置かれると、過去のトラウマが呼び起こされることでモラハラ発動するトリガーが引かれ、特定の場面で「モラハラ」が出てくるのです。
私の元夫の場合は、次の2つの場面において、モラハラを発動していました。
- 私が自己主張した時
- 私と夫の価値観が食い違ったとき
この二つのときに、おそらく夫は親からモラハラを受けてきており、トラウマになっていたのだと思います。
子どもに対しては、
- 子どもが粗相をしたとき、失敗するなどしたとき
にモラハラをしていました。親からの期待度が高く、失敗が許されなかった過去がありそれがトラウマだったのかもしれません。
モラハラ夫の弱点やコンプレックスがあるときに、その脅威から身を守ろうとしてモラハラが出てくるということを覚えておいてください。
特定の場面でモラハラが発動されるのであれば、その場面が「モラハラ夫にとっての弱点(コンプレックス)」である。
特に、モラハラ加害者は、相手からの「NO」を受け取れない人が多いと考えられており、相手から拒絶されたと感じたときに高い攻撃性をあらわにすると考えられます。
モラハラ夫のよくある弱点
自分が受けてきたモラハラの種類によって、モラハラ夫の弱点はちょっとずつ違います。しかし、多くの場合は毒親やモラハラ親は共通の行動を取るため、同じようなモラハラを受けて育っている場合があります。
モラハラ夫によく見られる弱点についてまとめました。
弱点①自分から人が離れて「孤立化する」
モラハラをする人の中には、人から賞賛されなくては生きてはいけない「自己愛性パーソナリティ障害」の人が一定数います。彼らは、全能の神のようにふるまってはいますが、そうしなければ強い自己否定感にぺちゃんこにされてしまうためです。誇大な自己感覚は自分が無防備になることを防いでいると考えられます。
彼らは、孤独や孤立していくことで思うように周囲からの注目や賞賛を集めることができなくなることを恐れています。
妻から「別居」や「離婚」を切り出されると慌てたかのように態度が一変するのもそのためです。
弱点②下克上を受け、自分の立場が奪われること
傲慢なモラハラ夫は、自分を他人よりも偉い特別な存在だと思い込んでいます。自分は人を導く立場であり、そうすることで人から感謝されて当然だと思っています。
彼らは人を見下し偉ぶります。しかしその立場が「実を伴わないかりそめのもの」であるため、下に見ているものから突然下克上を受け、自分の立場が脅かされることに怯えています。
彼らが上に立っているのは「能力が高いから」でも「人より優れているから」でもありません。ただ単に「偉ぶって力があるように見せかけているから」です。
自分の無能さがバレて、上の立場から引きずり降ろされることが最も怖いことの1つです。
そのため、積極的に周囲を蹴落とそうとしますし、上の人に媚び入り、優遇されるための努力を欠かしません。
また人への嫉妬がすさまじく、周りに成功者がいれば悪口を言ったり、嫌がらせをするなどして足を引っ張ります。
彼らのモラハラの原因には、「自分の立場が危うくなる危機感」から来ていることも多いのです。
弱点③失敗を非難されること
モラハラ加害者たちは、幼いころから親や周囲に好かれるためには、「優れた自分」でなくてはいけませんでした。
条件付きの愛情しかもらえず、親の言うとおりに成功を収めれば認めてもらえますが、出来が悪ければ蔑まれ、否定されてきました。
彼らにとって、愛情と言うのは優れたものだけがもらえる特権のようなものです。だからこそ、「優れた自分」に固執します。
もしここで、人から失敗を非難されたらどうなるでしょうか?
彼らにとって失敗を非難されるということは、「優れた自分」を奪われることです。「優れた自分」しか愛されないので、愛情も同時に奪われると考えるのです。
失敗が非難されるとき、彼らにとっては「誰からも愛されないみじめな自分」と言うレッテルを貼られることと同じです。
そのため、非難されると分かると「何としてでも自分を守らなくてはいけない」と自己防衛が働き攻撃的になります。
非難されると分かるととたんに激怒しモラハラが始まるのはこのためです。
弱点④かりそめの姿が嘘であることを暴かれること
自己愛性パーソナリティ障害の人は、「自分はすごいんだ!」という万能感を持っています。幼いころから否定、抑圧されてきたため、その反動として「本当の自分はこんなんじゃない」「もっとすごいことができる」と考えるようになったためです。この思い込みがあるからこそ、かれらは自己否定につぶされずにいられるのです。
自己愛性パーソナリティ障害の研究をしていたマスターソンも、自己愛性パーソナリティ障害の人たちはこの誇大な自己のおかげで抑うつにならずに済んでいると考えていました。
つまり誇大な自己は自己否定から身を護るために役に立っているのです。
もし、この思い込みが誰かの働きかけによって嘘だと暴かれてしまったらどうなるでしょうか?
身を護るための盾は無くなり、そのまま強い自己否定に押しつぶされてしまうでしょう。
それを分かっているからこそ、モラハラ夫は「それは嘘じゃないか」「本当は違うでしょう」と言ってくる人を避ける傾向にあります。
弱点⑤自分がしたことの責任を取らされること
モラハラをする人は、無責任であると言われていますが、その原因に「解決能力が極端に低い」ことが挙げられます。起こったトラブルをトラブルは基本的に解決されないまま放置されるか、自分より弱いものにその責任を押し付けて、代わりに解決させようとします。
彼らが解決能力が低い原因として顕著なものは、幼少期から問題解決方法を親から教えてもらってこなかったことが挙げられます。また、恥をかかせてくる親に育てられ、失敗をすれば人格まで否定されてきた経験から、失敗を隠そうとします。
年を取るごとに人に責任を負わせる方法が上達していくため、加害者でありながら被害者のふりをすることに長けています。
犯罪を犯して捕まったときでさえ、その責任を取ることではなく自己弁護に徹底するのが彼らのしぐさです。
責任を取らないといけない状況は彼らにとって一番の恐怖の対象です。何がなんでも逃げて行こうとしますが、逃げられないと分かると時にはパニックになって自傷や他害に発展する可能性もあります。
モラハラ夫の弱点がわかったらどうする?
