モラハラ夫と別居するときの手順書 黙って出てきても大丈夫?

モラハラ夫と別居するときの手順書 黙って出てきても大丈夫?

モラハラ夫とこれ以上結婚生活を続けられない…!しかし、何の準備もなくいきなり家を飛び出すのは危険です!あなたの命や財産、子どもや今後の生活を守るために、入念に準備をしてから別居をしましょう。

目次

モラハラ夫に別居は有効である!

何度話し合いをしても、何度モラハラをしないと約束させても、結局は繰り返されるモラハラ。残念ながら、そうして最終的に別居や離婚を選択する妻は少なくありません。

しかし、そのことを悲観する必要はありません。モラハラ夫に別居はかなり有効な手段であり、モラハラ夫との共同生活で積もり積もったストレスが一気に解消される手段でもあります。

モラハラ夫から強い支配を受けていた場合は、別居をしなければその洗脳を解くことが難しい場合もあります。

心が病んでしまう前に早めにモラハラ環境から脱出しましょう!

モラハラ夫との別居準備の全手順

1-1.別居前にモラハラの証拠を集めよう!

離婚は、相手が拒めば簡単にはできません。法的に離婚できる理由は決まっていて、該当しなければ離婚ができないからです。別居生活が長ければ、夫婦関係が破綻していると見なされて離婚することができますが、そのためには別居の実績を作らなくてはいけません。

<法的離婚理由>
一 配偶者に不貞な行為があったとき。

二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。

三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。

四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。

五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

(民法第770条)

モラハラの場合は、このうちの5番に当たる「婚姻を継続しがたい重大な事由」に当たります。ひどいモラハラが夫婦関係を破綻させたことの証明をしなくてはいけません。

1-2.証拠がない場合、慰謝料を請求されてしまう可能性も…!

モラハラ夫の場合、妻が出ていったことすら、「身勝手な妻だ」ということにし、自分のモラハラを省みる可能性は低いと言えます。そのため、周囲に「妻が他に男を作って出ていった」「俺は捨てられた」と話すかもしれません。さらには、「勝手に出ていったのだから慰謝料を請求する!」と言われてしまう可能性もあります。

夫婦はお互いにお互いを扶養することを義務付けられています。そのため、一方的にその義務を放棄することは、「慰謝料」が発生する事案に該当します。

身勝手な妻が勝手に出ていったと見なされれば(悪意の遺棄)、法的にも慰謝料を請求することができてしまいます。

1-3.モラハラの証拠は一朝一夕で集まらない!

DVの場合、怪我の写真や病院での診断書などが証拠となりますが、怪我も残らないモラハラの場合、証拠を用意するのは簡単ではありません。

モラハラの証拠になるものは以下のようなものです。

  • モラハラの音声や動画
  • モラハラ被害を記録した日記(半年以上)
  • 第三者の証言
  • 相手からのメールやLINE(暴言や束縛の実態が分かるもの)
  • 警察、配偶者暴力相談支援センターなど公的機関への相談記録
  • 病院やクリニックの診断書

一朝一夕では「離婚理由」として認められるほどの証拠が集められないために、離婚でもめたときに不利になる可能性が出てきます。思い立ったら別居!よりも、確実に証拠を集めてから別居に踏み切るのが良いでしょう。

もし、普段から日記をつけていない、今から半年以上の日記なんてとても無理だ!という人は、公的機関への相談をしましょう。公的機関では、相談記録が残るだけではなく、別居や離婚をするための支援制度や手続きなども教えてもらえます。

別居の足掛かりとなる重要な情報が得られますので、別居前には公的機関に相談されることをオススメしています。

2-1.共有財産の証拠を集めよう!

結婚生活で築いた財産は、たとえ専業主婦であったとしても2分の1はあなたに権利があります。別居をする場合、結婚~別居までの共有財産が財産分与の対象になります。

モラハラ夫の場合、共有財産を隠す人は非常に多いです。そのため、家を出たあとに財産の証拠を確保しようとしてもかなり難しいでしょう。

ましてや自ら正直に財産を開示するなんてことはほとんど夢物語です。

お金は、別居生活を始めるにあたっても必要不可欠なものです。

別居時には必ず共有財産を把握しましょう。

2-2.共有財産に当たるもの

共有財産は以下のものです。結婚生活が始まってから別居に至るまでの期間に発生したものに限ります。独身時代のものや、親から相続した個人の財産はこれには当てはまりません。

  • 現金、預貯金
  • 家や土地などの不動産
  • 自動車・バイクなどの動産
  • 結婚後に買った家財道具
  • 株などの有価証券
  • 生命保険・学資保険
  • 宝飾品・貴金属・骨董品など

このなかで、現金や宝飾品、貴金属などは持ち出すことができますが、不動産はそもそも持ち運びはできませんし、有価証券や各種保険は名義人でなくては各種手続きが行えません。

通帳も、相手がカードや印鑑を管理している場合、現金を引き出すことができません。

持ち出せないものについては、不動産であれば登記簿謄本のコピー、ローンが残っているのであればローン残高が分かる証明書のコピー、自動車やバイクの契約書、保険証券のコピー、通帳のコピーなどを取っておき、それらを持ち出しましょう。

2-3.別居時に半分持ち出すことは罪にはならない

独身時代の預貯金もない専業主婦の場合、別居生活を始めるための資金不足に陥り、すぐに白旗を挙げざるを得ない場合があります。お金がなければ食べ物も買えません。兵糧攻めのようになり、相手からの不平等な離婚条件を飲まなくてはいけなくなる可能性が高まります。

夫婦間では窃盗は刑罰がありません。そのため、お金を持ち出したことで何らかの罪に問われることはありません。しかし、相手が生活に困るほどのお金を持ち出してしまえば、余計な火種を作り、のちの話し合いが難航する可能性があります。

穏便に話し合いをすすめるためにも過度な持ち出しはオススメしません。

ただし、共有財産の半分はあなたに権利がありますので持ち出しても構いません。

2-4.財産が隠されてしまうことも覚えて対策をしておく!

財産は隠されたり処分されてしまう可能性があり、なおかつ相手に現金がない場合は支払ってもらうことが難しくなります。

モラハラ夫の場合、故意に財産を処分し、仕事を辞めるまでして財産を渡さないようにする人もいるようです。

あらかじめ弁護士に相談するなどし、財産処分や財産隠しをされないための対策を聞いておきましょう。

3.離婚不受理届を出す

離婚届というのは、原則、筆跡などを確認するがなく1人でも出せるため、別人がサイン捺印したものでも不備がなければ受理されてしまいます。

別居を始めたとたん、モラハラ夫が勝手に離婚届けを出してしまうかもしれません。しかし、離婚条件の話し合いを終わらせる前に離婚が成立してしまうと、不利な条件を飲まなくてはいけなくなる可能性が高まります。相手が話し合いに応じずに、財産分与や養育費などのお金を一銭ももらえないまま離婚しなくてはいけなくなる可能性さえあります。

これを防ぐためには、別居前に必ず「離婚不受理届」を出しておきましょう。

申請書は市役所にあり、本人確認書類と印鑑を持っていけばその場で書いて出して受理されます。本籍地以外の役所でも受け付けてもらえます。

4.転送届を出す

郵便物を新しい転居先に転送する手続きが「転居届」です。郵便局ではインターネット上からでも手続きができます。

e転居(郵便局公式サイト)

引っ越す前からでも手続きができます。その際は、別居予定日後に転送されるように日にちを設定してください。

5.荷物を送っておく

新居が決まっている場合や実家の了承を得られている場合は、あらかじめ荷物の一部を宅配便などで送っておきましょう。

別居を告げる前ですので、あまり大きな動き方をしてしまうと気づかれてしまう場合があります。引っ越しトラックを使えそうな場合は手続きをしても良いと思いますが、コッソリとやらなくてはいけない場合は、宅配便でコツコツ荷物を送るほうが無難です。

荷物がごそっとなくなっていると気づかれてしまう場合がありますので、

  • 処分したと言っても不審に思われない趣味のものや独身時代のものなどの私物
  • 季節外れの衣類や寝具
  • イベント関連道具(お雛様・兜等)
  • 子どものつくった作品や思い出の品

などは無くなっていてもバレにくいものたちを優先的に送っておきましょう。

6.夫と自分の課税証明書を取る

別居中の生活費についても、収入の多いほうが少ない方へ支払う義務があります。

これを「婚姻費用」と言います。

婚姻費用を請求しても「勝手に出ていったんだから、そんなものは払わない!」と突っぱねられるかもしれません。そこで、婚姻費用請求の調停を起こしましょう。

その時に、夫と自分の収入を証明する書類「所得証明書」もしくは「課税証明書」が必要となります。

課税証明書は別居して住民票を異動してしまうと夫の分を取ることができません。必ず住民票を異動する前(もしくは転出届を出すとき)に請求しておきましょう。

ワンポイントアドバイス!