モラハラを受けてきたときに「強い自己否定」を受けたために、そのことがコンプレックスになっています。
彼らが、「自分を否定されるときにモラハラが出る」というのは、目の前のできごとが些細な食い違いであったとしても、幼いころに受けた強い「自己否定」が蘇るため、似たような場面でその自己否定を避けようとモラハラによって自己防衛しようとするためであると考えられます。
つまりは、弱点を触ってしまうと、それが彼らのモラハラを引き起こします。
ここで注意をしなくてはいけないのは、かつてはモラハラを誤ったコミュニケーション手段や自己防衛のために使っていたとしても、それによって「所有欲」「支配欲」が満たされるという経験を積み重ねてしまうと、今度は快楽のためにモラハラをするようになってしまうということです。
これは、悪い意味でのモラハラ加害者の進化です。
こうなってしまうと、モラハラを止めることは容易ではありません。
弱点を刺激し、モラハラを呼び起こして、そのことで妻や家族(その他の被害者)がモラハラ加害者の言うことを聞いてしまうと、次第にモラハラ加害者として悪い方向へと進んでいってしまうのです。
コンプレックスを刺激することで、彼らのモラハラは進化する可能性が高いのです。
ですので、多くの場合結婚生活で相手がモラハラをしたときに相手の言うとおりに振舞うことが繰り返されると、相手はモラハラ加害者として進化していっていると考えたほうが良さそうです。
モラハラが出たときに、モラハラを抑えられたら褒める!
モラハラ夫の操縦の仕方として、「よく褒める」「持ち上げる」ことを推奨しているサイトもあります。しかし、ただ単に「モラハラ夫を褒める」のでは効果はありません。(逆に悪化する可能性もあります。)
なぜなら先ほども述べたように、モラハラ夫たちは、「支配欲」「所有欲」を満たすことでモラハラが悪化していくからです。
褒め続けると、「妻は俺よりも下の存在」と認識を深め、妻のことを自分のアクセサリーや物のように思い込んでいきます。
そのうち、妻が夫を褒めることで、「所有欲」「支配欲」を満たすようになり、「所有欲」「支配欲」を満たしてくれる妻は、夫のモラハラをエスカレートさせていてしまいます。
モラハラ夫を褒めるべき時は、「モラハラが出そうになったときにそれを制御できた時」です。
長年、しみ込んでしまったモラハラが出そうになったけれど、それを抑えられて普通のコミュニケーションができたとき、それを成功体験だと認識させることが必要です。
モラハラ夫の弱点がトリガーとなってモラハラが出そうになったとき、それを抑えることができたら褒めてあげてください。
こうした繰り返しで、正しいコミュニケーションを上書きすることができるようになります。
そうすれば、モラハラは次第にやらなくなっていきます。
※この方法は、モラハラをしている自覚があり、モラハラを止めようと本人が努力をして、モラハラに代わるコミュニケーション手段を身につけようとする人に対して有効です。そもそも本人が自覚をせずに、モラハラを悪いことだと思っていない、俺を怒らせるお前が悪いと思っているような人には無意味です。
モラハラの責任を取らせるときには注意が必要
一方で、彼らが責任から逃げようとしたときは彼らがすでに加害行為をした後のことです。この時には、彼らの責任を見逃してあげることよりも、きちんと責任を取らせ、モラハラが彼ら自身に「悪い結果をもたらす」ことを学習させなければいけません。
しかし、どこまでも逃げようとするモラハラ加害者を追いかけることは、自らモラハラトラブルを追いかけることに他なりませんし、またパニックになった彼らがどんな行動をするのかは予想できません。非常に悪い結果になることもあります。
この段階のモラハラ加害者は、個人でどうこうできるレベルを超えています。法的な責任を取らせるためには、弁護士や専門家に頼り、犯罪行為は、警察などしかるべき機関に任せましょう。
モラハラはどうやって治せるの?
モラハラが治るかどうかは本人に治したいという意思の強さによるところが大きいと考えています。まず、自分が加害者であることを自覚することが難しく、なおかつ治すにも相当の努力が必要です。
治す過程については、以下の記事を参考にしてください。
まとめ
自己心理学の中でも、モラハラ夫の弱点(欠けている自己)は、自己愛の対象を観察することで分かるとしています。
モラハラ夫の弱点を知るというのは、モラハラ夫人が自己防衛のために思わずモラハラをしてしまう機会を減らす(=なくす)ことによって、本人が自分を守らずにもここにいてもいいという環境を整えるということです。そして、モラハラ夫が自分のコミュニケーションを正すためには、防衛をしなくてもいい場所でコミュニケーションを上書きし、成功体験を積んでいくことが必要です。
しかし、モラハラをすることで快楽を感じている場合は、モラハラはどこまでもエスカレートし、悪化していきます。相手を支配することが目的になり、なにがなんでも配偶者に言うことをきかせようと暴力を伴うようになる場合もあります。
なによりもまずは被害者は自分を守ることを優先して考えなくてはいけません。
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