婚姻費用は、もし離婚の早期決着を望んでいる場合は必ず請求しましょう。なぜなら、別居生活で多額のお金を妻や子どもに支払わなくてはいけないと分かれば、ズルズルと離婚を引き延ばすよりも、すぐに決着をつけたほうが経済的に痛手がないことが相手にもわかるからです。

これは、離婚調停への欠席を繰り返すのを防いだり、裁判まで発展する可能性を下げる効果があります。

7.婚姻費用を請求しよう

6でも書きましたが、婚姻費用は扶養者の義務です。必ず請求しましょう。

婚姻費用は原則、請求した時から支払いの義務が生じます。別居後に長い間請求しなかった場合、その間の婚姻費用は基本的には支払ってもらえません。

別居後にはできるだけ早く婚姻費用請求の調停を申し立てましょう。

8.(子連れの場合)相手から面会交流を求められる可能性がある!事前に条件を考えておこう!

お子さんを連れての別居の場合、多くの場合、夫側から面会交流を求められると考えていいでしょう。

別居中の面会交流の条件は、離婚後も同じような条件になる可能性が高いため、安易に決めてしまうと不利な条件がこの先何年も続くことになります。

面会交流の条件は細かいものまで設定することができますが、大まかに

  • 頻度(月に1回など)
  • 1回の面会時間
  • 監護親(別居後に子どもを育ててる親)の立ち会いの可否
  • 面会中の金銭の負担割合
  • 面会方法(直接会う、電話やメールで連絡を取る、手紙や写真を送るなど)
  • 第三者機関の利用の有無

を決める必要があります。

夫側が出してくる条件が必ずしも子供のためになっているとは限りませんし、よく分からないまま話し合いをすすめてしまうと相手のペースに乗せられ、不利な条件で決着がついてしまう場合もあります。

事前にどういう条件にしたいかを考えておきましょう。

また、面会交流では、相手に子どもを引き渡すのが心配である、夫と顔を合わせるのが怖いと言った場合に面会交流をサポートしてくれる第三者機関があります。実際に私も利用しており、第三者機関の人に取材も行っています。詳しく知りたい方は下記の記事をご覧ください。

9.話し合いが難しそうな場合、調停離婚も視野に

今までの結婚生活の様子から、夫との話し合いは難しそう、夫への恐怖心があり直接話し合いの場に行くことができないと言った場合、はじめから「調停離婚」を視野に入れておきましょう。

もし、夫への恐怖心が強い場合や、調停の場で一人話すことが難しいと感じる場合は弁護士に相談しましょう。

弁護士への相談は法テラスを利用すると、費用が抑えられるうえに分割払いなどにも対応してもらえます。(利用には収入などの条件があります)

法テラス(公式サイト)

10.置手紙で別居を告げよう

別居を選んだことを伝えずにいると、捜索願を出されたり、事件だと思われて大ごとになる可能性があります。必ず、別居の意思を夫側に伝えましょう。

しかし、モラハラ夫が逆上し、あなたや子どもへ危害を加える恐れがあること(自傷行為などに繋がる場合もあります)、

別居を阻止される可能性があること、

別居を告げた後に別居に失敗すると、今まで以上のひどいモラハラ被害に遭う可能性があること

などから、面と向かって伝えるのは危険です。

モラハラ夫へ別居を伝えるときは「置手紙」という形で伝えるのがベストです。(弁護士も推奨しています)

また置手紙だけでは、「そんなものは置いてなかった」と白を切られる場合がありますので、メールやLINEなどでも連絡を入れておくといいでしょう。(こちら側にも証拠が残ります。)

まとめ

モラハラ夫との別れを選択した場合、面と向かって戦うと双方が大きな傷を負い、時には立ち直れなくなる可能性があります。直接戦うのではなく、できれば弁護士や家庭裁判所などを間に入れて、「安全を確保」したうえで別居や離婚をすすめてください。

別居は難しい!家庭内別居はどうだろう?と思われる方もいるかもしれませんが、モラハラの場合は家庭内別居はオススメしていません。詳しくは下の記事をご覧ください。

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